映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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「コリオレイナス」

2014年04月30日 | 舞台

コヴェント・ガーデンの近くにある、
元はバナナ倉庫だったというドンマー・ウエアハウスにて
上演されたシェイクスピア悲劇です。
250席ほどの小さな劇場(どんな恐ろしいチケット争奪戦が展開したのだろう)。
主演はトム・ヒドルストン。
「マイティ・ソー」でソーと濃い愛憎劇を繰り広げた弟ロキ役で有名です。

ラストまでのざっくりしたあらすじ当然ねたばれ

主人公はローマの将軍。
軍人として有能であるが差別主義で民衆を侮っている。
侵略者との闘いで華々しい戦果を挙げ、
都市コリオライを落としたことからコリオレイナスの名を授かり、
執政官に推挙されることになる。
しかしそのために必要な選挙で、民衆に頭を下げる事を拒否し、
また民衆の選挙権について侮蔑する発言があったため、
護民官の工作なども一因となり、ローマから追放される。
母や妻や友人に別れを告げたコリオレイナスは
かつての宿敵に取り入り、ローマ攻めを任される。
復讐に燃えるコリオレイナスはローマを陥落寸前まで追い込むが、
使者として訪れた妻や母の嘆願に心を動かされ、和平を約束してしまう。
それが原因で彼は惨殺される。

うん…なんというかまあ…
あまり上演されないのも分かるというか…。
(あ、でもシェイクスピア悲劇の最高傑作というひともいる)
コリオラヌスさんというかたが実際にいて、
史実が元になっているらしい。

内容ばれ感想

優れた闘士と優れた政治家は全然資質が違うよね
という現代なら誰でも知ってる事が、
当時はあまり深く考えられていなかったせいで起こった悲劇ですね。
あとコリ夫はひどい癇癪持ち。闘士としてはそれは長所だったけど、
政治家としては致命的な欠陥だった。
彼は失敗を3回連続でやらかしていて、
1回目は選挙でうまく立ち回れなかったこと。
2回目はローマから追放されて敵将を頼ったこと。
(この時点で母妻の嘆願を予想すべきだった)
3回目は母妻の嘆願に心を動かされてあっさり気を変えたこと。
短慮も3回繰り返すと死ぬという恐ろしい教訓です。

特筆すべきはお母さんですね。
このひとは男だったらコリ夫以上の闘士で、
なおかつ政治家にもなれたでしょう。

舞台装置は床にひかれた赤い長方形の枠と、
あとは壁と梯子と椅子というシンプルなものでしたが
観客のイマジネーションにより街や城壁や色々なものに見えました。
登場していない人物が、舞台の奥で
じっと人形のように座っているというのは面白い演出でした。

カンバーバッチさんのときも何だか全裸に布みたいなシーンがありましたが
トムヒさんも上半身裸や、体のラインばっちりのスケスケ衣裳がありました。
イギリス演劇のお約束なのかあるいは
ナショナル・シアター・ライヴがそういう基準で選んでいるのか。

CGなしのガチの戦闘アクションを繰り広げた敵将とコリ夫ですが
コリ夫が彼を頼って屋敷に訪れた時、
額と唇にキスして、「(妻との)新婚初夜より興奮している!」
と敵将が言ったので
「あ、これはコリ夫の操が散ったな…」と素直に思いました。

コリオレイナスをクリス・ヘムズワース、護民官をトムヒが演じて
ラストシーンで絶叫した方がよりキャッチーではないかと思いました。
(まあでもクリヘムは英国の人でないから呼べないかな…)



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