いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

私的な財津和夫論。(第19回) private essay about k. zaitsu

2011-07-03 19:38:02 | 日記
 「私的な財津和夫論」の第19回は、「no reply」と「when I'm 64」です。
 19 「no reply」と「when I'm 64」
 ビートルズの「no reply」(64年)。英、米ではアルバムの中の一曲であったが、日本で65年に「エイト・ディズ・ア・ウィーク」とカップリングでシングルカットして発売された。
 ビートルズの曲には日本で特に支持されてヒットした上記のような楽曲があるというのも特徴です。

 「no reply」のクレジットはレノン・マッカートニー作となっていますが、ジョン・レノンがボーカルをとっていてレノンがつくってきた曲をビートルズとして完成して発表した曲です。
 財津和夫さんは、レノンの曲の中では特に好きな曲のひとつで「もう、大好き」と言っています。

 ビートルズの初期の曲の特徴のひとつでもある、前奏なしでいきなり歌い出すビートルズの既成概念突破力のある自在でシンプルな力強いメロディライン、アンサンブルの美しい楽曲です。
 「no reply」のスタジオライヴ録音盤がありまして、リラックスした会話のあといきなりちょっと鼻にかかったハスキーなレノンの、言葉を投げつけるような歌い出しで始まり、サビにかけてはレノンのよく通る鼻に抜ける力強い金属音感の高音にマッカートニーが絶妙のメロウなハーモニーをつけて、途中、イントロのテイクに戻る時にレノンがリズムに乗り遅れて笑いながら歌いつないでいくという、ブレークハートの落ち着いた曲調とは別にリラックスしたスタジオライブが再現されています。出来栄えもすばらしいライヴ録音です。

 「when I'm 64」(67年)。エポック名盤と言われる「サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハート・クラブ・バンド」の中のマッカートニー作品の一曲です。
 イントロ前奏にクラリネットを使用した懐古調ジャズアレンジ、ブギ仕立てにして、グルーヴ(groove)に淡々と「64才」を歌いつないでいきます。

 「僕が64になっても まだ 僕を必要としてくれるかい 君だって年をとるんだよ
 庭の手入れをしたり ヒューズを換えたり これ以上は誰も望めないほどに 僕は手伝うことができる」と、イギリスのぬくもりのあるガーデン風景の中の「64才」になった夫婦の平凡な日常を歌いつないでいきます。
 マッカートニーの明るいポップな音感、情感がよく伝わってきます。

 財津さんは、単行本「ポール・マッカートニー」の中で、マッカートニーの曲のなかで特にお気に入りの一曲はと聞かれて、「ポップス作曲家だからいっぱいあって答えられない。じゃあ、ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロードにします。レノンの血が一滴も入っていないから。」と答えています。

 マッカートニーは今年69才で、すでにその時の「64才」を過ぎて、今年5月には南米ツアーコンサートも行っています。
 財津さんは、来年2月にその「64才」になります。すでにその日、松本でのソロコンサートで迎えることが決定しています。2012年は、チューリップ結成(72年)40年目を迎える年でもあります。今年3月のイベントでの一夜限りのチューリップコンサートも企画して、チューリップ音楽の世界の健在ぶりを示しました。

 二人のミュージシャン、コンポーザーともに「when I'm 64」の世界とはまだまだ無縁な音楽活動中で、いつも先輩マッカートニーの「姿」が財津さんの見据える先です。
                             〔転載禁止です〕

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