野々池周辺散策

野々池貯水池周辺をウォーキングしながら気がついた事や思い出した事柄をメモします。

反撃開始

2021-07-12 06:35:29 | オフロード車事業
先日、FBのお気に入りに登録している、ネットの米国の専門誌数誌をよんでいると、成程と感じた記事があった。
数誌の中で、Motocross Action紙の記事は理解し易いものだった。ヤマハの2022年度発売予定の新しいモトクロッサーYZシリーズの紹介記事だ。それらは、
FIRST LOOK! 2022 YAMAHA YZ250 TWO-STROKE GETS A LONG AWAITED UPDATE
FIRST LOOK! ALL-NEW 2022 YAMAHA YZ125 WITH AN IMPROVED ENGINE
FIRST LOOK! 2022 YAMAHA NEW MODEL YZ85LW & UPDATED YZ85
Motocross Action紙の記事の注目ポイントは、ヤマハがモトクロスバイク125㏄と250㏄の2クラスに、2サイクルエンジンの新機種を投入している事。特に、現在、世界中のモトクロス選手権で開催され、根強い人気のある125㏄クラスにエンジンを一新した新機種を15年ぶりに投入した記事に興味が湧いた。しかも、新機種投入理由が愉快だったからだ。それには、
”At Yamaha, two-strokes are in our blood. That’s why we continue to develop and offer a full range of off-road two-strokes, and why we are so excited about these important new updates to our lineup” said Derek Brooks, Yamaha Motorcycle Product Line Manager. “These bikes are all about providing the fun and exhilaration of a lightweight, powerful two-stroke to the next generation of riders. We feel that Yamaha YZ two-strokes will continue to play an integral role in developing young riders and building future champions””」と書いている。ヤマハが2サイクルモトクロスバイクを15年ぶりに一新した理由を、ヤマハは「ヤマハにとって、2サイクルモトクロスバイクは我々の歴史の中心を流れる血液そのものだから、今迄もそうだったように、2サイクルモトクロスバイクのフルラインナップを開発し市場の要求に答えてきた。そして、今回、新しいバイクを投入によって、更に多くの若いユーザーが育ち、将来のチャンピオンに成長するチャンスを得られる事を誇りに思う」と回答している。
   Yamaha Motor USA

モトクロスマシンの主流が4サイクルエンジンに移行し、最新マシンが発表される度に感じたことだが、この4サイクル主流の開発方向は末端ユーザが本当に望む事なんだろうかとか、ひょっとしたら開発販売企業の都合だけで動いてはいないだろうかと言う疑念を毎年、持ってきた。2サイクルエンジンの持つ優位性が、4サイクル化によってエンジンは複雑化し、それは重量増とも繋がり、それにアルミの車体だ。4サイクルエンジンの持つ欠点を解消するために、油圧クラッチ採用だ、セルスターター採用だとなると、それらは更にコストに跳ねかえり、結局ユーザー負担。これでは健全スポーツを志向するモトクロスファンが逃げていくような気がしていた。あまりにも技術が複雑化してのコスト増ではユーザ負担が増加する。すると、必然的に原点に帰ると言う作用が発生するのは過去の日本のレーサーレプリカ時代もあったように、世界の多くのモトクロスユーザーは、今、販売価格も維持費も安価な2サイクルエンジンのモトクロスマシンを待ち望んいるはずだとズーッと予感してきた。

現に、欧州のKTMやHusqvarnaは新型の2サイクルモトクロスマシンを毎年継続的に市場に供給して続けており、 そしてヤマハも2サイクルモトクロスマシンを市場に安価で提供している現実もあり、市場末端ユーザーのレース出場選択権を増やすべきとするのは、全くの正論であろう。1998年、ヤマハが4サイクルエンジン搭載のモトクロスマシンを上市して以来、2サイクルエンジンを閉め出すルール化となったが、その後もヤマハは2&4を旗印に決して差別化せず2サイクルマシンを市場に供給してきた。構造がシンプルで取扱い軽量、加えて瞬発力があってコストパフォーマンスに優れたモトクロスマシンを市場は求めてきたと思うが、それが、現在の市場が求める2サイクルマシンだろう。2サイクルエンジン付きモトクロスバイクを開発供給してなんぼ儲かるんだと言う冗談めいた話を過去、あるメーカーの関係者から聞いた事あるが、市場は常に変化しているのだろうから、世界の半分以上を有する大市場である米国の末端の動きを無視しては通れはずと。市場は、かっての王者日本企業を噛ちらし、欧州の企業が名実とも王者に長く君臨してきたが、そんな時期に、15年ぶりにヤマハは世界的に注目されている2サイクル125㏄クラスに新機種の投入した。日本企業の代表、ヤマハの反撃が始まった。

世界一の大市場、全米のモトクロスの世界を支えているのが、多くのアマチュアライダー達だ。そして、アマチュアモトクロスレース活動、その行動の原点は「家族の絆」が歴史的に根強く存在しているからだと思う。思いだしてみると、'76年のアメリカテストを皮切りにアメリカ出張の機会も増えてきた。米国はモトクロスを中心とするオフロード車の大市場で、当時、当地のサドルバックパークやインディアンデューン等の郊外の山や砂漠地帯でテストに立ち会う機会も多くなった。現地に行くと、そこには数台のキャンピングカーを中心に、父親と少年少女達がモータサイクルや四輪バギー、VWの改造車でビュンビュンと走リ回っている。側で、母親はキャンピングカーに張ったテントの下で昼食のサンドウィッチを準備をしていて、楽しそうな家族的な風景だった。そこには、暴走族まがいの人達はおらず、あくまでも家族単位の行動で、アメリカの週末の過ごし方の一つを垣間見る事が出来た。アメリカ人は長い開拓移民時代に、家族が一つの単位となり、幌馬車に揺られて 新天地を求めて歩み、永住の地にたどり着いた歴史がある。その頃の開拓民にとっては「家族」が唯一の財産であった時代の名残が、いまも脈々と受け続けられいるのだろうと思った。開拓時代の馬が現代は単にモーターサイクルに替わっただけなのだろう。アメリカは広大な土地なので、チームを構成してレースを楽しむことは実質不可能で、行動は家族単位となる。日曜毎に開催されるモトクロスレースでは、父親がメカニック、母親と家族か応援。燦々と降り注ぐ太陽の下、6~8才前後の子供がレースに出場する事を中心に活動が始まり、そして家族の絆を深めて行く。騎馬民族の子孫、かって戦争に明け暮れた欧米諸国の人々が最後に頼った拠り所は家族であった。大西部時代を生き抜いたアメリカの名残が荒野を駆け巡って生活し、そして生きるための競争だった。それが現代まで続いた名残の一つがモトクロスとすれば、モトクロスはアメリカ人の心の故郷だろうし、文化として継承されているのかもしれない。モトクロスが子供の自立心を覚えさせ、行動に対する責任を自覚させていく。彼らが、アメリカのオフロード市場を支えている行動の原点だから、人口が増え市場が成長することはあっても市場が衰退すること等ないと、当時からの市場をみた実感だった。それに今回のコロナ騒動がアメリカの原点回帰を更に後押ししているように思う。

しかも、ここ数年前から、世界各地の主要モトクロスレースにおいて、2サイクルモトクロッサーが出場できるよう規則が改正されている。例えば、前述の米国の「125cc ALL-STAR RACE 」は2018年、全米で7戦開催され、AMAのモトクロスナショナル戦 Washougalで同時開催された「2サイクル125㏄」の優勝者は著名なチャンピオン・ヤマハのRyan Villopoto選手だった。今、モトクロスレースが盛んな大市場米国や欧州、カナダ、オーストラリアでは2ストロークエンジン搭載のモトクロスマシンが脚光を浴びており、例えば2ストロークマシンがモトクロス世界選手権GPの重要カテゴリーの一つとして現実に併催され、多くのモトクロスユーザーに歓迎されている。しかし、米国でのそれは、ナショナルMXレースでのエキシビションレースとしての扱いに過ぎなかった。それが、2019年、AMAプロモトクロスチャンピオンシップの全12ラウンドでAMAレースの一つのカテゴリー扱いで開催されることになったようだ。参加資格は、最低15歳以上で、現在のAMAメンバーシップを保持し、AMA分類が「B」以上であることに加えて、現在および以前のAMA Pro Racingライセンスライダーも、その指定されたイベントでプロのプログラムに参加していない限り、参加することができるとある。

更に加えて言えば、例えば、3年ほど前、米国の著名なアフターマーケット会社「Pro Circuit」の社長で「Pro Circuit Race Team」のオーナーでもあり、かつ優秀なエンジンチューナーでもある、Mitch Paytonさんのインタビュー記事「BETWEEN THE MOTOS MITCH PAYTON」があった。その前段にはこう纏めて書いてある。「“Everybody is buying some old two-stroke and they’re fixing them up as a weekend ride bike. I think there is a certain amount of people that love riding motorcycles and they just want to do it for fun. They don’t need a World Superbike to go ride on.”」とある。「・・米国では、生活の一部として極普通にバイクを楽しんでいる多くの人々がいる。彼らは古い2サイクルのモトクロスバイクを購入し週末には整備し、こうした人生を楽しんでいる。米国の多くの人々はバイクが好きなんだ。だけど、彼らが欲しいバイクはWorld Superbikeマシンでは決してない。・・」と。大市場アメリカは昔と変わらず保守的に見えるも最も活性化しているのは事実で、期を逃さず日本メーカーも動き出した。
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