酒田市飛島の今を映し取った素敵なドキュメンタリー映画ができました。
先日試写会へ伺い、応援メッセージを書かせて頂きました。
5月からの山形先行上映も、新型コロナウィルスの影響で厳しいかもしれませんが、一日も早くご覧いただける日が来るよう、日本中の映画館が再開するよう、願います。
『島にて』(2020年)に寄せて
酒田市民にとっても近くて遠い飛島。子どもの頃に船酔いを初めて経験したのも飛島行きフェリーだった気がします。でも、大好きなところでした。
飛島は、日本海の暖流と寒流がちょうどぶつかる位置にあるため、植物も野鳥も魚貝も多様な種が存在します。小さな島に、美しい原生林や神秘的な賽の河原、落武者を葬ったと伝えられる「源氏盛・平家盛」や平安時代の人骨が出土した謎の洞窟「テキ穴」などもあり、非常に魅力的な島です。島の人々に受け継がれてきた祭事や風習は民俗学的にもとても価値あるものだと思います。
私が子どもの頃は、漁業もたくさんの旅館民宿もとても元気で、夏は一大観光地でした。
飛島中学校は、卓球部しかなかったのですが、男女ともに非常に強く、私の母校とよく団体・個人戦ともに優勝争いをしていました。あの頃憧れ、畏敬を抱いていた先輩の顔が、この映画に出演している老夫婦に重なりました。名字も同じで顔も似ている…ご両親かどうかわかりませんが、この映画を観ている間中、走馬灯のように、当時の勢い盛んな飛島や、私がNHKにいた頃何度か取材に訪れた当時の過疎化が進みつつも温かい人々が迎えてくれた飛島が甦って脳裏を巡りました。
さらに時が移り、消えそうな島の灯を新たに灯し始めた新しい世代の新たな取り組みと生き方、そして、島に暮らし続けるおじいさんおばあさんたちの言葉からにじみ出るそれぞれの人生…。
何度となく笑い、涙しました。
この作品は、飛島固有の歴史や文化も残しつつ、全国の島や地方が抱える問題も浮き彫りにしています。
懐かしさと切なさと温かさと、不安と希望。
酒田の方言とともに、じっくりご覧頂きたい一作です。
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