akikoの「活動」徒然記

活動弁士佐々木亜希子の身の周りの出来事やふと感じたこと

『ひめゆり』手話弁士付き上映

2009-08-16 | バリアフリー映画、福祉
6月、ポレポレ東中野で、ドキュメンタリー映画『ひめゆり』の手話弁士付き上映を拝見いたしました。
手話弁士付きなんて初めてのこと。場内は、ろう者健聴者入り混じって満席でした。

手話弁士は、米内山明宏さん。この映画は、ほとんど、ひめゆり学徒の生存者の方々によるインタビューで構成されています。ナレーションもインタビューも、字幕で説明が入っているのですが、手話のほうが慣れているろう者の方々は、スクリーンの横で手話で説明してもらったほうが分かりやすいらしいのです。

私が弁士を務める際のように、スクリーン横に米内山さんが立ち、一人一人の証言を手話で伝えます。辛い、できることなら思い出したくないような体験を語るひめゆりの女性たちは、だいたいの方が、怒りや悲しみの感情をふつふつと内に燃え立たせながらも淡々と語っています。
米内山さんの手話と表情は、その感情を代弁するかのように雄弁で、彼女たちの苦しみや葛藤が迫ってくるようでした。

アフタートークにも参加。
耳の聞こえない方も、文字文化中心に生活を送る方と、手話文化で生活している方とに分かれるそうです。いつ聞こえなくなったかによっても違います。
映画も、できるだけ字幕でなく手話説明で観たいという方もいらっしゃいました。

米内山さんは、手話説明向きの作品とそうでないものがあると言います。
一人一人が独白する今回のようなインタビュー作品は、向いているものです。しかし、展開が早く、登場人物やシーンが入り乱れるドラマでは、話者を特定するのが難しいようです。

手話弁士も、活動弁士も、ある意味作品の意訳家です。自分が作品をまず受け取って、それを観客に自分の表現手段で伝えます。いろいろとお話できて、とても有意義な出会いとなりました。以前、無声映画の手話説明の経験もおありとのこと、秋に活弁×手話活弁のコラボが実現しそうです。
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『おくりびと』副音声

2009-08-15 | バリアフリー映画、福祉
この夏は帰省せず、こちらで芝居や映画を観たり、仕事したりしています。

『おくりびと』の副音声を担当させていただくことになり(なんて光栄なんでしょう!)、お盆も、故郷がロケ地になったこのDVDを観ながら帰ったつもりになり、台本作業をしながら自宅で御先祖さまや知人たちの霊を祭ったことにしています。今日は終戦の日でもありますし。

『おくりびと』は来月9月13日に公開一周年を迎えます。いまだに映画館で上映中という超ロングラン。
副音声入りDVDも秋以降に発売になります。どうぞお楽しみに
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『出番を待ちながら』

2009-08-14 | 映画・芸術・エンターテインメント
俳優座劇場で、木山事務所の『出番を待ちながら』を観て参りました。
昨年も観た芝居なのですが、やっぱり良かったです。。。

老齢の女優さんたちのお話とあって、ベテラン舞台女優さんたちの演技が見ものです。それぞれの個性が活かされ、笑って感動して元気になれる作品です。
観客の年齢層も高めですが…。会場は満席、共感の笑いがそこかしこで起こっていました。

キャスティングが多少変更していて、昨年とまた違った印象を受けました。
今回新たに加わった女優さんの中に、青年座の山本与志恵さんという方がいらっしゃったのですが、初めて酒田東高校の先輩と知りました。驚き。嬉しいです

東京公演をスタートに、10月まで、神奈川や千葉を巡回するそうです。おススメです。
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マッスル八犬伝

2009-08-10 | 映画・芸術・エンターテインメント
異常気象。朝は、バケツの水をひっくり返したようなあまりの大雨の音で目が覚めました。
この夏はいったいどうなっているんでしょう。また、麻薬汚染はどこまで広がっているんでしょう。芸能人だからここまで取り沙汰されていますが、都会では若い人の間でもかなりまん延しているようです。

大都市は病魔が巣食っています。
田舎では、覚せい剤の使用なんて簡単に流通もしないし考えもしないし
都市に住む人間の大半は地方出身者なのに、都市は魔物です。

私も出てきて間もなく魔物に喰い殺されそうになった口なので(クスリはやってません)ほんとに怖いなあと思います。もちろんそれは、私にそういうスキがあったからです。無知も、欲も、小さいくせに尊大に見せようとするプライドも、みんな温床になります。
周りにどんな人がいるかでも全然違います。だからこそ、今周りにいる方々や温かい地域の方々、素敵な友人たちの存在がありがたいなあと思います。

今日は、中村JAPANドラマティックカンパニーの冒険大活劇『マッスル八犬伝』にご招待いただき、観て参りました。ストーリー云々より、やはり、鍛えられた体と訓練されたダイナミックなパフォーマンスが素晴らしく、ショーとしてとても楽しませていただきました。
鍛え上げた肉体とそのパフォーマンスには感動しますね~。必ず目が行く人がいるのですが、今日も何人かに注目して感心して観てしまいました。ありがとうございました。
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ヴァギナモノローグス

2009-08-09 | 映画・芸術・エンターテインメント
なんてタイトル、ぎょっとしますよね。そうなんです。
このタイトルのおかげで、8月17日からの六本木俳優座での<手話×朗読>公演はなかなかPRに苦戦しているとのこと。

もともと女性3人が語りかける芝居なのですが、今回は、ろう者3人と聴者3人計6人の舞台になっています。アフタートークショーも充実していて、今日はその司会(兼手話通訳)を務めるNHK手話ニュースの飯泉菜穂子さんに誘われ、公開リハーサルを見せていただきました。

内容は、普段あまり口に出して公に語られることのない「女性器」について。日本人の発想ではありません。アメリカで200人の女性にインタビューした中から、いくつもの独白(モノローグ)を重ねる形でイブ・エンスラーという女性が脚本化し、世界中で舞台上演されてきた作品です。
放送禁止用語的な文言や直接的な表現のおかげで広報宣伝が困難なため、ほとんど口コミで広がっているとのこと。日本では2006年に宮本亜門さんの演出で一度上演されています。

見学した私も、最初は「照れくさい」とか「恥ずかしい」とか「あえてこういうテーマに触れなくても」と、演者および舞台との距離を感じるわけですが、だんだんと、大真面目に時におちゃめに語られる人生体験の数々を聴きながら、同情したり、共感したり、驚いたり、しまいには隣の飯泉さんと一緒に大笑いしたりしていました。
性や体に対する考え方、文化の差異、心と体の平和国家の平和、愛、差別偏見、時代の変化…様々なことを感じさせてくれるとても新鮮な舞台です。

しかし、なにより見応えがあるのは、この舞台がろう者による手話パフォーマンスと、聴者の語りの、両方で観客に迫ってくるということです。手話といってもおとなしく手だけで表現するわけではありません。ろうの舞台女優として活躍し、今回のプロデュースも行う大橋ひろえさん、映画女優として活躍してきた忍足亜希子さん、フランス人でフランス手話を使うイザベル・ヴォアスさん、彼女たちの表情、体いっぱいの体当たりの表現は、手話がわからなくても話者の感情を十分に伝えてくれます。
西田夏奈子さん、足立由夏さん、大窪みこえさん(WAHAHA本舗)らによってリンクして発せられる語りも、いやらしさや下品さを感じさせず、とても好感が持てます。彼女たちも表情豊かに声と体で表現しているわけで、一度に手話と両方の表現で語りかけられる体験も新鮮です。イザベルさんのフランス手話もパフォーマンスとして楽しめます。

誰かと一緒に行くのは抵抗があるな…という方はお一人でもかまいません。ちょっと値もはりますが、面白い体験ができると思って、ぜひ足を運んでみて下さい。
何を感じるかは…体験してみないとわかりません

ちなみに、この日ちょうど通し稽古が終わったころに、地震がありまして…パリ在住フランス人イザベルさんは生まれて初めて地震を体験したそうです

『ヴァギナモノローグス』<手話×朗読>
8月17日(月)~23日(日)
六本木俳優座劇場
前売4500円 当日5000円

<トークゲスト>
18日19:00 早瀬憲太郎氏(映画『ゆずり葉』の監督・脚本。この映画は、本当に素晴らしかったです)
20日14:00 喰始氏(WAHAHA本舗主催・演出)
20日19:00 斎藤里恵氏(筆談ホステス。銀座のクラブのNo1だとか)
22日14:00 ピーコ氏(ファッションジャーナリスト)
22日19:00 尾辻かな子氏(前大阪府議会議員、レズビアンアクティビスト)
司会 飯泉菜穂子氏(NHK手話ニュースキャスター、世田谷福祉専門学校教諭)

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【こども映画館】~映画の冒険

2009-08-07 | 活弁
7日、国立近代美術館フィルムセンター【こども映画館~活弁と音楽の世界】の二日目のテーマは、「映画の冒険」。
『日本南極探検』『浦島太郎』『煙り草物語』『保津川の急流』『難船ス物語 第壱篇 猿ヶ嶋』『くもとちゅうりっぷ』冒険をテーマに6本の短編が上映されました。うち、活弁付きは3本。

『日本南極探検』(1912年)は、日本人で初めて南極大陸へたどり着いた白瀬中尉たちの探検の様子をとらえた貴重な記録映画です。
日本南極探検隊後援会長の大隈重信が撮らせた映像で、前日の大隈邸での壮行会や芝浦埠頭からの出航、そして船での様子や、南極大陸での探検の様子が映されています。日本人初のペンギンとの遭遇シーン、追いかける探検隊と逃げ回るペンギンのドタバタには子どもたちも大喜びでした。以前、フジテレビのベストハウス123にも紹介されています。

『難船ス物語 第壱篇 猿ヶ嶋』(1930年)は、嵐の中難破船で生き残った赤ん坊が猿ヶ嶋に漂着し、猿たちの中で成長する。日本漫画映画を大きく前進させた政岡憲三の切り絵アニメーション映画ですが、猿たちが、初めて遭遇する人間という生き物を「尾のない我々の祖先」「下等動物」「白猿」などと表現するかなりシュールな内容で、途中は笑っていた子どもたちも、最後に猿たちが「白猿だ!捕まえろ!」と叫ぶシーンでは、シーンと静まり返っておりました。さすが難船ス物語(ナンセンス物語)。

今年もフィルムセンター「こども映画館」開催、来場、ありがとうございました。
こどもたちと一緒に映画の楽しさを感じられる本当にありがたい企画で、演奏のFEBOのお二人とともに、今年もとても楽しく出演させていただきました。感謝申し上げます。

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フィルムセンター【こども映画館】

2009-08-01 | 活弁
今年も開催頂きました国立近代美術館フィルムセンターでの【こども映画館~活弁と音楽の世界 ダイナミックな動き!】

本日のテーマは「ダイナミックな動き!」。
日本人が撮影した現存する最古の映像『紅葉狩』、
目玉のまっちゃんこと尾上松之助主演、牧野省三監督の忍術映画『豪傑児雷也』、
弥次郎兵衛を河部五郎、喜多八を大河内伝次郎が演じ、三枚目の素質を見せている『弥次喜多 伏見鳥羽の巻』、
そして伊藤大輔と大河内伝次郎が初めてコンビを組んだ記念すべき作品『長恨』。
時代劇を、活弁とFEBOの生演奏とでご覧いただきました。

室町時代の侍の仇討だったり、尊王攘夷の物語だったりして、背景は少し難しいのですが、登場人物たちの動きや映像の面白さ、音楽や効果音やセリフに子どもたちは声を上げて楽しんでおりました。子どもたちのわあきゃあいう歓声や笑い声は、演者冥利に尽きます。

この【こども映画館】は、フィルムセンターの研究員の方が、解説をして下さり、映写室見学(抽選)などもできるという、映画好きのお父様お母様にとっても非常に魅力的な夏休み企画です。
8月7日(金)と8日(土)もあります。
7日は、また【活弁と音楽の世界】でFEBOとともに出演。次回のテーマは「映画の冒険」です。
楽しい作品、ドキドキする作品、シュールな作品、5本をご覧頂きます。お楽しみに。
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