野々池周辺散策

野々池貯水池周辺をウォーキングしながら気がついた事や思い出した事柄をメモします。

787トラブル

2013-01-18 06:25:29 | その他
   
17日のウォールストリートジャーナル紙は「米連邦航空局(FAA)は16日、米国のボーイング787型旅客機について、「一時運航停止」と「是正措置」を命じた。また、
同トラブルでボーイング関連銘柄の東レ、三菱重工、川崎重工などの売りが目立った」と 報道した。運航再開が見込まれる時期については明らかにしていない。
また、日米での2件のバッテリー事故を受け、国土交通省は17日、日本航空と全日空に対して運航停止を命じる耐空性改善通報を出すと発表した(朝日新聞デジタル)。

ANAのB787高松空港緊急着陸トラブルは、メインバッテリーの「ケース上部ふたのふくらみ」や「黒く変色した状態」で、熱を発して変色した可能性があるとし、
使用された電池はリチウムイオン電池で京都のGS湯浅製、ボーイング社がテストを重ねて安全性を確認して採用に至ったと新聞報道にある。
(リチウムイオン電池と言えば、ノートパソコン向けバッテリパック回収問題や携帯電話に採用されて電池パックの膨れや変形という不具合が記憶にある。)
従来はエンジン出力から分岐して得た電源をバッテリー電源に置換させることで、エンジン出力を推進力に主に使う事が出来るので燃料効率が改善すると言う。
787の不具合報道が相次いでおり、知っているだけでもJALの燃料漏れや発煙、ANAの操縦室窓ガラスのひび発生や燃料漏れが確認されている。
日米の航空局が当面、停止期間指示なしの787の飛行停止を指示したことで、ボーイング社への信頼性は落ちた。
加えて悪いことに、甘利経済再生担当相の不用意な発言で昨日は円高に推移、これに加えボーイング787不具合が日本株下落への引き金になった。
早晩、原因は究明されると思うが、FAAが設計や製造を含む包括的な調査に乗り出したことで、対策と安全性確認に相当な時間を費やすことになり、
調査結果次第では飛行再開や航空各社への引き渡しが遅れる可能性があると報道されている。

航空機は最も安全な移動手段と言われているが、その歴史は多くの事故解明から持たされたもの。
古くは、「コメット機の空中爆発事故」で、航空機事故の悲劇の先駆者だった。金属疲労による空中爆発だったと原因付けられ、その後の金属疲労研究に繋がった。
失敗学の著書として有名な畑村洋太郎(元東大教授)の「失敗学のすすめ」という本の中には、2種類の失敗分類があり、「良い失敗」=細心の注意を払っても防ぎようのない失敗、つまり学ぶ価値のある失敗。
もう一つは、「悪い失敗」=注意を払えば防止できた失敗、学び得ることのない失敗だそうだ。
良い失敗の好例ではコメット機の空中爆発が金属疲労学を発展させた好例の一つとして、「失敗学のすすめ」には記載されている。
コメット機の事故調査の当時は、疲労寿命に及ぼす過大荷重(過大圧力)の影響について、正確な知見がなかった。
内圧疲労試験の前に実施した耐圧試験の過大圧力によって、窓のコーナー部に圧縮残留応力が生じ、疲労寿命を増加させたと報告されているので、よく覚えている。
英国の航空機メーカがコメット機の飛行を停止して事故原因の究明や安全対策の策定で時間を費やしていた間に、米国はボーイングB707やダグラスDC8開発に成功し、
ジェット旅客機の世界市場が完全に米国のものとなっていたという曰くつきの事故だ。
B787の原因究明が遅れれば、市場は欧州のエアバス社に置換り、欧州連合はコメットの屈辱を晴らすことなるが、
一方ボーイング社株価の下落につられ、関係する日本の関連会社の株価にも大きく影響することになり、伸長傾向にある日本株価に影響を及ぼしかねない。

しかし、コメット事故を契機に、故障の拡大を食い止める「フェイルセーフ思想」が発展普及し、その後の航空機の安全性を著しく向上させたことは有名。
今回のANA機でも関係する警告灯が作動し、機長の判断で高松空港に緊急着陸したことで重大事故は免れた。
故障の拡大を食い止める「フェイルセーフ思想」等によって、アメリカの国家運輸安全委員会 (NTSB) の行った調査によると、航空機に乗って死亡事故に遭遇する確率は0.0009%であるという。
米国内において自動車に乗って死亡事故に遭遇する確率は0.03%なので、その33分の1以下の確率という報告もある。重大事故ではあったが「良い失敗事例」としての教訓を残した。


航空機事故で思い出したが、現役の頃、日米を往復している時期があった。ロスアンジェル空港と関空までの往復、当時はノースウェスト航空(NW)をよく利用していた。
当時のNWはLAX発日本経由でマニラ(だった?)行きだが、客室乗務員の質がとにかく悪かった。これしか便がないので使用せざる得なかったのだが。
航空機に乗ると、いつもそうだがビールを飲んで寝てしまう。 或る時、寝ていると場内アナウンスでこれからアンカレッジに向かうと言う。
何げなしに外を見ると、右側翼端から燃料らしき流体を空中に流し続けているではないか! 燃料放出、もしくは燃料漏れだか何があったのか知らないが異常事態だ。
それでも寝ている乗客が多いのか客室は意外と静かで、かなりの時間燃料らしき流体を放出していた。
アンカレッジ上空を数度旋回し、空港に着陸したものの、数時間機内に閉じ込められたままで、詳細のアナウンス報道がない。
数時間経過したにも拘わらず、今後の説明がない上に、機内に閉じ込められたままで、外部との連絡も取れない。
乗務員に日本に連絡したいとしつこく何回も要求すると、そのうち「特別だが、他には黙っててくれ」と言って機外に出してくれた。日本に電話すると家族はNW機緊急着陸の事を知っていた。
数時間機内にいたが、機体の修理や代替が出来なかったのだろうか、夜の11時ころだったと思うが、今日の晩はアンカレッジに泊ってくれと言う。
たまたまビジネス席だったこともあって、ビジネス客は優先的にホテルに車で移動した。冬だったこともあり外は大雪。疲れてホテルについて再度自宅に電話したら眠ってしまった。
朝起きても、その後の飛行機の都合がつかない。どうするんだと皆が詰め寄るも回答なし。その後、時間があるので動物園見学か、各自空港に行って時間をつぶすかの二者選択を選べと言う。
で、その日の半日動物園で過ごした。
確か、その日の昼すぎだったと思うがアンカレッジに空港に行ったが、まだ出発時間が決まっておらず、そこでブラブラと数時間の時間を潰した。
したら、突然並べと言って、帰国出来るようになった。ビジネス席だったから少しは優遇してもらえたが、聞くとエコノミー席の対応は異なっていたようで、それはかなり気になった。
たいした英語力もなく、早口に喋られたら理解不能。寒いうえに一歩間違えたらと言う、この経験は非常に困った思い出である。
NW機は度々こういう事態があると聞いてはいたが、「異常を感知したら飛ばない」を優先した結果だろうから、その点は有難かった。
アンカレッジ空港に立ち寄ったのは昔の「アンカレッジ経由米国行き」以来だが(当時はロビーには入れなかった)、空港内ロビーの2体の超巨大白クマの剥製だけが印象に残っている。



コメント
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