MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『ぼおるぺん古事記』

2015年12月09日 | BOOKS
『ぼおるぺん古事記  一
 天の巻』
こうの史代 著
平凡社

『ぼおるぺん古事記 二
地の巻』

『ぼおるぺん古事記 三
海の巻』


 可愛らしいマンガで、古事記の「上つ巻(神代)」を、ボールペンで描いた3冊です。
 1巻の『天の巻』のテーマは「天地創生」。
 2巻は『地の巻』のテーマは「出雲繁栄」。
 3巻は『海の巻』のテーマは「天孫降臨」。
 
 絵の横には古事記が原文で書かれていますが、漫画と合わせて読むことで不思議と意味が分かるのですから、コミックって偉大です。
 登場するのは神様なのに、クスリと笑わずにはいられないキャラクターになっています。
 (イワナガヒメの描写には、思わず吹き出してしまいました)
 巻頭には、原文のみボールペンでずらずらと書かれているのですが、漫画を読んだ後に読むと、ちゃんと場面が浮かびます。

 いわゆる四苦八苦(※)が、神様にもあるというこの不思議。
 夫婦で、兄弟で憎み合う。乱暴者もいれば、ひたすらに生真面目な者もいる。
 嘘も、嫉妬も、嫌悪も、怠惰もある。それでも、愛があって、命がつながっていくんです。

 聖人君子ではない、この国の神様たちは、なんとも人間に近い存在です。
 もちろん、人間をモデルに作り出されたのでしょうけれど、1000年以上前から人間の本質は変わらないのですね。

 いつか「中つ巻」「下つ巻」も『ぼおるぺん古事記』になるでしょうか?
 「人代」になると、「神様だから」と許せたことも、「人なのに」と感じてしまいそう。変な感覚ですね。


※「四苦」=生・老・病・死しょうろうびょうしの4つの苦しみ。
 「八苦」=「四苦」に次の4つの苦しみを加えたもの。
      愛別離苦あいべつりく (親愛な者との別れの苦しみ)
      怨憎会苦おんぞうえく (恨み憎む者に会う苦しみ)
      求不得苦ぐふとくく (求めているものが得られない苦しみ)
      五蘊盛苦ごうんじょうく (心身を形成する五つの要素から生じる苦しみ)
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