行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

今を精一杯生きる

2013年09月03日 | 禅の心
過ぎ去れるを 追うことなかれ。
 いまだ来たらざるを 念(ねが)うことなかれ。
 過去、そはすでに 捨てられたり。
 未来、そはいまだ 到(いた)らざるなり。

 されば、ただ現在するところのものを、
 そのところにおいて よく観察すべし。
 揺らぐことなく、動ずることなく、
 そを見きわめ、そを実践すべし。

 ただ今日まさに作(な)すべきことを 熱心になせ。
 たれか明日 死のあることを知らんや。
 まことに、かの死の大軍と、
 遇(あ)わずというは、あることなし。

 よく、かくのごとく見きわめたるものは、
 心をこめ、昼夜おこたることなく 実践せん。
 かくのごときを、一夜賢者といい、
 また、心しずまれる者とはいうなり。


過去のことにこだわっても仕方がない。
まだ来ぬ未来のことを思っても仕方がない。
過去は捨てられたものだ。
未来はまだ来ていないないのだよ。

それならば、今するべきことを
よく考えてみなさい。
こころが揺らぐことなく、動ずることなく
今するべきことを見極めて、今なすべきことを実践してみなさい。

今日するべきことを熱心にやりなさい。
誰も明日死ぬかもしれないことを知っているだろう。
本当にあの死の世界の者たちの大軍に
遭わないということはないのだよ

よくこのように見極めた人は
心を込めて一日中、怠けずに自分のなすべきことを実践しよう。
このような人を一夜賢者といい、
いつも心穏やかに生きていけるのだ。

 

有名な『一夜賢者経』です。今するべきことを一生懸命しなさい。今という時を精一杯生きなさい。それが永遠を生きることであり、心穏やかに生きていけることにもなるのです。

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