いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

トマトの品質が悪い。 a tomato bad in quality

2011-07-28 19:55:09 | 日記
 (1)夏にはトマトが欠かせない。水分は豊富にあるし、赤もの野菜の希少価値もあって夏にはまとめて毎日食べる。野菜も果物も、近年は本来の土着の味を改良して総じて甘みに基準が統一されて出回るようになった。

 食材の味も、本来の独特な味であっても両極端を切り捨てて中庸の甘みに近づけた成育、味付けで、費用対効果の高いリスク回避の結果としてどの野菜も果物も特徴のない「味覚没個性化」の時代だ。

 多様多売、競売の効率化を目論む小売り、スーパーからの購買力に応えるための独特の味、品質で勝負できない注文、需要に応える生産者(農家、事業者)の経営偏重の農業事情が反映されている。

 (2)5年前ぐらいからトマトも含めて野菜、果物の味、品質の不作(a tomato bad in quality)が目につくようになってきた。その間、ある年は余りにもひどい味、品質が続くので、1年トマト食用を止めたこともあった。

 地球温暖化による天候不順、5月から発生、早くから影響力を及ぼす台風の気候変動も大きな要因ではあるが、一次産業(農業、漁業、林業)の継承者不足による技術継承力、開発推進力不足も影響しているのではないのか。

 (3)日本農業は食糧自給率確保のために、高い技術力、開発力を持ちながら他の産業に比較して国からの過保護政策、丸抱えが長く続いてきた。
 その間の産業構造の変化、革新に対応できない農業潜在力の衰退にともない、農業にも産業としての企業参加が相次いで栽培システム、環境(科学性導入)の変化、成育の効率化で味覚、質感、品質の「水準化」が進んで、野菜、果物の本来の土着性、品質力が失われていった。

 (4)一部には独自の思想、理念にもとづいて、栽培に工夫、改良、開発を促進して消費者の支持を集め貴重な農業スタンスを確立している事例もあるが、こういう事例が特殊であることにパラドックス(paradox)として農業全体のレベルダウン、衰退を示すものだ。

 農業は、国の過保護政策の中で自ら活性化、成長力を損ない、味と品質力の劣化を招いてきた。産業構造の近代化、変化は基本にあるとはいえ、他の産業同様に自由競争の中での相互に活性化、成長力を備えるべきであった。

 (5)日本の農業力は、天候不順などにも対応できる栽培力、開発力、技術力の潜在能力(potentiality)は高いものがあり、国際競争力も十分に備えている。
 この期に及んで日本農業は時代錯誤の国の過保護政策にすがるのではなく、TPP条約のもと他の産業同様の構造基盤の中で自立し、競合し活性化の努力、成長をはかる決意、意欲が求められている。

 今年の日本の夏の「スイカ」は、59%値上げの1個3000円超、高級料理並みの値段設定だ。

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