いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

破局観。 a view of catastrophe

2018-09-29 20:20:42 | 日記
 (1)もともとトランプ大統領には政治家という自覚、概念はないのだろう。国連総会の演説に30分遅れて登場して、関心を高めたつもりなのか、ひとり特別の存在だと認識させようとしたのか、その後の演説で米国内支持者に対してやるのと同じ論理で「わが政権は米国史上のほぼすべての政権より多くを成しとげた」と真顔で(報道)演説すると、各国代表が集う議場内に失笑がさざ波のように(同)広がったとある。

 (2)本人も「こんな反応は予想外だが、まあいいさ」(報道)と苦笑いで演説を続けたとある。トランプ大統領の発言はどこまでが本当でどこまでがつくり事なのかよくわからないところがあり、米国大統領としては問題が多く、しかし本人はあまり問題にしていないように映る。

 パレスチナ問題でもエルサレムをイスラエルの首都と容認して米大使館をエルサレムに移設してパレスチナの反発を買いながら、中東和平は「(イスラエルとパレスチナが共存する)2国家解決が好ましい」(同)と発言してこれでどう解決しようというのか道筋がまったく見えないことを平然と主張している。

 (3)トランプ大統領の頭の中には「世界」とか「国際政治・経済」とか広い概念はなくて、米国とどこかの国という狭い2国家関係しか頭にないようだ。
 国連総会で世界の代表者たちから失笑を買いながら、韓国や日本との2国間首脳会談ではしっかりと貿易協定、関税交渉について米国第一の利益を押し付けて相手国に譲歩を迫る交渉を有利に進めようとしている。

 韓国も日本首脳も中国、北朝鮮対応にトランプ大統領の朝鮮半島の平和安定に依存する度合いが大きく、協力せざるを得ない関係にあり逆らえない事情がある。

 (4)トランプ大統領はTPPのように多国間貿易協定では相手国の弱みをつくトランプ手法も通用しないことから、2国間交渉を重用して直接米国の貿易赤字、輸入超過を盾に相手国に譲歩を迫る経済手法をもちいる。

 米中貿易戦争も次々と両国間の高関税課税争いで経済覇権を争って、とても米国大統領としての政治家としての自覚、対応、論理ではなくて、経営者、経済人としての狭い自国利益第一主義者の論理でしかない。

 (5)国連総会で失笑を買おうが、中東和平で相矛盾した2国家共存論を展開しようが意に介さずに、目指すのは目の前の相手国との貿易、経済利益優先だけだ。
 こういうリーダー米国大統領を持つ世界というのは、それぞれが米国との2国間交渉、関係で目に見える圧力をかけられて一致団結して対抗することも容易ではなくて、世界協調主義の効果、影響力を見失い、何か茫然とした破局観(a view of catastrophe)をみせつられるだけだ。

 (6)安倍首相もそれに加担している。

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揺らぐ原発判決。 sway judgement of reoperation of app

2018-09-28 19:53:12 | 日記
 (1)原発再稼働に対する司法、裁判所の判決が揺れ(sway)に揺れている。運転差し止め判決が出たかと思うと1年もたたないうちに運転差し止めの取り消し判決が出るというくり返しだ。
 昨年12月に四国電力伊方3号機の原発運転差し止め仮処分を広島高裁が決定し、これに対して原発事業者の四国電力が異議申し立てをして今度は異議審で同高裁が昨年12月の運転差し止め仮処分決定を取り消した。

 (2)ともに論点は、昨年12月の運転差し止め判決は「約130キロ離れた阿蘇カルデラで約9万年前に起きた破局的噴火を根拠に、火砕流が到達する可能性」(判決報道)を指摘して「立地不適」と判断した。

 一方今回の仮処分取り消し判決は、1万年に1度程度とされる破局的噴火について「発生頻度は著しく小さく、国が具体的対策を策定しようという動きも認められない」(報道)として運転差し止め仮処分の取り消しを命じた。

 (3)福島第一原発事故は千年に1度といわれるマグニチュード9.3の未曽有の巨大地震、津波が発生し押し寄せて、同原発が浸水し地下中枢部機能が制御不可能におちいって多大な損壊、影響被害を及ぼした。

 この巨大地震、津波についてはそれまでに国の専門家会議でたびたび発生が指摘されていたが、国も原発事業者の東電も問題にせずに適切な安全対策をとってこずに大津波の直撃影響を受けて原発機能がマヒして破壊され、現在も帰宅困難地域が残り全国に数万人の避難者を抱える大惨事を引き起こした。

 (4)事故原因は不明で事故収束も進まずにいる。千年に1度といわれる巨大地震、津波の発生とともに原発事業者の安全対策の欠如が問題とされた。
 冒頭の四国電力伊方3号機再稼働高裁審理では、1万年に1度程度の阿蘇カルデラの破局的噴火の発生が問題とされて、もうひとつの原発事業者の四国電力の安全対策については特に論じられていない。

 (5)むしろ原規委では、破局的噴火の発生可能性を具体的に示せなければ「社会通念上、安全対策を考慮しなくても許容される」(報道)とまで考えを示している。
 事故問題のなにもかもがあきらかになっていない福島第一原発事故の教訓、実態、影響をまったく顧みない判断、判決であり、1万年に1度程度で発生頻度は著しく小さいと根拠説明に乏しく千年に1度とされる東北巨大地震、津波を経験した国民にとっては到底納得、理解できるものではない。

 (6)国は原発再稼働を一定比率で将来のベースロード電源として推進する方針を決めており、国の方針、政策に沿った司法判断ともいえる。
 近年の司法、裁判所が国の政策に配慮した、沿った判決が目につき、三権分立も揺らいでいる。

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トランプ解任劇。 a plot privy to trump dismissal

2018-09-27 20:36:28 | 日記
 (1)トランプ大統領の政治手法は、自ら「敵」をつくって批判し支持者の共感を受けて自らを正当化するというものだ。日本でも橋下前大阪市長が似たような政治手法で関心を集めた。
 17年大統領選でも対立する政治経験の豊富な民主党ヒラリー・クリントン候補を無視するように振る舞い、クリントン候補優勢を伝えトランプ候補を批判する全米メディアをフェイクニュースだと決めつけて対決を演出して、既存社会、政治に不満の若いマイノリティ層の支持に結びつけて大方の予想、とりわけメディア予想に反して米国大統領として選出された。

 (2)トランプ大統領は就任早々に選挙戦中の公約のイスラム圏からの移民、難民規制の大統領令を発令して、その後も保護主義による対米輸入関税の強化による貿易赤字の解消、中国との貿易戦争を仕掛けて国内のトランプ支持層にとっては、米国第一主義のもとに国外の貿易国、とりわけ躍進の著しい中国経済を対象に高額関税の貿易戦争を拡大させて、トランプ大統領支持層にとっては溜飲が下がる思いの断行性があって固い大統領支持層岩盤を熱狂(報道)させている。

 (3)そのトランプ大統領を当選間もない昨年5月に司法省の副長官が「合衆国憲法の規定を使って」(報道)トランプ大統領の解任を働きかけていたと報じられている。
 トランプ大統領の大統領選ロシア関与疑惑の捜査をめぐってトランプ大統領と司法省との確執があり、司法省副長官による副大統領や閣僚によるトランプ大統領解任を議会に申し立てる画策(a plot privy to trump dismissal)があったと伝えられている。

 (4)米国民が選んだトランプ大統領をロシア疑惑があったとはいえ就任早々に解任の画策をするとは司法省も行き過ぎであり、これではトランプ大統領の格好の「敵」攻撃の標的とされて副長官の更迭、ロシア疑惑も逆手攻撃にとられかねない。

 トランプ大統領の誕生が理想主義を掲げる米国伝統の良心、良識、民主主義に対抗する政治的、社会的現象であったことがわかる司法省副長官によるトランプ大統領の就任早々の解任画策報道であり、米国のうろたえもわかる異常作用だ。

 (5)そのトランプ大統領は11月の中間選挙に向けて共和党候補の応援演説で大統領選で勝利した州を中心に遊説中であり、外には対米貿易黒字の中国経済、EUなど日本も例外ではないようだが高額関税の貿易戦争を拡大している。

 これまでの世界的な政治、経済の秩序、パラダイム(paradigm)を無視したトランプ流儀には世界各国の不安、不満は増すばかりだが、米国内向けには米国第一主義を実践して米国利益優先に支えられたトランプ大統領の熱狂的な支持岩盤は強化されている。

 (6)大国が大国のエゴを露骨にみせつけて、歪んだ異常な世界(観)をみせつけられている。

 

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いじめと引退とガバナンス。 tease and farewell 'sumou` and governance

2018-09-26 19:43:26 | 日記
 (1)今年の大相撲秋場所は、「張り手」が復活した横綱白鵬が全勝優勝した。久しぶりに本場所に復帰した横綱稀勢の里はその白鵬に立ち合いで「張り手」を受けて敗れ、翌日の横綱鶴竜(白鵬と同じモンゴル出身)戦ではお返しとばかりに立ち合いでめずらしく「張り手」に出て、勝利した。

 あれほど白鵬の「張り手」を横綱相撲としてふさわしくないと批判した横綱審議委員会の委員長からは今のところ特に、発言はない。

 (2)立場(横綱)の違いを利用して立ち合いにいきなり強烈な「張り手」を見舞い機先を制する取り口は、もともと強い力士の取るやり方ではないように思えるが、取り口の技にあっる以上はそれがふさわしいとかふさわしくないとか言える論理のものではない。あくまで力士本人の理解の問題だ。

 確かに同委員長が「注文」をつけた後の数場所は白鵬も不振が続いた。今場所は「張り手」とともに白鵬も見事復活全勝優勝をとげた。

 (3)同委員長が「注文」をつけるのもいいのかどうか、また注文をつけたりつけなかったりもいいのかどうか、日本相撲協会の組織としてのガバナンス(governance)が問われる、不足、欠如があらわれている。

 そこにきての唐突な貴乃花親方の日本相撲協会からの引退発表だった。理由は弟子への横綱(その後引退)暴行傷害事件の同協会の対応に不満で提出した告発状が同協会弁護士から事実無根とされたというものだ。

 (4)この事件での貴乃花親方の対応にも問題があり、当事者ともども取材を拒否して事実関係が伝わらずに消化不良になっていた。
 日本相撲協会と貴乃花親方は理事長選をめぐって対立があり貴乃花親方が落選し、その後も理事選でも確執が続き同様に落選し、貴乃花親方はずべての役職から外されて無所属となっていた。

 そういう中での日本相撲協会が騒動で引き受け手のない無所属の貴乃花親方を標的にしたかのように、親方は力士部屋の「一門」に所属することを必要要件として義務付け(報道)て、追い詰められての貴乃花親方の「引退届」の提出との見方がある。

 (5)おまけとして同協会は「引退届」は正式なものではなく、正式な「退職届」の提出がないと受け取れないとした。まるで本人の意思による引退、退職ではなく、同協会の処分としたいかのような対応だ。

 この経緯をみていると、理事長争いによる双方の確執、しこりを残してのまるで組織的な「いじめ」(tease)の構造だ。
 確認もせずに(あるいは確信的に)「引退届」として出す方も出す方だが、それが正式な「退職届」でないとして受け取らない方も受け取らない方だ。まるで子供のケンカだ。

 (6)日本相撲協会の都合主義の組織ガバナンスの不足、欠如を示すもので、問題解決能力、調整力がないことをあらわすものだ。
 地方巡業で土俵上のあいさつ市長が倒れて、救助にかけつけた女性を女人禁制の土俵から降りるようアナウンスした型どおりの硬直した機能しないガバナンス不足、欠如を思い出す。

 (7)国の認定した公益財団法人である日本相撲協会で起きた内部「いじめ」まがいの問題について、政府としても取るべき必要な対応がある。

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新潮社の攪乱(かくらん)。 disturbance of shincho-sha

2018-09-25 19:38:25 | 日記
 (1)新聞の宣伝、広告欄でどうみてもあきれてモノも言えないような内容物が載っているのは、スポンサーがカネさえ出せば拒絶できない表現、出版の自由があるからだ。それでも新聞メディアの良心、良識を疑われてもおかしくないものもある。

 (2)新潮社が性的少数者(LGBT)を「生産性がない」と攻撃する衆院議員の寄稿特集を掲載し国会でも問題として取り上げられたものを、さらに別号で批判に対してこれを擁護する特集を組んで発売したことに対して、新潮社社長が「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられた」(報道)と新潮社としての見解を発表した。

 冒頭のように表現の自由、出版の自由からすれば一方の見方、考えだけを選別して文章を発表、書籍を発刊することはむしろ差別、偏見につながるもので、多様な意見、考え、思想を述べる機会を与えることは必要なことだ。

 (3)多様な意見、考え、思想の中から最大公約数としての理念、概念をつくりあげるのが民主主義、自由主義の社会の基本姿勢である。そういう意味では新潮社がLGBTに批判的な国会議員の意見、考えを述べる機会を与えて、さらにそれを「そんなにおかしいか」(企画特集)と擁護する特集を組むというのは一方的な立場、考えのみをとらえてまさに擁護する差別的な偏見方針であり、せめてこれに反対する立場、意見、考えも新潮社としては特集すべきであった。

 (4)ここまで実績と名声のある新潮社が初版に重ねて差別的意見、考えを擁護する文章特集を組むことに社内での編集ガバナンスが働かなかったのか、名の通った責任のある出版社として意図が分からずに理解できないが、同社長が「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足」と批判しているのだから新潮社がそういう編集方針の偏った(bias)出版社でないことは一応わかる。

 社長がいちいち出版物に目を通して許可を与えることなどできる話でもなく、国会、社会で騒ぎになって初めて新潮社としての考え、方針、ガバナンスを示したということだ。

 (5)冒頭の新聞の宣伝、広告欄でのあきれた表現も、表現の自由、言論の自由、出版の自由との理解なのだろうが、確かにこれを新聞が選別して掲載を認否することになれば表現、言論の自由は一方的に制限される危険性だ。

 判断するのは読者、国民、社会であり、一定の自浄作用はあるが、その前にメディア、出版社、業界としては多様な比較論を提供して示す良心、良識が求められている。

 (6)それが民主主義、自由主義社会の言論、出版の自由に課せられた出版社、業界の重い責任とコンプライアンス(compliance)だ。
 新潮社は同特集を組んだ「新潮45」を休刊とした。

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