いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

電力値上げと独占。 price raising and monopolistic enterprise

2011-07-29 19:53:06 | 日記
 (1)電気・ガス料金が9月から最大で1.5%全社値上げされる。6か月連続の全社値上げは原燃料価格の変動相場制が始まった09年5月以来、初めてのことだ。(報道)
 政府は、当初は原発事故収束を料金に還元しての値上げを認めないと大見栄を切っては見せても、脱原発にシフトして料金反映も止む得ないとまたもや方針転換の有り様だ。急激な円高(1ドル77円台)効果は、今後の値下げ要因ではある。

 福島原発事故の政府対応を受けて、電力各社は原発から火力発電再開へシフトを余儀なくされて、予測もしない再稼働経費がかさみ軒並み赤字決算を予測している。
 政府の原発主導のエネルギー政策の中での事業展開が、同政府の脱原発シフト(首相の個人的見解)により変更を求められて応急設備投資(火力発電)の急増が今は「経営を圧迫」しているという、やむを得ない特殊事情は一応考えられる。

 (2)「一応考えられる」とは、農業同様に国のエネルギー保護政策で全国地域を分轄して、各電力会社に独占経営権(monopolistic enterprise)を与えて、長らく市場独占による利潤独占化体制を敷いてきた。

 競合のない市場独占(寡占)化は、有利な経済環境時には将来設備投資留保のためとして値下げせずに資金を留保して、不利な経済環境時には即座に料金値上げに反映してひたすら独占経営体質の強化につとめてきた。

 この独占企業体質は、コンプライアンス(compliance)無視の隠ぺい、改ざん体質を生んでさらに「やらせ」まで加えて、企業利益偏重主義で経営実態の不透明を増長させてきた。
 震災非常時の電力の総供給力分析でも、一部除く各社20%もの見積もり不足が指摘されて自己保身ばかりのエネルギー供給の社会的使命、要求、貢献に応えようとしない企業体質のままだ。

 (3)今回の値上げでも東電の値上げ幅(1か月当たり93円)が最も大きくて、東日本大震災の被災者への負担増をも強いる以上、まずは市場独占企業としての経営実態、能力、留保資産の内容、実態、情報の開示をして合理性、整合性のある理解を求める必要がある。東電の資産処理(売却、年金充当)、国営化の話題もいつしか不透明のままの中での値上げ容認だ。

 競合、自由競争のない市場、産業は淀(よど)み、開発力、技術力、経営効率力、推進力は衰退する。
 政府も脱原発、再生可能エネルギーシフトに向けて、発電、送電の分離による電力自由化競争を検討している。将来対応は別にしても、独占企業としての電力各社の「経営実態」(株主総会もどきでない)について全容開示を義務付けるべきだ。

 それでも隠ぺい、改ざん、やらせ体質の回復、信頼回復には時間を要するほどの不透明な電力事業経営だ。

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