(1)日本の政治、経済、社会の問題、課題を検証して提言する財界、有識者らで構成する「令和臨調」が、日銀が続ける物価上昇2%目標を「日本の成長率は1%未満。その中で2%目標が短期に達成できるわけがない」(報道)として、第一弾として見直しを提言した。
(2)日銀の金融緩和策は円安、大型物価高を招いて、国債発行が政府の予算の30%を占めて累積国家財政赤字が1200兆円になり、賃上げも物価高に追いつけない後遺症、副作用を生んでおり、金融緩和策の出口論、見直し論の必要性が浮上している。
(3)今回の令和臨調も物価上昇2%目標が「短期に達成できるわけがない」と強い調子で見直しを迫った。黒田日銀総裁の大胆な金融緩和策は当初円安、株高効果を生んで、安倍元総理の進めるアベノミクスの大企業、富裕層優遇政策を後押しして経済効果もあったが、国民の賃上げ効果にはつながらずに輸入価格の高騰による物価高が続いて国民生活の負担を大きくした。
(4)それでも安倍元首相はアベノミクスで大企業の利益が地方、国民に還元(trickle down)されるとして金融緩和策を続け、黒田総裁は物価上昇2%目標達成の実現を目指したが9年余りの間実現にはほど遠く、今年4月までの任期中の欧米との金利差拡大による急激な円安、物価高の中で賃上げをともなう実現は不可能とみられている。
(5)黒田総裁は昨年末に長期金利引き上げを表明して、今年4月退任に向けての修正、地ならしをしたともみられる。安倍元首相が任命した黒田総裁は当初は大胆な金融緩和策のアベノミクスで円安株高効果で一時経済効果を高めたが、欧米が高いインフレ率の中で一斉に金利引き上げに向かった中でマイナス金利に固執して金融緩和策の出口論の時期を見誤ったことが現在の苦しい経済事情となった。
(6)安倍元首相が1ドル130円台の円安は問題ないとの認識を示して、黒田総裁も追認擁護してさらに一時は32年ぶりの150円台の急激な円安を招いて、電気、ガス、ガソリンなど社会インフラ燃料料金に食品類などほとんどの物価値上げを招いて黒田総裁の金融緩和策、低金利政策の後遺症、副作用が問題となり、今年4月の黒田総裁の退任を控えて岸田首相は「人は代わる」と明言してどのような金融政策を打ち出すのか注目される。
(7)その前に「令和臨調」が大胆な金融緩和策の否定、見直しに厳しく言及した。