初期作品「メメント」からずっと、ノーラン作品の撮影を務めてきた
ウォーリー・フィスターの初監督作品です。
人工知能開発に携わる天才科学者のジョニデは
テクノロジー拒絶主義のテロ組織の凶弾に倒れ、余命わずかとなる。
彼の研究パートナーでもある妻が、
ジョニデの意識をスーパーコンピュータにアップロードしようとする。
というあらすじ。
SFというよりは夫婦のラブストーリーものです。
「her」と混同しそうですが、こっちのほうがもっさりしてます。
「her」はSF要素を大半切ってるけど却ってそれが良かった感じ。
めずらしくポール・ベタニーが常識的で誠実な普通の男の役です。
キリアン・マーフィーは「TIME」に引き続きあまり役に立たない捜査官役。
ゆるふわ可愛いからゆるす。
内容ばれ(褒めてない)
細部に色々気になる所があって、
まずテクノロジー拒絶主義のテロ組織がトップレベルの科学者を殺して回るのって
国益を損なう重大犯罪だし、国が本気で潰しにかかるだろう。
拉致監禁されているポール・ベタニーがいつまでも救出されないのもおかしい。
「もしかしたら危険かもしれない」サイバー人格ジョニデを破壊するというふんわりした目的のために
罪状のはっきりしているテロ組織とFBIが手を組むのもありえない。
あとモーガン・フリーマンが暖かい人格者風に登場したのに
後半あっさりヒロインを見殺しにしようとしたのも「?」だった。
作中の時間で突如2年経過していて、テロ組織を2年泳がせておいたの?とか、
2年あったのに、ジョニデは物理攻撃・サイバー攻撃に対してなんの措置も取らなかったの?とか。
そもそも2年って何のための期間?
町の工務店レベルの会社に依頼したから2年かかったけど、
普通に建設会社にまかせたら数か月で出来上がったんじゃ?
体の不自由な人たちは投げっぱなし?
だいたいジョニデの専門って人工知能開発なのに、再生医科学やナノマシンどっからでた?
ナノマシンって別に錬金術じゃないですよ!
とか次から次へと疑問が泉のようにわいてでた。
なにより殺人という手段で自分にとって不快なものを葬り去る集団を、
この映画は特に否定的に描かずに(報いも受けず非難もされない)、
(なぜか全世界のひとがその報いを受けた感じ…)
むしろテロにより目的を成就していたので、私的評価がかなり下がった。
関係ないですが
人工知能PINNの表示で「コンピューティング」(たしか)って
思いっきりカタカナだったシーンがあったんですが、あれ日本製なのかな…。