(1)米国にとってはイスラエルも日本も世界戦略にとって同じような地政学的位置にある。米国は宗教、石油を巡る中東戦略でイランと長年対立して、中東でイランと敵対関係にあるイスラエルを支持して支援してきた。
イスラエルには欧州から追われてキリスト生誕の地エルサレムを目指して逃れてきた人々がパレスチナ国家樹立念願のもとに定着して、イスラエルと抗争を続けるというあらたな展開が加わる。
(2)アジアでは中国の毛沢東共産革命がアジア地域に拡大するのを防ぐために、第2次世界大戦で占領地化した日本をアジア共産化の歯止めとして活用する。米国の日本統治では戦後の憲法草案にもかかわったといわれて第9条で戦力不保持、交戦権を有しないことを規定して、日本の非戦力化を目指した。
(3)島国の地理的条件、第2次世界大戦で日本が開戦につながる真珠湾奇襲攻撃を仕掛けたことがあり当時は何をするかわからない軍事体制、国体であったことも、日本への警戒感が強かったことが非戦力化の要因と考える。
(4)米国は覇権国家としての世界戦略で中東でイスラエルとは軍事同盟パートナーとして、アジアでは日本と政治、経済同盟パートナーとして統治を進め、第2次世界大戦後の沖縄を一時占領した米国は沖縄返還後も沖縄など日本国内に駐留米軍基地(核持ち込みの密約)を要所に配置してアジアの共産化に米軍が直接対峙する体制をみせて、現在は中東、イラク、アフガンへの出撃基地化へと軍事基地の目的拡大をみせている。
(5)日米安保条約で日本の防衛体制を敷いて沖縄に米軍基地の70%以上が集中して、地位協定で日本国民との人権格差、不平等を生んで米軍による実質治外法権化を進めている。しかしそもそも戦後の憲法制定で戦力不保持、交戦権を有しない制約を設けて日本とは政治、経済同盟パートナーを進めてきて、徐々に米国の財政圧迫を受けて日本に対しても米軍基地負担の増額を求め、日本の軍備、軍事力の増強、米軍の肩代わりを要請する方針変更がみられる。
(6)イスラエルはパレスチナ、ヨルダン、イランと敵対国に囲まれて常に好戦的であり、近年は石油戦略でも中東安定を目指す米国はイスラエルの行動に手を焼くことも目につき、今回のイスラエルのガザ地区への地上攻撃表明でもイスラエルの自衛権を認め支持、支援する一方で、人道的配慮、一時休戦を求めてハマスへの地上攻撃に慎重な対応を求めている。
(7)地政学的に同じような位置のイスラエルと日本は、米国の方針が当初の方向性からそれぞれが交差するアプローチで入り混み、不安定化している。