(1)覚せい剤所持、使用容疑で逮捕された清原和博被告への懲役2年6月、執行猶予4年判決が今日言い渡された。明日の6月1日からは薬物依存などの常習犯罪者を社会の中で更生させようという法律趣旨で「刑の一部執行猶予」制度が始まる。
これまでの刑法ではたとえば懲役刑の場合、実刑判決「年数」は刑務所に収監されるか、これに執行猶予が付くと判決年数を社会生活で更生して刑期を全うする(その期間内に再度犯罪を犯すとただちに収監される)かの2方式であった。
(2)6月1日から施行される「刑の一部執行猶予」制度は、判決年数のうち一部期間に「執行猶予」を付けてその間は社会で更生(rehabilitation in the society)をはかり、残り刑期は収監されるという第3の判決選択が実現する。
犯罪者が社会で更生できる性質、場合の刑法犯罪を対象として実施されるもので、近年増え続ける薬物依存犯罪などを対象想定している。これまでの保護観察期間(平均4~5か月)を1~5年と大幅に延ばして社会更生を強化、支援しようというものだ。
(3)しかし、これに必要な保護観察所、観察官(薬物離脱の専用プログラム受講を義務付け)が不足(報道)しており、実効性(practical result)があるのかは疑問だ。
薬物依存、使用犯罪は再犯性(a second offense)が極めて高く、これまでの平均数か月の保護観察期間教育では実効性がなくて、薬物依存がくり返されることが多かった。
名目は社会の中での保護観察官、一般人との生活を通しての更生プログラムの実施効果ということで犯罪更生のあるべき姿のようでもあるが、制度環境は十分整っておらずに理念が先行した法改正だ。
むしろ背景には近年問題となっている薬物依存犯罪者などの急増により刑務所収監がおぼつかない犯罪社会事情がある。
(4)高年令化社会を迎えて高年令者の軽犯罪も増えて、刑務所収監のスペース不足の近代的犯罪問題がある。米国では随分前から同じ悩みを抱えて、刑務所の民間委託対策が取られてきた。
日本はここ十年単位では犯罪件数は減少傾向にあるが、薬物依存犯罪、オレオレ詐欺など現代社会の抱える特徴的な犯罪は増加しており「全国103の更生保護施設に入所した薬物犯や性犯罪、高令者などの処遇困難者は09年度の2008人から14年度は3902人とほぼ倍増」(報道)している。
(5)これで6月1日から施行される「刑の一部執行猶予」制度で薬物依存犯罪者が社会更生教育でさらに増えれば、施設不足が懸念される更生環境が追い付かずに再犯率が高くなる見切り発車の恐れはぬぐい切れない。
また刑期年数の一部が執行猶予になることへの犯罪抑止効果が薄れる危惧負担も考えられて、社会の中で更生することの大きな意味、意義は理解できても制度環境、法律趣旨の実効的、社会的整備が必要だ。
これまでの刑法ではたとえば懲役刑の場合、実刑判決「年数」は刑務所に収監されるか、これに執行猶予が付くと判決年数を社会生活で更生して刑期を全うする(その期間内に再度犯罪を犯すとただちに収監される)かの2方式であった。
(2)6月1日から施行される「刑の一部執行猶予」制度は、判決年数のうち一部期間に「執行猶予」を付けてその間は社会で更生(rehabilitation in the society)をはかり、残り刑期は収監されるという第3の判決選択が実現する。
犯罪者が社会で更生できる性質、場合の刑法犯罪を対象として実施されるもので、近年増え続ける薬物依存犯罪などを対象想定している。これまでの保護観察期間(平均4~5か月)を1~5年と大幅に延ばして社会更生を強化、支援しようというものだ。
(3)しかし、これに必要な保護観察所、観察官(薬物離脱の専用プログラム受講を義務付け)が不足(報道)しており、実効性(practical result)があるのかは疑問だ。
薬物依存、使用犯罪は再犯性(a second offense)が極めて高く、これまでの平均数か月の保護観察期間教育では実効性がなくて、薬物依存がくり返されることが多かった。
名目は社会の中での保護観察官、一般人との生活を通しての更生プログラムの実施効果ということで犯罪更生のあるべき姿のようでもあるが、制度環境は十分整っておらずに理念が先行した法改正だ。
むしろ背景には近年問題となっている薬物依存犯罪者などの急増により刑務所収監がおぼつかない犯罪社会事情がある。
(4)高年令化社会を迎えて高年令者の軽犯罪も増えて、刑務所収監のスペース不足の近代的犯罪問題がある。米国では随分前から同じ悩みを抱えて、刑務所の民間委託対策が取られてきた。
日本はここ十年単位では犯罪件数は減少傾向にあるが、薬物依存犯罪、オレオレ詐欺など現代社会の抱える特徴的な犯罪は増加しており「全国103の更生保護施設に入所した薬物犯や性犯罪、高令者などの処遇困難者は09年度の2008人から14年度は3902人とほぼ倍増」(報道)している。
(5)これで6月1日から施行される「刑の一部執行猶予」制度で薬物依存犯罪者が社会更生教育でさらに増えれば、施設不足が懸念される更生環境が追い付かずに再犯率が高くなる見切り発車の恐れはぬぐい切れない。
また刑期年数の一部が執行猶予になることへの犯罪抑止効果が薄れる危惧負担も考えられて、社会の中で更生することの大きな意味、意義は理解できても制度環境、法律趣旨の実効的、社会的整備が必要だ。