(1)かっての自民党長期政権時代は米ソ(現ロシア)冷戦時代のイデオロギー(ideology)対立を背景に自由主義、民主主義陣営にある日本として、共産主義、社会主義体制へのイデオロギー・アレルギー(allergy)が安定政権を持続させる大きな要因となっていた。
当時の野党第一党の社会党、共産党は政権に着くことなどほとんど考えられない政治状況であったので、言われるようにやむを得ずに反対のための反対党としてその政治手法は国民の批判の的となっていた。
しかしその効果がまったくなかった訳でもない。国会質問では政府、与党の行状から政策まで入念に徹底的に調査して確たる証拠、データをもとに政府を厳しく追及して国会が空転することもしばしばだった。
(2)政府、与党側にも政権交代の可能性がほとんどない政治状況のなかで、あからさまに支持団体とのゆ着、既得権益、密室政治を行っていたので、政府追及の種は沢山あったこともある。
当時社会党委員長の石橋政嗣さん、楢崎弥之介さんなど舌鋒鋭く自説、調査データを駆使して国会審議で政府と渡り会い、政府の答弁不一致を引き出して審議がストップすることもしばしばで緊張感はあった。
(3)現在の政治は政権交代な二大政党制を目指して、選挙結果に国民の意思、判断がはっきり出る小選挙区比例代表制を採用している。その効果もあって放漫な古い自民党的政治体質が国民から嫌気、批判を受けて09年に民主党が初めて本格的な政権交代をはたして、日本の政治にあたらしい時代をつくりだした。
その民主党政権も3年半で自滅、自壊して国民の圧倒的な信頼を根底から失って、今や安倍内閣、自民党の一強多弱時代を迎えている。
(4)近年の選挙は政党を選ぶ選挙(一政党から一人立候補)になって候補者の人気、知名度優先になっているので、個人資質に欠ける問題点が多く見受けるようになっている。
当然の帰結のように議員の「論客」がいなくなって、国会審議でも調査データにもとづいて政府の政策を鋭く追及する、正す場面がほとんどみられることなく、争点がかみ合わないまま時間だけが過ぎて数の力で押し切られて、これは自民党長期政権時代も同じだが(それでも当時は国民主権への配慮はあった)終わることがない絶対多数政治のルーティン(routine)だ。
(5)安保法制案を審議する昨日の参院特別委員会で中西議員(無所属クラブ)が、資源エネルギー庁の調査データをもとにホルムズ海峡が機雷封鎖された場合の日本へのエネルギー供給影響について「電力供給のうち約7%が滞(とどこお)るに過ぎない」(報道)とこれまでの観念論中心から具体的にデータを駆使して「ホルムズ海峡の機雷封鎖」を日本の「存立危機事態」として自衛隊を派遣する根拠にすることには無理があると指摘した。
(6)ようやく安倍首相のやたら「危機」を観念論で駆り立てる理論構成に対して、具体的なデータ論争で否定してみせる(data theory break down the idealism)国会審議がみられた。
安保法制案の「違憲」認識についても、1万キロ以上離れたホルムズ海峡に自衛隊を派遣する「攻撃的な安全保障」が憲法の趣旨、精神に沿ったものなのか、腰を据えて論議することだ。論客の登場が待たれる。
当時の野党第一党の社会党、共産党は政権に着くことなどほとんど考えられない政治状況であったので、言われるようにやむを得ずに反対のための反対党としてその政治手法は国民の批判の的となっていた。
しかしその効果がまったくなかった訳でもない。国会質問では政府、与党の行状から政策まで入念に徹底的に調査して確たる証拠、データをもとに政府を厳しく追及して国会が空転することもしばしばだった。
(2)政府、与党側にも政権交代の可能性がほとんどない政治状況のなかで、あからさまに支持団体とのゆ着、既得権益、密室政治を行っていたので、政府追及の種は沢山あったこともある。
当時社会党委員長の石橋政嗣さん、楢崎弥之介さんなど舌鋒鋭く自説、調査データを駆使して国会審議で政府と渡り会い、政府の答弁不一致を引き出して審議がストップすることもしばしばで緊張感はあった。
(3)現在の政治は政権交代な二大政党制を目指して、選挙結果に国民の意思、判断がはっきり出る小選挙区比例代表制を採用している。その効果もあって放漫な古い自民党的政治体質が国民から嫌気、批判を受けて09年に民主党が初めて本格的な政権交代をはたして、日本の政治にあたらしい時代をつくりだした。
その民主党政権も3年半で自滅、自壊して国民の圧倒的な信頼を根底から失って、今や安倍内閣、自民党の一強多弱時代を迎えている。
(4)近年の選挙は政党を選ぶ選挙(一政党から一人立候補)になって候補者の人気、知名度優先になっているので、個人資質に欠ける問題点が多く見受けるようになっている。
当然の帰結のように議員の「論客」がいなくなって、国会審議でも調査データにもとづいて政府の政策を鋭く追及する、正す場面がほとんどみられることなく、争点がかみ合わないまま時間だけが過ぎて数の力で押し切られて、これは自民党長期政権時代も同じだが(それでも当時は国民主権への配慮はあった)終わることがない絶対多数政治のルーティン(routine)だ。
(5)安保法制案を審議する昨日の参院特別委員会で中西議員(無所属クラブ)が、資源エネルギー庁の調査データをもとにホルムズ海峡が機雷封鎖された場合の日本へのエネルギー供給影響について「電力供給のうち約7%が滞(とどこお)るに過ぎない」(報道)とこれまでの観念論中心から具体的にデータを駆使して「ホルムズ海峡の機雷封鎖」を日本の「存立危機事態」として自衛隊を派遣する根拠にすることには無理があると指摘した。
(6)ようやく安倍首相のやたら「危機」を観念論で駆り立てる理論構成に対して、具体的なデータ論争で否定してみせる(data theory break down the idealism)国会審議がみられた。
安保法制案の「違憲」認識についても、1万キロ以上離れたホルムズ海峡に自衛隊を派遣する「攻撃的な安全保障」が憲法の趣旨、精神に沿ったものなのか、腰を据えて論議することだ。論客の登場が待たれる。