行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

天女の嘆き

2012年11月30日 | 禅の心
薬師寺の東塔のてっぺんの部分(相輪)の更に上の部分である水煙に24人の天女の像が彫り込まれています。しかしその表情は、もの悲しそうです。若く美しかった天女も、いつかは年老いていき、その美貌も薄れていくからです。そして、死んでいくのです。薬師寺東塔の天女は、やがて老いが来ることを感じて悲しんでいるのです。私たちは、老いて、病気になって死んでいくことからは、決して逃れることはできません。仏教は、虚無主義ではありません。私たちは老いて死んでいく身であるからこそ、充実した人生を送って行くことを勧めています。桜の花は、短い時期に精一杯咲いているから美しいのです。短い人生をどんな形でもいいから自分にとって充実したものにすることが大切です。

天女たちは、もう一つ別のことを語りかけています。物事には、盛んな時期があれば、必ず衰える時期があるということです。人生で成功した時期があっても、いつまでもそれが続くことはないということです。調子の良いときには気をつけなさいということなのです。栄枯盛衰と言いますが、人生はまさにその通りだと思います。

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