いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

歴史ドラマと韓国社会。 histrical drama and society of korea

2014-06-30 20:12:06 | 日記
 (1)イ・ビョンフン監督作品の韓国歴史ドラマ(histrical drama)の「馬医」が終わった。馬医から王様の主治医にのぼりつめた実在の歴史的人物を描いた長編ドラマだ。
 イ・ビョンフン作品は映像美にこだわる手法から出演者が時代背景とともに年を取らないなど美意識が強く荒唐無稽のところもあるが、「ドラマ」に徹してそれも有りだと理解すれば苦にもならずに、いづれも王朝時代の絶対権力の中で「せんみん」(庶民)が正義感をつらぬいて権力の中枢にのぼりつめるヒーロー・ヒロイン成功物語が小気味よく、美形美女も多く見るものを飽きさせないドラスティック(drastic)な展開が目を見張るものがある。

 (2)韓国歴史ドラマで共通しているのが王朝時代の韓国社会の王様の絶対権力性と服従性、派閥出身による身分階級性(caste)社会が徹底しているところだ。
 日本の武家時代も殿様を頂点とした絶対権力、服従性は共通したものだが、派閥出身による身分階級性が社会制度として権力を保持して確立しているところが、王朝制時代の韓国社会の特徴だ。

 派閥身分階級「やんばん」でないと人でないような王朝制時代の身分階級支配社会の韓国で、「やんばん」の名家医師の子として生まれながら父が大罪を被(こうむ)らせられて処刑されて、その子の命を守るために生まれながらにして「せんみん」として育てられ馬医となった主人公の当時の派閥身分階級支配社会での不条理で非人道的(inhumane)な葛藤、闘い、苦労と、最後は王様に高い医師能力、技術を認められて王様の主治医にまでのぼりつめる実在人物の成功ヒーロー物語が「馬医」だ。

 (3)現在の韓国社会は異常なまでの学歴、学閥社会と言われて若者社会の弊害、社会問題化しているが、王朝制時代の極端な身分階級支配社会の歴史的背景につながっている、ひきづっているのではないのかと思えるほどだ。
 そうすると歴史認識問題、慰安婦問題での韓国政府の日本のかっての植民地支配に対する反発、責任、謝罪要求の強行さも、王朝制時代の特殊な身分階級支配社会の歴史的背景もよく理解しての歴史考察も必要かもしれない。

 王制の絶対権力性、特殊な身分階級支配社会の歴史が踏みにじられた思いは、「馬医」の中でも身分階級支配社会での立場がまったく逆転する人々の悲哀を描いてみせて何やら考えさせられるものがある。

 (4)朴クネ大統領は元大統領の娘として生涯政治に傾注してその両親をともに暗殺で失い、不遇の中で不屈の精神が国民的支持を受けて政権発足当時は60%台と高い支持率を得ていた。

 王朝制時代の韓国は清国など中国を大国として模範にする歴史的背景もドラマで描かれているが、朴クネ大統領も中国寄りの政治思想、信条を持ち日本とは距離を置き疎遠なところがあるといわれる。
 日本に対する歴史認識問題での執拗な抗議は韓国国民からの高い支持率にもつながり、一方で国益をみだりに損なうとしてほどほどにと危惧もされている。

 (5)朴クネ大統領は家柄から特定の固定支持層を持つと言われるが、旅客船沈没事故の救助対応で国民不満を買い、責任をとってのその後の首相交代では指名候補者がなかなか決まらずに結局は責任をとって辞任した前首相を回りまわって再び指名するという不手際も重なってさすがに支持率も低落傾向にある。

 韓国歴史ドラマでは王朝の絶対権力、特殊な身分階級支配社会に敢然と立ち向かう正義、良識の社会庶民育ちのヒーロー、ヒロインが登場するが、朴クネ大統領にとっては憎っくき日本としても時宜、慈愛、信奉を得た愛すべき女王様としての歴史ドラマ同様の名裁定を見たいものだ。

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国の異常事態。 a state of emergency

2014-06-29 15:02:02 | 日記
 (1)尖閣諸島を巡る領有権問題で最近中国軍機と自衛隊機が数十メートルの異常接近するニュースが複数回伝えられて緊張が高まっている。
 直近のメディアの世論調査で過半数に近い49%がこの領域での予期しない戦闘が起こると思っている結果が出た。

 また安倍首相が意欲を示す集団的自衛権の行使容認によって71%が他国の戦争に日本が巻き込まれる恐れがあると感じていることがわかった。
 集団的自衛権の行使に58%が反対する中で、国民は日本を取り巻く戦闘、戦争に対して危惧し、危険を共有している実態だ。

 (2)尖閣諸島領有権問題は、そもそも日中間が政治解決を目指さず(棚上げ論)、東シナ海石油ガス資源の共同開発プロジェクトを進めてきた中で、当時の石原都知事が政府の対応に不満を持って所有者から東京都が買取る方針を示して、これに乗らされた当時の民主党政権が国有化を宣言して一気に日中の領有権問題が顕在化して今日の緊張関係を増幅させた。

 現実に日本が実効支配する尖閣諸島領域は日中石油ガス資源共同開発プロジェクトで円満におさまったのかは、南シナ海での中国の対応をみれば遅かれ早かれ尖閣諸島領有権問題が顕在化して今日の事態を招く可能性は考えられたが、少なくとも両国首脳が反目して話し合いも行われない異常事態(a state of emergency)、さらに軍事緊張がこれほどまでに拡大する事態にはならなかったことは推測される。

 (3)そういう意味では石原都知事に感化されての民主党政権の尖閣諸島国有化宣言は、歴史的にまずい選択であったといえる。
 今は野党となった民主党が集団的自衛権論議でカヤの外に置かれているのは幸いというべきか、民主党政権の3年半は政治理念、理論倒れの「失望(disappointment)」年代以上に、政治問題、経済問題の方向性を見失わさせた漂流の時代であった。

 (4)49%が尖閣諸島領域での日中軍事衝突の危険性を感じ、71%が集団的自衛権の行使容認で他国の戦争に巻き込まれると感じている政治、社会というのはかなりの「異常事態」といえる。

 これはほとんど宣戦布告に近い危険性を国民が危惧している、感じているということではないのか。国家、国民にとっては「異常事態」ではあるが安倍首相は国民の意思などは聞く耳を持たないし、むしろ判断能力のない国民を「正しく」導こうと言う意欲が強い。これは国民の安全のためだとして、しかしその国民は不安、異常に思っているパラドックス(paradox)だ。

 (5)かっての国連PKO平和活動への自衛隊の海外派遣も、当初は国民の過半数が反対したが今では世界平和に貢献していると胸を張る始末だ。
 国民からも世論調査の数字ほどの危機感は感じられない。現実の国民の声からは何か別世界の出来事のように映るから不思議だ。

 (6)経済、景気さえよければそれでいいという小市民的国民意識(petite bourgeoisie)では、国は成りゆかない。
 大胆な金融緩和策は国債保有率が日銀が民間を抜いてトップになり、つまり政府の借金増大を国の金融政策健全化をチェックする独立性日銀が代わりにまかなうという不条理(unreasonableness)、非常事態を招いている。

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地方は黙っていない。 local assembly can't keep silence

2014-06-28 20:08:32 | 日記
 (1)結局は「連立与党」から抜け切れずに公明党が政府、自民党に強引に押し切られて、安倍首相が意欲を示す集団的自衛権の行使容認を論理整合性のある憲法改正ではなく、為政者の自己都合による拡大解釈の憲法解釈変更による閣議決定で実現することになった。

 当初の平和の党としての公明党の論理牽制、是々非々は完全に腰砕けに終わって、党代表は党是との整合性を質されて行使容認の歯止めは二重、三重にかかり、時代が変わった、日本を取り巻く政治、軍事環境が変わった結果だと苦し紛れに訳のわからない弁明をするしかなかった。

 (2)「中身」などどうにでもよかった安倍首相にとっては与党合意が決まると、用意した政府答弁書であえて公明党に配慮して閣議決定から外した集団安保体制での武力行使を公然と容認する姿勢までみせて、もはや公明党など眼中にない独断先行(arbitrariness)、我が道を行く有様だ。

 コケにされたのは公明党だ。中身などどうにでもよくて(時の政権がどうにでも解釈できる)、集団的自衛権の行使容認の閣議決定だけが目的であった安倍首相に長々と与党協議に突き合わせられて、最後は安倍首相の脅しのような強引な時間切れ宣告に歩調を合わせるしか術がなかった体たらくだ。

 (3)公明党にどのような成算があったのか、働いたのかは信じられないくらいの不明だが、結局は平和の党の自己イメージは大きく傷つき、支持母体以外の失望を大きく買う結果となった。
 今回の与党協議の結果を苦し紛れの言い訳でつくろっても、国民の失望を解消することなどできない深い党ダメージを被(こうむ)った。

 (4)変わって今日の新聞の大見出しを飾ったのは「地方は黙っていない(local assembly can't keep silence)」だ。
 全国の地方議会で今日現在で139議会で今回の集団的自衛権の行使容認での政府の対応に批判的な意見書を可決し、政府に提出(報道)した。

 同意見書には地方議会の自民系議員や公明党議員も同調して賛成に回るケース(報道)もあるといわれる。
 小市民的国民からは危険で無謀な憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認に対して国民的反対、運動も起き上がらない中で、地方議会からの良識、政治責任、自覚、意識が多く発信、示されたことはせめてもの救いだ。

 (5)もはや連立与党の公明党は、政権の「重し」になるとか言っていたことは「虚説」になり、存在感を失っていくしかないだろう。
 与党協議の座長を務めた自民党の高村副総裁は「地方議会も日本人であれば慎重に勉強してほしい。私の経験ではかって一つの閣議決定でこれだけ慎重にしたことはない」(報道)と胸をはった。
 
 高村さんも憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認の根拠探しに四苦八苦して、最高裁判決を引用したり(公明党から否定意見される)結局は内容、語彙(ごい)の変更を重ねて限りなく個別的自衛権に近い「限定容認」などという妥協の産物でまとめようとしただけのことだ。

 (6)「一つの閣議決定をこれだけ慎重にしたことはない」のは、中身などどうでもいい安倍首相の意向を配慮しての公明党にも配慮した「とりつくろい」であって、仮に「これだけ慎重にしたことはない」としてもそもそも方法論が間違っていれば(本来は憲法改正が主旨)意味もないことだ。

 厚顔無恥もはなはだしい強弁だ。「地方は黙っていない」(地方議会の反対意見書)動きが今後どう進展するのか、地方分権、主権(decentralization)の力の見せ所だ。

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教育の反比例。 inverse propotion of elementary education

2014-06-27 20:05:07 | 日記
 (1)安倍首相は教育改革にも熱心だ。6・3・3・4年制が今の子どもの成長に合わないからと学年制の見直しを進めている。
 100年以上も前からの学年制では、時代の要請、今の子どもの成育、成長に波長、歯車があわなくなるのは当然で見直しは必要だ。

 グローバル化して世界が近くなった時代に英語教育も初等教育に取り入れられるようになって、教育内容にも変化があらわれてきて時代の要請、変化に適切、効果的に対応する教育制度改革は必要だ。ただしそれが初等、中等教育(elementary education)への成果主義、成績主義のための視点であっては矛盾を増長するだけだ。

 (2)成長途上の子どもの初等、中等教育では「現時点」の評価主義よりも、将来大人に成長するための幅広い分野、領域での経験、体験、学習機会こそが必要で求められている教育だ。

 近年の初等、中等教育での教員の資質、能力の低下傾向に対しても、政府は教員資格の期間限定免許更新制度を取り入れて、さらに有能な教員を厳選、任命する教員制度改革も検討している。

 (3)教育の荒廃はかっての政府と日教組の思想信条対立、政治対立の背景を初等、中等義務教育の現場に持ち込んだ両者に責任背景がある。
 教育の自由、中立性を名目に政府と日教組が激しく対立することで、パラドックス(paradox)として両者が自己否定してきた歴史だ。

 安倍首相が教員資質、能力の劣化を危惧して教員改革を目指している中、OECDが日本を含む34か国、地域の中学校教員の勤務状況に関する調査結果が公表された。

 (4)日本は中学校教員の1週間の勤務時間が53.9時間(調査平均38.3時間)と世界で最も長時間勤務となった。
 今の日本の初等、中等教育は昼の日中に生徒が街にあふれているので、教科授業教育に対する時間はそんな程度で17.7時間(同19.3時間)と逆に平均より「短く」、あとは部活指導7.7時間に事務処理作業、書類作成、生徒・保護者生活指導5.5時間(同2.9時間)で、教科授業教育時間以外の教員労働が長時間勤務の原因、実態(OECD報告)であった。
 残業代ゼロ時代に教員の残業が恒常化している不効率、非能率な教員勤務時間の実態だ。

 (5)本末転倒の教員勤務時間充当の現実であり、日本の初等、中等教育現場の非生産性、非効率性、非能率性を示す結果だ。
 日本はこの教員の事務処理作業、書類作成、放課後の生徒・保護者生活指導の実態について、現実を調査し具体的に公表して改善、改革を検討、検証する必要がある。

 安倍首相は教員の質、能力の確保を目指す教育改革を検討しているが、教育現場からは「教員の数を増やしてほしい」(報道)という声も多く、教員数が不足しているなら検討すべきだ。
 そういう現場環境、要望に対しても、「実態」を調査、公表して効果的な対応、対策の検証は必要だ。

 (6)もちろん世界で最も長い教員勤務時間の主要を占める部活指導、事務処理作業、書類作成、生徒・保護者生活指導の「方法論」についても、実態検証のうえに適切で適正な対応をはかる必要がある。

 かってのように1日、午後4~5時ぐらいまで教員が学校現場で生徒と向き合うことによって解決する課題、問題は多いはずだ。それが初等、中等教育の原点だ。
 昼の日中に生徒が街にあふれるなど、考えられない初等、中等教育の不備、不足だ。

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風は吹いていた。 the wind blew for the japan

2014-06-26 20:00:35 | 日記
 (1)今回のブラジルサッカーワールドカップの特徴を見れば、中南米代表国がほとんど1次リーグを突破したのに比べ前回優勝国のスペイン、強豪国のイタリア、イングランドなど欧州代表国がことごとく1次リーグでほとんどが勝ち星をあげられずに敗退したことだ。

 世界サッカーを二分する中南米と欧州で明暗がくっきりと分かれた大会という以上に、欧州代表国、強豪国の完敗による1次リーグ敗退が印象的であった。
 中南米にはW杯ブラジル大会という地の利もあったが(gain the advantage of position)、高温多湿、スコールの中南米特有の気候も影響したのではないのか。

 (2)中南米代表国ではW杯ブラジル大会にあわせて4年間をかけて有望な若手育成、世代交代でのチーム改革を進めて代表チーム編成方針の結果も見逃せない。中南米代表国には世代交代、若手有力選手の台頭、活躍が際立つ。

 一方、4年前の優勝国のスペインは当時の主力選手の多くが残りながら1次リーグ敗退が決まったあとの1勝のみに終わった。イタリア、イングランドも同様の完敗の1次リーグ敗退だった。ともに世代交代、チーム再編成が至上命題となった。

 (3)日本代表は1分け2敗でC組最下位で1次リーグ敗退となった。元プロ野球監督の野村克也さんは、勝ちに不思議あり、「負けに不思議なし」と述べているが、サッカー日本代表も負けるべきして負けたということだ。

 世評は早くもザッケローニ監督(本日退任を表明)をはじめ選手個人の名前を出して敗れた責任評価、原因分析をしているが、サッカーはチームスポーツで敗因は「個人」のものでもなくチーム、選手全員の「力」が不足していた結果に帰結する、負けに「不思議なし」だ。

 (4)欧州の伝統強豪クラブチームに所属しレギュラーとしてプレーする選手も何人か出て欧州組も多く選ばれた今大会の日本代表はこれまでの最強といわれたが、タレント(talent)は攻撃に偏ってディフェンダーでもサイド攻撃が持ち味の攻撃が評価されてのもので、守備(defender)にタレントを欠いたチームインバランス(imbalance)が弱点だ。

 タレントがそろった攻撃陣もW杯レベルでは守備にも時間と労力と体力を費やしてゴール前でタレントを発揮できなかった。

 (5)ブラジルが強い時は天才ストライカーはいたが、それだけではないチーム力、守備力、総合力の高さが特徴でもあった。
 日本代表も攻撃力では早いパス回しに相手守備の裏をとる動きにあわせたサイド攻撃と型、決定力はあるだけに、それに専心できるゴールキーパーを含めて守備力のタレント育成が必要だ。

 (6)今大会では日本代表に「風」は吹いていた(the wind blew for the japan)と思う。
 第1戦のコートジボワール戦は開始早々に本田の芸術的なゴール前の左足シュートで先制してそのまま前半を終え、後半のわずか2分で2ゴールを決められての敗戦で、雨に濡れた疲労感が痛かった。
 第2戦ギリシャ戦は前半終り近くにギリシャ選手の反則退場で45分以上を一人多いパワーゲームとなりながら、1点が遠かった。
 第3戦はその時点で最下位のギリシャが2位のコートジボワールに2対1で勝ったため、同3位の日本がコロンビアに1対1の前半を終えて、後半に「仮に」、仮に2対1の僅差で勝っても得失点差で日本は決勝トーナメント進出が可能であった。

 (7)たしかに1位コロンビアとの力の差はあったかもしれないが、日本選手が「風」を感じていればどう展開したのか、現実に結果は第3戦前まで最下位だったギリシャが2位となり決勝トーナメント進出を決めたのだ。

 敗戦に不思議はないだろうけれども、1勝もできなかったという評価ほどの闘いでもなかった。
 どれもこれもが日本に「風」は吹いてはいた(the wind blew for the japan)。ひとつ間違えてでも、その「風」をとられられなかった。

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