映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」

2016年10月17日 | 実話系

ヘミングウェイやフィッツジェラルドと組んで作品を世に出し、
作家からの信頼も篤い名編集者マックス・パーキンズ の前に、
無名の天才作家トマス・ウルフが現れる。
彼は泉のように美しい言葉を産みだし、無限に物語を紡ぐ事ができたが、
それを商品として纏める技術を持っていなかった。
パーキンズはトマスの才能を認め、
彼と共に「天使よ故郷を見よ」を完成させる。
発売された小説はベストセラーとなるが、
それはトマスの生活に劇的な変化をもたらし…という
実話をベースにした物語です。

監督はマイケル・グランデージ 、
本作が長編映画デビューです。
若干躁病っぽく、言葉とインスピレーションがどんどんと出てくるトマスと、
いかにも紳士らしく冷静沈着でいつも帽子をとる事がなく、
家族の前でも節度ある態度を崩さないマックスの友情の話です。
演じるのはジュード・ロウとコリン・ファースですが、
2人とも役柄に合ってました。

内容ばれ

トマスのパトロンで年上の愛人がニコール・キッドマンなんですが、
このひとが滅茶苦茶マックスに嫉妬しまくるのが
気の毒ながら何か面白かったです…。
トマスの作品の1作目は愛人のニコールに捧げられたんですが、
2作目は編集者のマックスに捧げられたことに激怒したり、
(自分も捨てられたから)あなたもやがて彼に捨てられるのよ~って
忠告したり、とうとうピストルを持ってマックスの職場に乗り込み、
彼を殺すか私が死ぬかあなたを殺すか3つに1つ!って迫ったり…。

トマスやフィッツジェラルドがメンタル豆腐気味に描写されるのに対して、
ヘミングウェイさんがメンタル鋼鉄っぽいんですが、
映画作品に出てくるヘミングウェイさんはいつもこんな感じで、
ご本人が本当にそうだったのかしら…などと想像します。
(というかこの映画のヘミングウェイさんは、作家とは仮の姿で、
国家間で暗躍する秘密組織のエージェントみたいでしたよ…)

マックスが食事中も帽子を取らないので、
何か秘密があるのかと思っていたら、
最後ああいう風に使うとは!でした。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ジェイソン・ボーン」

2016年10月11日 | アクション映画

シリーズ5作目です。
ボーンは記憶が曖昧なエージェントですが、
今回は父親の記憶が蘇ってきます。
でも私の記憶も曖昧で、シリーズ全部リアルタイムで見ている筈なんですが、
4作目の主人公がジェイソン・ボーンじゃなかった事もあり、
これ既出だっけ…?この人誰だっけ…?の連続でした。

主役のマット・デイモンは5年ほど前あたりからムックムックとふくよかになられて、
もうボーンシリーズには出演されないんだろうなと思っていましたが、
今回ビシッとシェイプなさっていて、役者さんはすごいですよ。

内容ばれ

レイキャビクのハッカー基地で、
ネイティブな発音の日本語が聞こえてビクッとしました。
「停電?」「銃持ってる!」
実際にああいうハッカー集団の基地があって、
日本人の割合が高いんだろうか…。

エージェントヴァンサン・カッセル、
2年拷問されていた割りには手足も揃ってるし
顔面に破壊を修復した形跡もないし、
それどころかスーパー身体能力を発揮しているので、
ああ、拷問…(察し)てきなことを考えました。
いや、だって別番組のエージェントパルデムがね…。

新登場のエージェントアリシアさんは
野心家で抜け目がなさそうでいながら、
ポッケにブツを入られれても、盗撮されても気付かないところが
ちょっとぼんやりさんでかわいかった。

アクションシーンはカメラ寄りすぎで、
あと少し引いた方がいいように思いました。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ハドソン川の奇跡」

2016年10月10日 | 実話系

クリント・イーストウッド監督
2009年のUSエアウェイズ着水事件を描いた映画です。
バードストライクにより左右両エンジンに推進力がなくなり、
空港に引き返すのは不可能であるという機長の咄嗟の判断で
ハドソン川に着水した航空機が、
奇跡的に1人の死者も出さなかったというお話。

まるで映画のようにドラマティックな出来事ではあるけれども、
状況が2転3転する訳ではないし、
物語を構成する要素はそんなに多くはないのですが、
そこは鉄腕イーストウッド監督、見事な作品に仕上がっています。
事故と、乗客のドラマと、機長の葛藤と、
事故後の調査と、家族の戸惑いと、
救出の様子などのエピソードの順番と
カットバックのリズムによる魔法でした。

当時職場で、事故映像を見た航空機の好きな人が、
いかに奇跡的で神がかったフライトテクなのかを熱弁なさってたな…。
そして機長、冷静沈着で自制的で、そして謙虚で、
(実際の事故の記録や、彼の言葉を読んでも)
フィクションの中の人のようでした。

内容ばれ

航空機メーカーはマシンの瑕疵ではないと主張したいし、
保険会社はなるべくお金を払いたくないだろうので仕方がないとは言え、
あの奇跡的な出来事ですら
「空港に引き返せたのではないか?」
「機長の精神に問題があったのではないか?」
と追及されるのにびっくりした。
事故後、家族に会えなくて世間から隔離されて、
カウンセリングにもかかれず、
妻からはローンが払えなくなるから早く仕事に戻ってくれって言われるとか、
(これはどこまで事実か分かりませんが)
私ならストレスで発狂してます。
だからこそ調査委員会で、先方の主張がバーンと覆るところはスカッとしました。
このへんも監督の意図通りなんでしょうけど。

それにしてもあの、コンピューターが演算しても
入力条件によって結果が変わる高度なシミュレーションと同じ内容を
瞬時に判断して空港着陸ではなく着水を選ぶ機長の経験と技術、
全身が計算機となっていたあの瞬間に、
人間の能力はすごくて果てがなくて、
まだまだ機械などは及ばないな!と思いました。

エンドクレジットで「本人役」の人が散見されました。
あの日、現場にいて救出に向かった人々なのだそうですが、
最後のテロップに出た、救助に携わった人の、
数の多さにもまたびっくりしたのでした。
着水が成功したのは機長の機転と技術ですが、
凍死者が1人も出なかったのは、
救出にあたったひと全員の善意と頑張りのお陰で、
作中でも言われていましたが、昨今珍しい
人を明るい気持ちにさせる大事件でした。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「神様の思し召し」

2016年10月05日 | コメディ

イタリアのコメディ映画です。
優秀で独善的な外科医の主人公が、
期待していた息子に突然「神父になる」と告げられて仰天し、
誰かに洗脳されたに違いないと、
息子が敬愛する神父に探りを入れるという話です。
息子がメロメロになった神父相手に、
その父親がメロメロにならない訳はない。(遺伝的に)
という感じの中年ブロマンスです。

中年ブロマンスお好きなかたにおすすめ。
ただしラストに関してはちょっと好みが分かれると思います。

おちばれ

教会の修理が終わる頃にはすっかり神父に夢中で、
もういいと言われても来る気満々の外科医がかわいいです。
初めてできたお友達に付きまとう男の子みたいだった。

悩める主人公を、神父がバイクで連れ出して
自分のとっておきの丘に連れてきてあげるところ、
ロマンチックでした。あんなん惚れてまうやろ。

外科医がこれまでの傲慢のツケが来て、
結構散々な目に遭うんですが、
私からするとそこまで酷い事をしていたようには見えず、
たとえばクズ度で言えば「二ツ星の料理人」の主人公などは
外科医の5倍くらいクズなのに周囲皆から愛されて
成功しているので、そんなに外科医の事叩かなくても…
って思いました。

1つ、うーんって思ったのは、
イタリア映画なので、時々ギャグセンスにぎょっとします。
特に主人公が神父に接触するため偽の家族を仕立てるところ、
娘婿が知的障害者の弟を演じるのですが、
私の感覚では完全にアウトで、ドン引きです。

ラストで梨が落ちたのを見て、
外科医が神父の言葉を思い出して笑っているのがよかったです。
どうなったかというシーンはあえて入れずに、
原っぱを歩く外科医を延々と映し続けるところもよかった。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「真田十勇士」

2016年10月03日 | アクション映画

びっくりしたんですが、
冒頭の十勇士が揃うくだりが全部アニメだった…。
ちょっと意味が分かりませんでした。
予算の都合なのか実験なのかは分からないけど、
あれはやっちゃ駄目ですよ…。
十勇士の初登場エピソードと出会いのシーンがアニメで
それ以降が実写って、感情移入が激しく阻害されて
最後までよそよそしい感じで終わりました。
終盤の展開とか結構熱かっただけに残念です。

監督は堤幸彦さん、脚本はマキノノゾミさん。
2014年に舞台化された話の短縮版のようです。
猿飛佐助が中村勘九郎さん、霧隠才蔵が松坂桃李さん。
ところどころ新感線っぽいなあと思ったのは、
勘九郎さんの演技のせいかな?
女忍者役で大島優子さんが出ています。

内容ばれ

幸村が実際は知将ではなく頼りない武将で、
それを佐助と才蔵が陰からアドバイスしてやるのとか、
最後の入れ替わりトリックとか、
クールな才蔵が押しの強い佐助に弱いとか、
おいしいところも多かったんですが、本当に惜しい。

あと大河と同じ武将を扱うのは便乗商法的には正解かもしれないけど、
「真田丸」が三谷さんの本気のエピソードを数十時間重ねて
相当分厚くなっているので、比べるとどうしても薄っぺらく感じられてしまう。

エンディングはその後の話になっているのでお見逃しなく。
ざっと4時間作品分くらいのストーリーが語られました。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする