いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

120分。勝者と敗者もなく。  world cup soccer 2010

2010-06-30 20:05:33 | 日記
 本田(FW)はフィールドに顔を埋め、ゲームキャプテンの長谷部(MF)は無念の表情で口
元を結び、立ち上がる。長友(DF)は座ったまま、ぐっと身を乗り出し逆八の字の眉、目で
口を結んでただ一点を凝視する。駒野(DF)は悟りきったかのように、ボー然と両手を脇に
そえて座り込む。

 ワールド杯サッカー南アフリカ大会、第19日。決勝トーナメント1回戦の日本代表対パ
ラグアイ代表。前、後半の90分と延長の前、後半30分の120分間プレーして、共に0点。
もう、「勝者もいなければ敗者もいない(we have no victor and loser)」。
 PK(penalty kick)戦の結果、パラグアイ代表の5人目のキックボールが、川島(GK)が右
に動いた逆サイドのゴール左すみに突きささり、PK戦3対5で日本代表が最後のキッカーを
残して、ベスト8への道を絶たれただけだった。

 ゲームは個人スキルで中盤を支配するパラグアイ代表の決定的なゴールチャンスを2度、
3度、4度と日本ディフェンスが固いディフェンスプレーで防御する。
 パラグアイの左サイドからの短いパス回しの連携でゴール正面に迫ると、右から闘莉王(DF)
がそのプレーヤーにスライディングで身体を預けて決定的なシュートを打たせない。

 ディフェンスラインを下げた日本ディフェンスの最終ラインの左サイドの間をスーッとドリブル
で抜けるパラグアイ。決定的なインゴール・シーン。瞬間、川島(GK)がシュート前のボール
にスライディング。闘莉王(DF)のチェックを受けたパラグアイプレーヤーのシュートボールは
力なく川島(GK)の足に阻まれた。

 日本代表も前半から松井(FW)がドリブルで中央に上がり、そのまま強烈なミドルシュート
を放つがクロスバー直撃。
 前半終了間際には、松井(MF)の右サイドの突破から中央の本田(FW)にスルーパスを送
るが、本田(FW)の強烈な左足シュートは精度を欠いた。

 パラグアイ代表は、ディフェンスラインの裏のスペースを固めて、裏サイドを与えず、中盤では
個人スキルで積極的にボールにからんで、日本代表に余裕のボールコントロールの時間を与
えない。
 本田(FW)、松井(MF)もディフェンスに追われてなかなかパラグアイゴールに近づけない。
川島(GK)はパラグアイサイドへの長いキックで、日本のフリーキックのチャンスをさかんに
狙う。日本のフリーキック・シーンもいくつかはあったが、直接ゴールを狙うことはなくパラグア
イゴール前の厚いディフェンスに阻まれた。

 PK(penalty kick)戦は、ひとりの力がどうのこうのではない、ディフェンス・オフェンス一体の
「チームプレー」。日本代表は、最後は、世界に通用することを実証してみせた「チームプレー」
のゲームの中で、ただベスト8への道を絶たれただけだ。

 もちろん、120分のこの白熱したゲームに「勝者と敗者もなく(we have no victor and loser)」、
ただベスト8進出のチームがあるだけだった。

 松井(MF)、本田(FW)、長谷部(MF)と海外でプレーするプレーヤーが実力レベルを示した。


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ここまできたデータか。  ultimate data style

2010-06-29 20:14:05 | 日記
 (1)データ化の時代真っただ中である。ここまできた。ワールド杯サッカー南アフリカ大会
の1次リーグ3試合で日本代表のプレーヤーの総走行距離が331.45キロ(1試合平均
110.48キロ)、今夜ベスト8をかけて対戦するパラグアイ代表が310.633キロ(同103.
54キロ)(FIFA公式記録)。

 日本代表がパラグアイ代表に比較して1試合平均10キロ弱長く走り回って、全代表中2
番目に長く、1次リーグ突破代表ではもっとも長く距離を走ったことになる。
 戦型(formation)、戦術、戦略(strategy)、チームの特徴(characteristic)で走るスタイル
は異なってくるから、一概に多く走っているからどうということはないが、よくもまあここまでデ
ータ化したものだ。

 南アフリカの冬の季節、高地機能の純化に的確に対応した日本代表のコンディショニング
の良さは実証されている。ここからは、息もつかせぬ密度の高いフィジカル・ストレンジ(physical
strength)にストレス負荷(stress)の90分と、場合によってはさらに延長もある。
 
 ダメージがボディブロー(body blow)のように効いてくる。厚い中盤(MF)構成でディフェンス、
オフェンスにも積極的に参加するチーム事情がデータにもあらわれて、南アフリカの冬の季
節が味方するのか、コンディショニングの回復がポイントだ。

 これからは、「絶対に勝つ」フォーメーションよりは「絶対に負けない」フォーメーションの世界。
 日本代表のフィールドを広く、長く走り回る「視界(the field vision)」には、パラグアイ代表は
十分に捉えられている。今夜11時キックオフ。

 (2)民主党2次内閣の支持率が52%と前回2次内閣誕生時より14%も降下した。この
データは、消費税は4年間は見直さないという、政権交代時の民主党公約をあっさりと財政
見通しの甘さを国民生活に転嫁する「政治的方法論」へのはっきりとしたクレーム率。

 消費税10%増税もそうだが、公約実現、政治的言語の信頼が損なわれてきた政治不信へ
の国民の意思表示、表現だ。消費税増税だけを見れば、賛成47%に反対は50%と拮抗し
ており、財源不足、財政再建には一定の理解も示しており、信頼度の高い「政治的方法論」
の確立、説明責任が問題なのだ。

 (3)大相撲名古屋場所が開催されることになった。事件(野球賭博)の解明もなく相撲協会
の責任問題も仮処分のままの問題の本質を残したままの本場所開催だ。
 61%が開催中止と回答している。すべてが悲観的な状況の中での開催は、パラドックス
(paradox)として、大相撲(国技)、日本相撲協会の不合理性を国民の前に赤裸々にするこ
ととしては、いいのかもしれない。

 こうなったら、TV中継も堂々とやって、その結果、国民が大相撲のその惨状を見て良心的
な判断を持ち、国技としては決別して、スポーツとしての大相撲として改革すべきだ。
 公益法人として税制優遇を受けて、市民感情とあまりかけ離れた組織(organization)は、
それ相当の理念の持ち主でないと、アイディンティティ(identity)を失う。

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江南(こうなん)。  k. zaitsu concert 2010

2010-06-28 19:59:04 | 日記
 コンサートは「ライヴ」ですから、2本と同じものがありません。名古屋近郊の街、江南
市民文化会館に来ています。1月末からはじまった財津和夫コンサート2010は終盤を迎
えて、今回のツアー・クールで財津さんは、まず高山市から、名古屋を経由して広島市に行
き、再び名古屋に戻って江南市でのコンサートです。長い電車の乗り継ぎ移動は、大変でし
ょう。

 午後5時30分、ナス紺のシャーツの財津和夫さんがセンターマイクに登場して、「wake up」
でオープニングです。観客は、「セプテンバー」から、手拍子も加わって「キレ」のいい財津サウ
ンドを自由自在に楽しんでいます。ハード・ディズ・ナイトの財津さんを多くの声援が後押しです。

 楽器のアンサンブル(ensemble)がちょっと気になります。その分、各楽器のパーツ(G,B,Pf,Ds)
のリズムが別々によくわかって、まさにライヴ感のあるそれもまたコンサートの楽しみです。
 「急行の停まる街」から、財津さんメロウ(mellow)でエモーション(emotion)な音感が見事に
ホールに伝わりだしました。よくとおる発声の財津ボイスが、これでもかと力入れすぎ気味ぐら
いに(今クールの最終日ですから)ホールを支配していきます。

 「メルティング」のメロウな財津サウンドの後、「拍手っていいですね。ホント」という送り手から
も受け手も音楽の質の「よさ」がストレート、シンプルに表現される今日の財津和夫コンサート
です。
 「こもれび」は、メリハリの効いた流れるようにゆれてスピード感のある財津メロディが、脳内
スクリーンに映像となってよみがえってきます。財津さんの楽曲の特徴、うまさが「こもれび」
の世界に観客を引き込みます。バック・スクリーンのグリーンな照明も見事にこの楽曲にマッチ
しています。

 「たったひとりのオーディエンス」の間奏部分では、バック・スクリーンに深紅の照明がかかり、
財津さんがセンターマイクのスポットライトから消えて深紅の照明に横向きにシルエット(silhouette)
の財津さんが浮かんだ時は、まるでポール・マッカートニーがそこにいるかのような髪形、スタ
イルのよく似たイメージが浮かび上がりました。
 「あの星に戻ろう」は、重厚なサウンドにしました。財津さんの力強い「キレ」る声、切り落とす
かのような財津さんのカットギターが印象的です。

 アンコールでは、サムライ・ブルーのブブゼラをかかえた財津さんが登場してブブゼラ音を出して、
自ら「がんばれ、財津」のコール。アンコールでは、最後とばかりに財津さん、髪を両手でくしゃ
くしゃにかき回して、真ん中をインディアンカットのようにもりあげて、アンコールです。
 ダブルアンコールに、財津さん「二人だけの夜」で応えました。

 午後7時30分すぎにコンサートは終演。会館外は雨上がりの梅雨のむし暑さがいっぱい。
 だけど、きっと誰もが心では「キレ」のいい財津サウンドの余韻で心地いいはずだ。
 財津さんも、今日は久しぶりの東京に帰ります。

 ミュージシャン 財津和夫(V G Pf)
           柳澤二三夫(G)
           山内和義(B)
           小泉信彦(Pf)
           田中トオル(Ds)
 

 

 

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争点。量販店。海外拠点。  the point at issue

2010-06-26 20:26:57 | 日記
 (1)普天間基地移設先問題で「一色」となっていた今年上半期の政治課題はどこへ行った
のだろう。沖縄に駐留米軍基地の80%近くが現存することの問題は、ちょっと横に置いと
いて(一朝一夕の問題解決とはいかないから)も、住宅密集地に隣接して生命と安全に危険
度が高いと言われる普天間基地の移設については、緊急性の高い政治課題として民主党1次
内閣では5月末決着を目指して果たせなかった経緯がある。

 首相交代の民主党2次内閣では、税制改革、財政再建、経済成長問題に隠れて、この問題
はすっかり影も薄い。民主党1次内閣での失敗にこりて、まるで意図的に遠ざけている印象が
強い。「政府」ばかりか「沖縄」からもすっかりあの時の「風」、発信力が途絶えて切実な声が聞
こえない。

 本来なら、この問題は今回の参院選の大きな争点(the point at issue)となるべき政治課題
ではないのか。この問題は、日米合意にもとづいて8月末までに移設先(辺野古周辺)の場所、
滑走路形態、施工法について決定することになっているからだ。

 民主党1次内閣のように、できもしないことを殊更(ことさら)あげつらうことは教訓にもならない
が、今年上半期「一色」となった政治課題への具体的な考え方、取組み方、協力関係、そして
米軍基地再編問題もふくめて本質的(治外法権解消)な問題解決についての政治的方法論に
ついて、国政選挙ではそれが参院選であれ争点を明確にすべきだ。

 沖縄は、また8月になったら騒然とするのか。この問題で沖縄は被害者ではあるが、いつま
でも「受け身」であってはならない。

 (2)日本を訪れる外国人数が、今年5月に72万人で前年比較48%増となった。昨年が円高
不況ということもあり比較上昇した。中国からの訪日者が11万5千人と86%急増した。好調な
経済発展に観光ビザの解禁で、電化製品中心に日本の高質な商品の買い物ツアーが後押しを
する。固定していた人民元の切り上げ効果で、観光客の日本での消費志向も強まるだろう。

 その物価(price structure)。デフレ経済をあらわす東京都心への電化、衣料の量販店(low
price , large quantity retail)の進出で東京の物価下落傾向で、前年と変わらず推移した横浜
が物価高1位県に押し上げられた。
 この量販店も、日本のデフレ円高経済で中国、東南アジア、インドへの生産拠点、量販店
の進出が続き、日本の消費、雇用低迷、ドーナッツ化現象に拍車をかけている。

 経済は、グローバル化で良質、高質な商品が低価格で提供できる環境もあり、消費者にと
っては選択の多様性はあるが、日本企業の国際競争力の基盤が海外拠点(overseas position
style)では核心が抜けた空洞化で、日本経済のモチーブパワー(motive power)にはつなが
らない。
 地域(人、文化、教育)と一体化した企業経済基盤の確立が求められる。

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あわてない。イマジネーション・サッカー。 remain calm

2010-06-25 19:34:47 | 日記
 (1)日本代表の「あわてない」厚みを持った包囲戦略(enveloping strategy)が勝利を引
き寄せた。日本に対するオランダ代表の「絶対に負けない」戦略が手本だった。
 ワールド杯サッカー南アフリカ大会第15日。日本対デンマーク。1次リーグ突破のため
に「絶対に勝つ」戦略のデンマークに対して、「絶対に負けない」戦略の日本が「あわてない」
厚みをもった攻守で、世界ランク上位のデンマーク代表に勝利した。

 (2)「絶対に勝つ」戦略と「絶対に負けない」戦略とは、結果としては同じように見える
けれど(もちろん、引き分けなど狙ってできるものでもなく)、相手のインゴール・シュー
トコースを防ぐ理論的なディフェンスと、ゆったりとあわてない包囲するオフェンスの厚み
をもった攻守の「あわてない」余力、圧力(pressure)が「絶対に負けない」戦略だ。

 (3)日本代表(平均身長178センチ)にとって苦手のタイプの身長の高いチームのひと
つのデンマーク代表(同185センチ)。かっては、中近東、オーストラリアの長身プレー
ヤーに終盤の大事な局面でコーナーキックからのセットプレーにヘッドで合わせられて
決定的なゴールを許してきた。

 (4)今大会では、守備的なMF(アンカー)をディフェンダーの前にひとりセットしてのデ
ィフェンス強化に、ディフェンダー中央に中沢、闘莉王の長身プレーヤーを2人セットして
のディフェンスが機能した。

 (5)前半、17分。右サイド30メートルからの日本のフリーキック。本田(MF)は左足で
蹴る。通常、左足キックは右カーブを描く。これを予測してゴールキーパーは一瞬、左サイ
ドに体重を移動する。本田(MF)の左足キックボールは、逆の左に切れるシンカー(sinker)
軌道で、咄嗟(とっさ)に切り替えて右に飛びつくキーパーの指先を抜けて、ボールはゴー
ル左すみに吸い込まれた。(1点目)
 この時、オランダの高い壁のディフェンスの間に入った長谷部((MF)のところが本田(FW)
のシュート・コースだった。本田のイマジネーションのゴールだ。
 本田(MF)は勝利インタビューで「キーパーが反対に動いてくれたので」と言っているが、
求められていた本田(MF)の「イマジネーション」のゴールだ。

 (6)前半、30分。デンマークゴール正面の中央20メートルからの日本のフリーキック。
遠藤(MF)の右足からのキックボールは、ゴール前に高い壁をつくるデンマーク・ディ
フェンダーの右上を左にカーブを描いて、ゴール右スミに吸い込まれる。
 フリーキックの瞬間、ゴールポストの外右側に出てからカーブを描いてゴール右スミに
吸い込まれた。典型的な精度の高い右キックのゴールだった。(2点目)

 (7)後半36分にペナルティエリアの日本の反則で、デンマークにペナルティキックのチ
ャンス。反応よく右に飛びついた川島(GK)の手からはじかれたボールを詰めていたデン
マークキッカーに押し込められた。(1失点)

 (8)後半、42分。本田(FW)がディフェンダーをかわして、デンマークゴール左外にド
リブルで流れて、相手キーパーを引き寄せてフェイントをかけて左足でボールを切り返
して、ゴール中央正面に詰めていた岡崎(MF)にトスして、岡崎(MF)はゴール中央に
左足でボールで流し込む。(3点目)またも本田(MF)のイマジネーションプレーだ。

 後半は、「絶対に勝つ」しかないデンマークが早々に川島(GK)と接触しての中央突破プ
レーや34分に日本ゴールのクロスバー直撃のシートもあって粘ったが、日本ディフェンダ
ーがインゴール・コースを守って、「あわてない」ディフェンスで守りきった。

 日本イレブンの「あわてない」厚みをもった包囲戦略と本田(FW)のイマジネーションの
勝利(3対1)だった。
 この日の、この試合が日本サッカーのあらたな歴史的スタートとして語り継がれる「日」
がくるだろう。

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