MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』

2010年01月29日 | BOOKS
 私が選ぶ「この10年で一番面白いファンタジー」。(ちょっと大げさですが)

『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々(全5巻)』
        (リック・リオーダン著/ほるぷ出版)
(原題『Percy Jackson & the Olympians』by Rick Riordan)
       

「主人公は黒髪で緑の目の少年。
 ちょっと頼りない親友と頭脳明晰な女友だちと、予言された過酷な運命に立ち向かう」
 こう書くと「それってハリー・ポッターの真似じゃないの?」と二番煎じを疑いたくもなるのですが、この主人公パーシー・ジャクソンは全く違う男の子。
 読み始めたら、設定が少し似ていることなんて頭の中から吹き飛びます。

 「ハリー・ポッター」はすでに『現代の古典』のような重厚感がありますが、こちらはもっと気軽に楽しんで、ドキドキ・ワクワクできる物語。話が長過ぎないという点も、大きな長所だと思います。

 10代の少年の「おれ」という一人称の語り口は、とても良いリズム。
 友情も恋愛も家族の関係もそれぞれ傍観者でなく当事者の感情として描かれて、パーシーの真っ直ぐさにハラハラしたり感激したり。
 現代になじんでいるオリンポスの神々も、何とも人間らしくて魅力的。
 そして、熾烈を極める戦いのシーンでも「くすっ」と笑わせる機智に富んだ会話や言葉遊び。作者のセンスの良さに惹かれてしまいます。大人だからこそ楽しめるウィットもあちこちにちりばめられていて、本当に読者を飽きさせません。
 翻訳も素晴らしいのでしょうけれど、これは英語でも是非チャレンジしたい。

 ユーモア・ジョークがあまりお好きでない方には向いていないかもしれませんが、「今オススメのファンタジーは?」と聞かれたら「パーシー・ジャクソン」と即答します。


 シリーズは全5巻。日本では昨年12月に最終巻が出ました。
巻名はそれぞれ
1.盗まれた雷撃 「The Lightning Thief」
2.魔海の冒険  「The Sea of Monsters」
3.タイタンの呪い「The Titan's Curse」
4.迷宮の戦い  「The Battle of the Labyrinth」
5.最後の神   「The Last Olympian」
(この写真は1~3巻)

 来月には映画も公開されるそうですが、ギリシャ神話を知らない方は簡単な神話の本を読んで予習するとさらに楽しめると思います。
 ※映画のあらすじをみると、小説とは違うところも多いみたいです。予告動画を見ると、なんだか恐い。(笑)それぞれの神々をどう映像にするのか、興味もあるのですけれど、見に行けるかしら?

<リンク>
Home - www.rickriordan.co.uk イギリスの出版社の「パーシー・ジャクソン」著者チック・リオーダン氏の著作の特集サイト。
映画『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』公式サイト2月26日公開の映画の公式サイト。予告編動画もあり。
ほるぷ出版
 日本でこのシリーズを出版している出版社「ほるぷ出版」のサイト。

<追記 2011.12.14.>
 2010年12月に「パーシージャクソンとオリンポスの神々<外伝>ハデスの剣」が発売されています。これは、4巻「迷宮の戦い」と5巻「最後の神」の間の出来事が入っているので、これからシリーズを読み始める人は、4巻の後に読むといいかもしれません。
 2011年10月には新シリーズ「オリンポスと7人の英雄 Heroes of Olympus」もスタート。先が気になりますね。