行雲流水

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久保田正文師が日蓮批判について語る

2011年06月17日 | 禅の心
一般に日蓮上人は、その行動の激しさの面からのみうけとられているきらいがありますけれども、聖人が自らを法師と自覚された慈悲の温かい面、いわば利他行の尊さを私たちは見落としてはならないと思います。聖人はけっして自分の主張、我見によって他宗を批判したり、折伏の実践をされた方ではありません。中道間を持った仏とならしめるための法の実践、相手の人を本当に救おうとした情熱、法華経による仏の本位の伝達、それを願ったのです。
注意しなくてはならないのは、近代に於いて、法華経と日蓮聖人の立正安国思想が過激な社会変革の思想、国家革命のイデオロギーとして偏ってうけとられていったことです。しかし、聖人のいう安国の国とは国家を指すのではない。もっとひろい国土です。主権、領土、国民をもった国家という狭い概念でうけとってはなりません。

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