いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

観念論を打破するデータ論。 data theory break down the idealism

2015-07-31 20:13:49 | 日記
 (1)かっての自民党長期政権時代は米ソ(現ロシア)冷戦時代のイデオロギー(ideology)対立を背景に自由主義、民主主義陣営にある日本として、共産主義、社会主義体制へのイデオロギー・アレルギー(allergy)が安定政権を持続させる大きな要因となっていた。

 当時の野党第一党の社会党、共産党は政権に着くことなどほとんど考えられない政治状況であったので、言われるようにやむを得ずに反対のための反対党としてその政治手法は国民の批判の的となっていた。
 しかしその効果がまったくなかった訳でもない。国会質問では政府、与党の行状から政策まで入念に徹底的に調査して確たる証拠、データをもとに政府を厳しく追及して国会が空転することもしばしばだった。

 (2)政府、与党側にも政権交代の可能性がほとんどない政治状況のなかで、あからさまに支持団体とのゆ着、既得権益、密室政治を行っていたので、政府追及の種は沢山あったこともある。

 当時社会党委員長の石橋政嗣さん、楢崎弥之介さんなど舌鋒鋭く自説、調査データを駆使して国会審議で政府と渡り会い、政府の答弁不一致を引き出して審議がストップすることもしばしばで緊張感はあった。

 (3)現在の政治は政権交代な二大政党制を目指して、選挙結果に国民の意思、判断がはっきり出る小選挙区比例代表制を採用している。その効果もあって放漫な古い自民党的政治体質が国民から嫌気、批判を受けて09年に民主党が初めて本格的な政権交代をはたして、日本の政治にあたらしい時代をつくりだした。

 その民主党政権も3年半で自滅、自壊して国民の圧倒的な信頼を根底から失って、今や安倍内閣、自民党の一強多弱時代を迎えている。

 (4)近年の選挙は政党を選ぶ選挙(一政党から一人立候補)になって候補者の人気、知名度優先になっているので、個人資質に欠ける問題点が多く見受けるようになっている。

 当然の帰結のように議員の「論客」がいなくなって、国会審議でも調査データにもとづいて政府の政策を鋭く追及する、正す場面がほとんどみられることなく、争点がかみ合わないまま時間だけが過ぎて数の力で押し切られて、これは自民党長期政権時代も同じだが(それでも当時は国民主権への配慮はあった)終わることがない絶対多数政治のルーティン(routine)だ。

 (5)安保法制案を審議する昨日の参院特別委員会で中西議員(無所属クラブ)が、資源エネルギー庁の調査データをもとにホルムズ海峡が機雷封鎖された場合の日本へのエネルギー供給影響について「電力供給のうち約7%が滞(とどこお)るに過ぎない」(報道)とこれまでの観念論中心から具体的にデータを駆使して「ホルムズ海峡の機雷封鎖」を日本の「存立危機事態」として自衛隊を派遣する根拠にすることには無理があると指摘した。

 (6)ようやく安倍首相のやたら「危機」を観念論で駆り立てる理論構成に対して、具体的なデータ論争で否定してみせる(data theory break down the idealism)国会審議がみられた。
 安保法制案の「違憲」認識についても、1万キロ以上離れたホルムズ海峡に自衛隊を派遣する「攻撃的な安全保障」が憲法の趣旨、精神に沿ったものなのか、腰を据えて論議することだ。論客の登場が待たれる。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

飛行差し止めとコンプライアンス。 flight ban and compliance

2015-07-30 19:54:22 | 日記
 (1)厚木基地の住民騒音訴訟で東京高裁として初めて自衛隊機の飛行差し止め(flight ban)と将来にわたる損害賠償を命じる判決を下した。
 日本の安全保障に果たす自衛隊の役割を認めた上での住民密集地域における夜間、早朝の自衛隊機の騒音問題に対して、住民の平穏な日常の生活環境を守ることが優先されるとの東京高裁として初めての判断を示したものだ。

 調布飛行場での民間小型機の離陸直後の周辺住宅への墜落事故被害もあって、住宅密集地に囲まれた都心近郊の飛行場の安全、環境が注目されるなかでの、厚木基地の自衛隊機の夜間、早朝飛行差し止めの判決だ。

 (2)26日に首相補佐官が講演で「法的安定性は関係ない。わが国を守るために必要なことを憲法が駄目だと言うことはあり得ない」(報道)と発言したことに、自衛隊機の住民騒音訴訟に基づいて司法から出された明確な「回答」であった。

 日本の安全を守るために、「何」をしてもいいということではなく、日本の安全保障は必要だが国民の日常生活、権利を犠牲にしてまで認められない、住民の生活権が優先されるというのが今回の司法判断だ。

 (3)安倍首相や官房長官があれこれと補佐官発言を擁護しているが、今回の司法判断を受けてコンプライアンス(compliance)に欠ける首相補佐官を解任させるべきだ。
 安倍首相は国会審議で、肝心なのは内閣がどう考えるかであって、補佐官個人の発言の問題でない趣旨発言をしているが、その内閣の姿勢を示す意味でもそれにそぐわない考えの首相補佐官は処分(解任)しなければ国民の信頼もないし、理論的整合性が保てないことになる。

 (4)憲法には当然の制約はある。それが国の自己規律のテーゼ(these)だ。憲法第9条で国際紛争を解決する手段としての戦力を保持せずに、交戦権を有しないのだから、自衛隊を海外の同盟国の紛争地、戦闘地に派遣して戦争に参加させることなど、憲法が認めていないのはあきらかだ。

 もしそうしたいのなら、憲法改正を国民に問わなければならないのであって、最初から「憲法が駄目だということはあり得ない」などと、憲法を恣意的に都合よく作り変えるかのような発言は立憲民主主義日本の内閣の首相補佐官としては不適格であり、これを擁護、理解するとなると安倍内閣の考えも正さなければならない。

 (5)安保法制案の問題は、安倍首相が言うように日本を取り巻く安全保障環境が大きく変わったのは安倍首相自らの政治姿勢が原因のひとつであり、ことさらに原因をつくりだしておいて日本の安全保障政策、安保法制案の必要性を強調して、憲法理解だけでは安全を守れないかのごとき立憲民主主義否定の安倍野望政治のシナリオにある。

 (6)冒頭の厚木基地住民騒音訴訟による自衛隊機の飛行差し止め判決は、司法からの憲法遵守、国民主権尊重、重視の蓋然(がいぜん)性を示したもので、今の政治に大きく欠けている問題提起でもある。

 憲法学者の多くが違憲だとする安保法制案が司法の判断に委(ゆだ)ねられることがあれば、「差し止め」判断になる可能性はある。

 (7)国会は冒頭の司法判断を受けて日本の安全保障政策、審議中の安保法制案について、出来ることと、出来ないことを明確に区分して、攻撃的な安全保障論ではない合わせて中国、韓国との関係改善、アジア安定に向けて外交努力を進めなければならない。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

保護主義の危険。 risk of protectionism

2015-07-29 19:51:57 | 日記
 (1)ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を併合してEU、米国と対立しているなかで、大規模な青年向け政治研修キャンプを開催、拡大(報道)している。クリミアや北方4島の択捉島をあえて研修開催地に選んで政党幹部が講師となって「愛国ムードの維持と若者層の団結強化を図っている」(報道)らしい。

 ちょっと例えはよろしくはないかもしれないが、かってのドイツ・ヒットラーの「ユーゲント」を連想させる若者の「思想教育強化」(報道)だ。

 (2)国内での政敵排除に若者中心にプーチン政権への抗議運動も広がりを見せて、ロシアのプーチン大統領が若者向け思想統制教育により国内引き締めを図っている様子が見てとれる。

 最近ではメドベージェフ首相の北方4島訪問計画にあわせて政府幹部の同訪問を促す報道もあり、プーチン大統領の日本との北方領土返還交渉への前向きな姿勢発言とのまるで裏腹な日本政府の抗議を無視したロシア政府の北方4島訪問の強硬姿勢の二面性には、真意がつかみかねるロシア政治の元来の不可解さが残る。

 (3)ロシア政府の領土拡張政策は北方4島での日本との善良な返還交渉というより経済協力関係の強化、投資促進が目的でもあり、自由主義陣営の日本としてはEU、米国との協力関係のなかで、一方で領土返還交渉を控えてロシア政府の立場にも一定理解を示す両面政策を見誤らないことが大切だ。

 ロシアでは保護主義政策(protectionism)が顕著になってきており、日本の北方4島返還交渉では一定の配慮を示しているかのようなプーチン時代でも容易ではない実情だ。

 (4)米国もイラクからの撤退、シリア内戦への不干渉とこれまでの覇権国家として世界的秩序構築の主導的な役割から保護主義政策に急速に転換を進めてきており、経済的にも新興国中国のAIIB主導による経済発展の規律性に対抗して、日本を含めた環太平洋地域のTPP経済政策理念、ルールを主導することで米国政策を押し付ける保護主義政策を強める傾向にある。

 (5)日本も違憲批判のなか安保法制案、集団的自衛権の行使容認により日本の安全を守るのは保護主義政策の誤ったあらわれだ。
 安保法制案では側近の首相補佐官が「法的安定性は関係ない。わが国を守るために必要なことを憲法が駄目だと言うことはあり得ない」(報道)と発言して批判を浴びている。

 まるで日本の安全を守るためには、何をやってもいいというような暴論であり、安倍首相の「戦後70年談話」が注目を集めるなか、全体主義(totalitarianism)的な日本の軍国主義、戦前体制を連想させるもので驚くべき発言だ。

 (6)こういう人が側近として首相を補佐している安倍政権とはどういうものなのか、考えさせられる。
 日本の安全保障を取り巻く環境が大きく変わったと安倍首相がいつも強調するが、そうなった原因のひとつに自らの政治姿勢があることを書いたが、彼らには反省の色もない。

 (7)世界主要国が保護主義政策に転じるなかでISなど国際過激テロ組織が存在感を強めており、一般的に保護主義は世界政治、経済に停滞を招くものとして歓迎されない。
 オバマ大統領は現在アフリカ大陸を訪問中であるが、アフリカ大陸の安定が世界政治、経済、平和に大きく貢献するものであり、国際政治、社会がもっと関心と関係を持つべきことである。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

著作権70年時代。 era of copyright's 70 years

2015-07-28 20:15:04 | 日記
 (1)音楽を聞いたり、本を読んだり、鑑賞したり、作者に比べて利用者は趣味、嗜好にあわせて極めて気楽な気持ちで接している。音楽を創ったり、本を書くなど芸術作品を創作することを職業とする人はそれで生計を立てている訳だから、同じものでも作品に対する思いは全然違って当然だ。

 音楽家、作家、芸術家は著作権(copyright)を管理する事務所を持って利用状況を把握して自作品の著作物の管理をしている。
 盗作はもちろんのこと、勝手に変えて偽物をつくったりすれば著作権法違反で訴えて自作権利、権益を守るし、だから作詞を勝手につくり変えてパロディにすれば作詞者から訴えられて話題にもなる。

 (2)最近でも韓国で作家三島由紀夫作品の盗作問題が話題になっていた。一方でジャズのように「アドリブ」が当たり前で原曲がつくり変えられており、楽器編成では「アレンジ」による変曲性も避けられないところもある。

 もちろん先端的科学技術分野では世界文化、生活向上に広く寄与、貢献するために発明者、企業が特許権(patent right)を放棄して初めから先端的特殊技術、技能を自由に使用できるように配慮する場合もある。

 トヨタは自社開発の燃料電池車を早く世界規準として普及(diffusion)したい思惑もあって、特許技術を公開して広く自由に利用できるように対策した特殊なケースもある。

 (3)著作権保護は日本ではこれまで「作者の死後50年」として、著作権侵害には訴えが必要な「親告罪」として保護してきた。
 50年は、人生50年時代から半世紀ひと区切りとして日本社会では区切りのいい数字として時代の変化、変質をひとくくりするものとして認識されており、権利保障期間としても目安とされてきた。
 今回TPP交渉では、米国の「作者の死後70年」で統一される方向(報道)だ。

 (4)著作権収入は2014年では日本では海外から「受け取った」著作権使用料2000億円で、「支払い」は米国向けを中心に1兆円(報道)と歳出超過となっており、TPP交渉でも利益保護の米国の強い意向に従った格好となった。

 権利保障関係、意識が高い、強い米国社会をはじめ外国では著作権の保護期間は一般的に長く、「作者の死後70年」というのは出来るだけ長く保護するとした100年では長すぎるし、50年では短すぎるという出来るだけ長く保護するとした比較70年という象徴的な年限なのだろうと思う。

 (5)さらに権利侵害に対して「親告罪」ではなく訴えがなくても処罰できる「非親告罪」となる。作者の権利保障の強化にはなるが、文化、芸術の普及という点では著作権保護期間が延びることはマイナス効果だ。

 情報化時代、社会になって情報アイテムもスマートフォン、フェイスブックなど同時大量、高度で小型化、持ち運び自由になって利用度も高まっており、著作権保護期間の長期化は利用、普及、促進の時代に逆行している。

 (6)一方で日本では超高年令化社会を迎えて、平均寿命も男女80年を超える時代となっており人生50年時代からの脱却も必要となり、著作権保護の「作者の死後50年」から「70年」への移行は時代背景に沿ったものともいえる。

 作者の権利意識か利用者の利便性か、華やかな作品鑑賞の世界とは一味違うセンシティブ(sensitive)な背景問題だ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

合区と地方創生。 union of an electoral district and the creation of the region

2015-07-27 20:14:57 | 日記
 (1)参院改革としての「1票の格差」問題は2合区を含む「10増10減」案でこれまで最大4.77倍だった1票の格差を2.974倍(報道)に抑えるものが参院で可決され、衆院でも可決される見通しとなった。

 最高裁判決では最近の衆院選で1票の格差是正の目安として2倍以内に抑え、さらに抜本改革を求めているが、十分に応えているものではない。
 参院では鳥取、島根と徳島、高知を「合区」(union of an electoral district)としてそれぞれ1選挙区にして定数を4から2に削減した。

 (2)地方人口の減少に合わせた「合区」案は1票の格差是正に有効な手法ではあるが、今度は都市と地方の経済、人口格差を放置、助長するものであり、安倍政権の目指す地方創生(the creation of the region)に逆行するものでもあり、数値合わせの小手先論という印象はぬぐえない。

 合区案は避けられないが、議員定数を抜本的に見直して選挙制度、定数再編による都市と地方格差是正をはかる抜本対策が必要であり、解決のための手段、手法である。
 都市と地方の経済、人口格差是正を目指して、大都市圏の議員定数を削減すれば1票の格差是正を拡大するし、人口減少の地方の定数を増やしても同じだ。

 (3)議員定数の半減ぐらいの抜本改革を目指して「合区」案を全国に拡大する方法論(methodology)はある。行政機構の改革、道州制(provincial system)導入と合わせて合区案改革を全国的に拡大すべきだ。
 参院民主、公明党は「20県10合区」案を共同提出したが自民党ほかの「4県2合区」案可決で採決されなかった。

 (4)衆参両院の議席数について、国民総人口減少に合わせた必要最小公倍数の設定を検討、検証すべきだ。国会中継を見るたびにあれほど国会議員が必要だとは思わないし、議論中心の国政を阻害している。

 つまりは当選目当ての地域利益代表の議員意識が強すぎる。今回の合区案に対しても対象となった4県選出の議員、県民からは、いつもながらの県域内の声が国政に届かないとの不安、危惧が聞かれた。

 (5)こういう土着的、利権的、政治的意識が日本の既得権益政治を助長してきた。成立見込みの自民党ほかの合区案改革が4県にとどまったので、地元議員、住民に特に疎外感が強まった。

 全国的に行政機構改革、道州制(provincial system)導入を目指しての選挙区改革、合区改革となれば地域振興を目指しての一体感、協力、支援に視点を転じることもできる。

 (6)現在の選挙区を前提として「数」のやりくりで1票の格差是正をはかっても都市と地方の人口格差拡大のなかでは、根本解決にはならない。
 来年夏の参院選に向けては、何もしないよりは今回の「努力目標」(1票の格差2.974倍)が司法判断に前向きな取り組みとして評価されるという見方もあるが、司法が求めるものは国民の権利保障の抜本改革だ。

 (7)合区という前提理論が出てきたのだから、全国的な見直しで地方創生論とあわせて政治、選挙改革を断行すべきだ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする