(1)医師、特に町医師、開業医師、在宅医師受難の時代だ。医師不足が指摘されて大学病院など近代医療設備の整った大規模医療機関に医師が集中し、地方、過疎地域での医師不足の医師、医療インバランス(imbalance)だ。政府は大学病院、大規模医療機関への診断集中による混雑、負担を解消するため町医師、開業医師、在宅医師の活用を薦めている。
(2)町医師、開業医師、在宅医師は志、地域、患者とのつながりの深さから医療、治療の取り組みの意欲、意思も高く、熱意の高い医師が目につく。医師は人間の病気の診断、治療にかかわり患者からは回復、健康を取り戻すことになれば信頼、尊敬を受けるものであるが、治療の効果なく回復せずに亡くなるということになれば患者側の落胆、評価は悪くなる宿命にもある。
(3)ほとんどの患者側は専門的知識、医療技術を持つ医師の最善の治療行為を信じて全幅の信頼を寄せて専門技術の結果を受け入れるのが通常の考えられる判断であるが、中には医療行為に問題があるとして医師の責任、批判、反発を強めることはある。
昨年末の大阪のクリニックが通院していた患者に放火され開業医師と患者数十人が亡くなった。そして1月27日には埼玉でクリニック開業の医師が在宅医療にあたっていた患者住人から呼び出されて患者宅に赴き、患者母親(2日前に死亡)と同居していた住人に散弾銃で撃たれて亡くなった。
(4)ともに報道によると開業医師として地域、患者から信頼、安心、尊敬の厚い医師で、治療に高い理想、意思、意欲が評価、信頼されていたといわれている。まさしく痛恨の極みというしかない悲劇だ。
前の例では60代無職の男は犯行時にほとんど所持金はなく経済的に困窮していたとみられて、将来に絶望して他人を道連れに自殺しよう(報道)として診察を受けていたクリニックを狙ったといわれて、後の例では2日前に亡くなった母親と2人暮らしで同居する60代の無職の息子が母親頼りのパラサイト生活で経済的に自立できずに母親が亡くなったことに将来への絶望感があった(供述報道)ともいわれて、犯行者の母親の在宅医療にあたった開業医師に逆恨みを持っての道連れでの余りの身勝手さだ。
(5)町医師、開業医師、在宅医師は地域、在宅医療、患者とのつながり、献身的治療行為で信頼関係が深く、一方で患者側は大規模医療機関での総合医療を受けれない経済的困窮の家庭も多く、町医師、開業医師、在宅医師の治療に不満があったのか受難は続き、経済的に自立できない経済困窮家庭での残されたパラサイト住人の問題意識が重くのしかかっている不幸だ。