(1)日中国交正常化(調印)から50年を迎える。50年目の今年、記念式典で日中首脳はメッセージを交換して「共に日中関係の新たな未来を切り開くことが重要」(岸田首相)、「新しい時代の要求にふさわしい関係を」(習主席)と強調(報道)した。
(2)日中国交「正常化」とは名ばかりで、今回も両首脳は記念式典に合わせて互いにメッセージを交換するという疎遠ぶりで、対面での首脳会談は3年も実現されていない。両国が主張する尖閣領有権問題は、連日のように中国公船が日本領海に侵入して緊張関係が続き、台湾ペロシ米下院議長訪問を巡る問題では習主席の指示(報道)で中国(軍)が軍事演習として中国本土から日本のEEZ内の与那国島近海にミサイル2発を撃ち込んで緊張、危険が高まっている。
(3)こうした現状を目の当たりにして日中国交正常化といわれても、実体のない空文化(a scrap of paper)でしかない。尖閣領有権問題は日中国交正常化にもとづき領有権問題を棚上げして、尖閣領域での日中共同ガス田開発事業に取り組んできた経緯があり、日中国交正常化を体現してきた頃もある。
(4)ところが民主党政権時代に当時の野田首相が日本が実効支配する尖閣諸島の国有化に踏み切り、事態は一変して以後日中対決の象徴となって国交正常化は名ばかりとなった。やむを得ない事情(当時の石原都政が尖閣の一部を地権者から買い取る意向を示す)はあったとはいえ、日中関係がなおさらにややこしい、複雑な関係になることがわかりながら野田政権が日本が実効支配する尖閣国有化をすすめたのは適切な判断とはいえなかった間違った判断だった。
(5)あらゆる対抗手段で国、政府として国益優先で石原都政の尖閣一部買い取りを阻止すべきだった。日中国交正常化は日中経済交流では中国が巨大人口(消費)、市場によるGDP世界2位の経済国となり、相互交易、利益の成果はあった。
日中経済協力関係が外交関係につながる、結びつかないのは政治の責任であり、歴史認識問題、日米軍事同盟の強化であり、中国国内の香港、台湾介入、統制、人権、言論抑圧問題がからみあって問題解決に向かわないからだ。
(6)日中国交正常化50年で、両首脳が空文化された国交正常化の新たな未来、時代を称賛してみてもむなしいばかりだ。
アジアの時代でアジアをけん引する日中間での話し合い、交流のつながりを深めて、問題解決に向けて協力し合うことが政治、日中国交正常化の目的だ。