「MotocrossActionmag」
9月28日のアメリカモトクロス専門ネット誌「MotocrossActionmag」が「HOW MITCH PAYTON SAVED THE PRO CIRCUIT EMPIRE IN THE PANDEMIC」を公開している。オフロードバイクの世界最大市場米国で、市場に大きな影響力をもつアフターマーケットの「PRO CIRCUIT」オーナー MITCH PAYTONさんにMotocrossAction誌がインタビューしている記事。現状のアメリカ市場を解説していたので、気なった個所を備忘録に残しておこうと思う。
2020年3月、コロナウイルスのパンデミックが発生した際、多くの人々は二輪業界の将来について非常に懐疑的だった。しかし実際は、多くの予測に反し、二輪スポーツは大きく飛躍した。二輪の販売店は新品のバイクが売り切れ、中古バイクはホットケーキのように売れた。加えてモトクロス業界もまた、新しいライダーが加わったことで恩恵を受け、ビジネスは活況を呈している。しかし、コロナウイルスのパンデミック最中の一時期、街中では、車がひっくり返り、パトカーが燃え、暴動が発生した。世界各地から部品のキャンセルも合間ってミッチさんも廃業が頭に浮かんだそうだ。その一時期の苦境の中、街がロックダウンされると、今迄バイクに興味がなかった家族が二輪を購入するようになった。と言うのは、それまで室内の競技に熱中していた子供が、コロナのパンデミックで室内での競技が出来なくなり、その子供たちが結果的にアウトドアスポーツに熱中するようになった。
コロナのロックダウン、2ヶ月程は販売が落ち込んだが、その後は爆発的にアウトスポーツに興じる家庭がバイク部品を購入し始めた。結果、2020年は販売が好調に推移した。特にエキゾートチャンバーはよく売れたし、WPのサスペンションも販売を伸ばし、2サイクルエンジンのシリンダーチューニングの注文も良く入るようになった、とミッチさんは言う。ミッチさんのインタビューはまだまだ続いているが、その中で個人的に興味が湧いた事象を取り上げてみた。記者の質問にたいするミッチさんの回答。
DO YOU SEE AN ELECTRIC FUTURE FOR OUR SPORT?
電動バイクは今後伸びると思うかとの質問に、そうならないよう願っていると回答。
何故なら、もし仮にスーパークロスのレースバイクが電動バイクだったら、非常につまらないレースになると思う。観客は電動バイクのスーパークロスレースに興奮することはできないと思う。電動バイクに、速さ、音、そして振動を感じる、エキサイティングな要因はない。だから、スーパークロスが電動バイクを採用すれば、観客はワクワクするMotoGPやF1またはドラッグに走ると思う。電動バイクの沈黙は釣りには最適だと思う。(この辺りはMOTOGPの覇者V.ロッシと同じコメント「2ストロークのエンジン音って、僕にとってはちょっと特別なんですよ…まぁ、最高って言っても良いかもね。4ストロークも好きですよ。電動バイクはねぇ…電気自動車もそうなんだけど、僕は好きじゃないかなぁ。モータースポーツと電気との組み合わせはイマイチなんじゃないんですか。」と。)
TWO-STROKES BIKES HAVE DEFINITELY GROWN IN POPULARITY.
I’m a die-hard two-stroke guy, because that’s where I came from. It’s what I rode and I learned how to do. During the first four-stroke boom, we saw a dip in two-stroke sales. The market switched to where you had to have a four-stroke. Whoever’s idea it was to make a 125 two-stroke compete against a 250cc four-stroke with double the displacement killed the 125.
私は2ストロークの熱狂的なファンです。今ここにあるの2ストロークエンジンのお陰、このエンジンから出発し多くの事を学んだ。4ストロークエンジンの最初ブームの時、2ストロークマシンの売り上げが落ちた。市場は、4ストロークでなければならないという状況に変わった。排気量が2倍の250ccの4ストロークには2ストローク125㏄で十分に対抗できると考えた人が125㏄クラスを結果的に殺してしまった。
WHY ARE PEOPLE GOING BACK TO TWO-STROKES?
Some of them had four-strokes and they said, “I can’t afford it anymore. I’m tired of spending big money.” A brand-new KTM is big money after all the fees. Speaking for the regular dudes, if they had a two-stroke before, they can buy an older two-stroke, fix it up, and that’s their baby.
4ストロークマシン所有者と話すと、彼らが言うには「もう余裕がないんだ。もう大金を使うのはこりごりだ」と言っている。新品のKTMは諸費用を考えると大変金がかかる。普通の人と話すと、2ストロークのバイクの所有者は、古い2ストロークのバイクを買って、それを修理して遊べる(だからあまり金はかからない)
WHY DID THE JAPANESE MANUFACTURERS MOVE AWAY FROM TWO-STROKES?
The California Air Research Board had talked about banning two-strokes in 1999. I tried to rally some of the manufacturers to talk to them. When I called Kawasaki, they were interested in talking to the people, but when I called American Honda, they said, “No.” They agreed in the early 1960s that they would try to clean up emissions, and they wouldn’t go back on their word, but California did not ban all two-strokes in 1999. Still, that threat scared the Japanese manufacturers out of making them. So, the actual motivation for developing the four-stroke was a fake threat. I don’t think the AMA was knowledgeable enough to realize what a four-stroke could be. They were stuck in the thinking that all four-strokes were air-cooled, big-piston, dumb four-strokes like the XR650 and XR400. They couldn’t see a future where four-strokes would rev high, have a short stroke, a big bore, a lightweight crankshaft and an electronic ignition. KTM was manned by hardcore motorcycle guys, and they saw a future with both powerful four-strokes and lightweight two-strokes. That’s why they are where they are today.
日本のメーカーが2ストロークから離れたのはなぜですか?については、1999年、CARB(カリフォルニア州大気資源局)が2ストロークエンジンの禁止について提案してきたので、いくつかの製造業者を集めて話をしようと試みた。その話にカワサキは賛成しホンダは拒絶した。・・・カリフォルニアは1999年にすべての2ストロークを禁止しなかった。それでも、日本のメーカーは2ストを作らなくなった。4ストロークを開発しようとする実際の動機は偽ものだった。当時のAMAが考える4ストロークエンジンとはXR650やXR400のような空冷ビッグピストンのダサいエンジンのイメージしかなく、まさか、4ストロークエンジンが高回転、ショートストローク、ビッグボア、軽量クランクシャフト、電子制御式イグニッション等を装備するとは想像すらできなかった(時代遅れの空冷4スト250㏄のエンジンには2スト125㏄が丁度いいと思った?)。AMAは4ストの可能性を理解する知識がなかったと思う。KTMは筋金入りのバイク設計者だから、パワフルな4ストロークと軽量な2ストロークは必ず両立すると考えてきたので、だからこそ、今のKTMの成功がある。
そして、ミッチさんはこう結論付けしている。
LIFE IS GREAT. I’M DOING WHAT I’VE ALWAYS LOVED TO DO,
AND I’M HAPPY TO BE ABLE TO CONTINUE.”
HOW DO YOU FEEL NOW THAT THE PANDEMIC SCARE IS FADING? Honestly, I’m just happy. To think that there was a time when I thought we weren’t going to survive. Life is great. I’m doing what I’ve always loved to do, and I’m happy to be able to continue.
「人生は素晴らしい。ずっと好きだったことをやっている。続けることができて幸せです」。
パンデミックの恐怖が薄れてきた今、どのように感じていますか?
正直なところ、ただ幸せだ。生き残れないのではないかと思っていた時期があったことを思うと。人生は素晴らしい。ずっと好きだったことをやっていて、続けられることが幸せです。
9月28日のアメリカモトクロス専門ネット誌「MotocrossActionmag」が「HOW MITCH PAYTON SAVED THE PRO CIRCUIT EMPIRE IN THE PANDEMIC」を公開している。オフロードバイクの世界最大市場米国で、市場に大きな影響力をもつアフターマーケットの「PRO CIRCUIT」オーナー MITCH PAYTONさんにMotocrossAction誌がインタビューしている記事。現状のアメリカ市場を解説していたので、気なった個所を備忘録に残しておこうと思う。
2020年3月、コロナウイルスのパンデミックが発生した際、多くの人々は二輪業界の将来について非常に懐疑的だった。しかし実際は、多くの予測に反し、二輪スポーツは大きく飛躍した。二輪の販売店は新品のバイクが売り切れ、中古バイクはホットケーキのように売れた。加えてモトクロス業界もまた、新しいライダーが加わったことで恩恵を受け、ビジネスは活況を呈している。しかし、コロナウイルスのパンデミック最中の一時期、街中では、車がひっくり返り、パトカーが燃え、暴動が発生した。世界各地から部品のキャンセルも合間ってミッチさんも廃業が頭に浮かんだそうだ。その一時期の苦境の中、街がロックダウンされると、今迄バイクに興味がなかった家族が二輪を購入するようになった。と言うのは、それまで室内の競技に熱中していた子供が、コロナのパンデミックで室内での競技が出来なくなり、その子供たちが結果的にアウトドアスポーツに熱中するようになった。
コロナのロックダウン、2ヶ月程は販売が落ち込んだが、その後は爆発的にアウトスポーツに興じる家庭がバイク部品を購入し始めた。結果、2020年は販売が好調に推移した。特にエキゾートチャンバーはよく売れたし、WPのサスペンションも販売を伸ばし、2サイクルエンジンのシリンダーチューニングの注文も良く入るようになった、とミッチさんは言う。ミッチさんのインタビューはまだまだ続いているが、その中で個人的に興味が湧いた事象を取り上げてみた。記者の質問にたいするミッチさんの回答。
DO YOU SEE AN ELECTRIC FUTURE FOR OUR SPORT?
電動バイクは今後伸びると思うかとの質問に、そうならないよう願っていると回答。
何故なら、もし仮にスーパークロスのレースバイクが電動バイクだったら、非常につまらないレースになると思う。観客は電動バイクのスーパークロスレースに興奮することはできないと思う。電動バイクに、速さ、音、そして振動を感じる、エキサイティングな要因はない。だから、スーパークロスが電動バイクを採用すれば、観客はワクワクするMotoGPやF1またはドラッグに走ると思う。電動バイクの沈黙は釣りには最適だと思う。(この辺りはMOTOGPの覇者V.ロッシと同じコメント「2ストロークのエンジン音って、僕にとってはちょっと特別なんですよ…まぁ、最高って言っても良いかもね。4ストロークも好きですよ。電動バイクはねぇ…電気自動車もそうなんだけど、僕は好きじゃないかなぁ。モータースポーツと電気との組み合わせはイマイチなんじゃないんですか。」と。)
TWO-STROKES BIKES HAVE DEFINITELY GROWN IN POPULARITY.
I’m a die-hard two-stroke guy, because that’s where I came from. It’s what I rode and I learned how to do. During the first four-stroke boom, we saw a dip in two-stroke sales. The market switched to where you had to have a four-stroke. Whoever’s idea it was to make a 125 two-stroke compete against a 250cc four-stroke with double the displacement killed the 125.
私は2ストロークの熱狂的なファンです。今ここにあるの2ストロークエンジンのお陰、このエンジンから出発し多くの事を学んだ。4ストロークエンジンの最初ブームの時、2ストロークマシンの売り上げが落ちた。市場は、4ストロークでなければならないという状況に変わった。排気量が2倍の250ccの4ストロークには2ストローク125㏄で十分に対抗できると考えた人が125㏄クラスを結果的に殺してしまった。
WHY ARE PEOPLE GOING BACK TO TWO-STROKES?
Some of them had four-strokes and they said, “I can’t afford it anymore. I’m tired of spending big money.” A brand-new KTM is big money after all the fees. Speaking for the regular dudes, if they had a two-stroke before, they can buy an older two-stroke, fix it up, and that’s their baby.
4ストロークマシン所有者と話すと、彼らが言うには「もう余裕がないんだ。もう大金を使うのはこりごりだ」と言っている。新品のKTMは諸費用を考えると大変金がかかる。普通の人と話すと、2ストロークのバイクの所有者は、古い2ストロークのバイクを買って、それを修理して遊べる(だからあまり金はかからない)
WHY DID THE JAPANESE MANUFACTURERS MOVE AWAY FROM TWO-STROKES?
The California Air Research Board had talked about banning two-strokes in 1999. I tried to rally some of the manufacturers to talk to them. When I called Kawasaki, they were interested in talking to the people, but when I called American Honda, they said, “No.” They agreed in the early 1960s that they would try to clean up emissions, and they wouldn’t go back on their word, but California did not ban all two-strokes in 1999. Still, that threat scared the Japanese manufacturers out of making them. So, the actual motivation for developing the four-stroke was a fake threat. I don’t think the AMA was knowledgeable enough to realize what a four-stroke could be. They were stuck in the thinking that all four-strokes were air-cooled, big-piston, dumb four-strokes like the XR650 and XR400. They couldn’t see a future where four-strokes would rev high, have a short stroke, a big bore, a lightweight crankshaft and an electronic ignition. KTM was manned by hardcore motorcycle guys, and they saw a future with both powerful four-strokes and lightweight two-strokes. That’s why they are where they are today.
日本のメーカーが2ストロークから離れたのはなぜですか?については、1999年、CARB(カリフォルニア州大気資源局)が2ストロークエンジンの禁止について提案してきたので、いくつかの製造業者を集めて話をしようと試みた。その話にカワサキは賛成しホンダは拒絶した。・・・カリフォルニアは1999年にすべての2ストロークを禁止しなかった。それでも、日本のメーカーは2ストを作らなくなった。4ストロークを開発しようとする実際の動機は偽ものだった。当時のAMAが考える4ストロークエンジンとはXR650やXR400のような空冷ビッグピストンのダサいエンジンのイメージしかなく、まさか、4ストロークエンジンが高回転、ショートストローク、ビッグボア、軽量クランクシャフト、電子制御式イグニッション等を装備するとは想像すらできなかった(時代遅れの空冷4スト250㏄のエンジンには2スト125㏄が丁度いいと思った?)。AMAは4ストの可能性を理解する知識がなかったと思う。KTMは筋金入りのバイク設計者だから、パワフルな4ストロークと軽量な2ストロークは必ず両立すると考えてきたので、だからこそ、今のKTMの成功がある。
そして、ミッチさんはこう結論付けしている。
LIFE IS GREAT. I’M DOING WHAT I’VE ALWAYS LOVED TO DO,
AND I’M HAPPY TO BE ABLE TO CONTINUE.”
HOW DO YOU FEEL NOW THAT THE PANDEMIC SCARE IS FADING? Honestly, I’m just happy. To think that there was a time when I thought we weren’t going to survive. Life is great. I’m doing what I’ve always loved to do, and I’m happy to be able to continue.
「人生は素晴らしい。ずっと好きだったことをやっている。続けることができて幸せです」。
パンデミックの恐怖が薄れてきた今、どのように感じていますか?
正直なところ、ただ幸せだ。生き残れないのではないかと思っていた時期があったことを思うと。人生は素晴らしい。ずっと好きだったことをやっていて、続けられることが幸せです。