写真:夕闇迫る雀田駅に停車中の長門本山行き列車
←秋の乗り鉄'09 門司港レトロ観光列車「潮風号」に乗ろう!からの続きです
「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」を使っての、秋の乗り鉄の旅。
門司港レトロ地区を行く観光トロッコ列車「潮風号」でレトロ散歩と乗り鉄を堪能しましたが、まだ帰るには早い。何しろ丸1日普通列車が乗り放題のきっぷを持っています、乗らなきゃ損損!
(今になって思えば、この時さっさと帰っとけばあんな目に遭うことも無かったのだが…でもそれはまだ後の話)
という訳で熊本に帰る前に、門司港とは関門海峡を挟んで向かい合う対岸の下関へと渡り、さらにその先にある小さな支線の終着駅に寄って行くことにしました。
終着駅の向うに広がっている海を、久しぶりに見たくなったのです。

14:24門司港駅発、福北ゆたか線(筑豊本線)直通の直方行き普通列車(625H)。
今日最初に乗った列車と同じ817系電車です。
817系は九州各地区で使用されていますが、どういう訳だか新製されたら先ず筑豊地区へ投入されて、それから各地へと転属されて行くという事になっているようです。
14:31、門司駅到着。

ここで14:35発、下関行き5176Mに乗り換え。
415系1500番台です。
最近、首都圏の常磐線から同系列車が転入してきて戦列に加わったようですが、この日の5176MはJR東日本からの転勤組ではなく生粋のJR九州車輌でした。
関門トンネルをくぐって14:41、下関駅到着。

下関駅15:08発、山陽本線3376M。115系リニューアル車。
この列車、途中で快速列車のシティライナーや通勤ライナーになったりしながら、延々6時間以上もかけて岡山まで走破する長距離列車です。恐らく、日本一長い距離を走る普通列車ではないでしょうか。
でも僕は岡山まで乗ったら帰って来られなくなるので、40分足らずの乗車で3376Mとおさらばします。
15:47着、小野田駅で下車。
JR小野田駅
山陽本線から小野田線が分岐する駅です。

小野田16:12発、宇部新川行き1238M。
1輌単行のクモハ123形電車。
小野田駅を発車して5つめの雀田という小さな駅で下車。
ここから、小野田線の支線、通称“長門本山線”に乗り換えです。
同じクモハ123の支線の列車(1325M)に乗って、16:28雀田発車。

支線の電車の車内には、僕以外は誰も乗っていません。
僅か5分で支線の終点、長門本山駅に到着。

長門本山駅で支線の線路は唐突に途切れています。
文字通りの「終着駅」です。
線路の途切れた先にある道路を歩いてしばらく行くと…

海岸に出ました。
実は長門本山の支線は、以前は長門本山駅で途切れることなくそのまま海へと続いていたと言われています。
この海の底に、大戦前までは海底炭鉱があったそうで、長門本山線はこの海岸から産出される石炭を山陽本線へと運ぶ為に敷設されたのです。
その後、炭鉱は閉山し、海底へと続く線路も途切れました。
現在は水平線の向うに九州を望む静かな砂浜だけが長門本山駅の先に広がっています。
この海が、見たかったんです。
海から駅に戻り、再び支線の電車に乗り込みます。
長門本山17:03発雀田行き1326M。
長門本山線の列車は、1輌のクモハ123が1日5往復するだけの運用になっています。

長門本山駅と雀田駅の間にある支線唯一の中間駅、浜河内駅で途中下車。

列車が行ってしまうと静まり返ってしまう浜河内駅。
田んぼの中に住宅が点在する郊外にあるこの駅には、1日に10回、朝と夕方にしか列車がやって来ません。
ここからちょっと歩いてみます。
住宅地の中を行く生活道路を辿り、再び海を目指します。

途中、雀田駅で折り返して来た先程のクモハ123が田んぼの中を走って行くのが見えました。
色づく稲穂と夕焼け空、1輌だけのローカル電車。
…日本の秋ですねぇ。
浜河内駅と長門本山駅の間は1キロ程しか離れていないので、15分も歩けば終着駅に戻れてしまいます。

さっき追い越して行ったクモハ123が駅で待っていました。

次の雀田駅行き列車の発車まではまだ時間があります。
そこで…

また海に来ました。
水平線の向うの九州の山に夕陽が沈んで行きます。
…僕も九州に帰ろうっと。
長門本山駅17:45発1328Mで雀田駅へ。

このクモハ123はあと1回、長門本山駅まで行ってから、寝ぐらのある宇部線の宇部新川駅に帰ります。
だから次の列車が支線の最終列車です。
雀田駅から宇部新川行き1240Mで宇部線と合流する居能駅へ。
廃止された貨物線の側線が寂しく残る夕闇の駅で寂しく列車を待ち、18:18発1855Mで宇部駅へ。

宇部駅からは18:35発下関行き1563Mに乗車。
リニューアルされていないタイプの115系です。
下関駅で19:27発の九州直通折尾行き223Mに乗り換え。
415系1500番台。
関門トンネルをくぐって九州に戻ってきました。
門司駅で荒尾行き準快速4381Mに乗り換えて、大牟田駅で八代行き普通列車に乗り継げば日付が変わる前には自宅最寄り駅に到着できます。
ああ今日は楽しかった、大牟田に着くまでひと眠りしようかな…などと思っていたら、
「本日の19:45発荒尾行き準快速列車は運休します」
との構内アナウンスが。
何ーーー!?
事故かはたまた災害か。
状況がよく分からないけれど、こういう突発的トラブルの場合はすぐに駅員さんに対応を求めるよりはひとまず最寄の大きなターミナル駅まで行ってしまった方が後々の対応も何かと都合がいい(永年の乗り鉄で身に付けた知識です)。
丁度、目の前に日豊本線の普通列車が入ってきたので、とりあえずこれに飛び乗って小倉駅へと向かいます。
果たして小倉駅に到着すると状況が読めてきました。
鹿児島本線の博多方面のどこかで人身事故が発生したらしく、鹿児島本線系統は大幅に間引き運転をしている模様。
二日市まで行く普通列車は運行するので、これに乗るよう構内アナウンスで誘導しています。
仕方がない、案内通り普通列車に乗って待つこと暫し。結局、定刻より1時間ばかり遅れて何とか小倉駅を発車。しかしこの列車もどこまで走って行けることやら。
車内での状況説明アナウンスによると、事故が起きているのは鹿児島本線の博多よりちょっと先、水城駅と都府楼南駅の間。既に警察の現場検証は終了しており、運行再開を待っている状態のようです。
まぁそのうち運行再開するだろうけれど、既に1時間程予定時刻より遅れているし、何より本来は準快速列車でスピーディーに走っていくつもりが各駅停車の普通列車に乗車することになってしまったので、今後も遅れは拡大するだろうなぁ…
ということは、只でさえ終電間近に帰り着く予定を組んでいたので、たぶん今夜は自宅最寄り駅まで辿り着けないということだよなぁ…
ついでに、今使っている
「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」では「列車の運行不能・遅延等による払い戻し及び有効期間の延長はいたしません」とハッキリ謳っているので、どこかの駅で運行が打ち切られたらそこで夜明かしして、そこから先の区間は乗車券を買い直さないといけないということなんだよなぁ…
うわぁー、うちに帰れなくて大変な上に大損じゃないかー!!
何でこーなるの!?
…結局、途中途中の駅で先行する列車が詰まって動けなくなり、長時間停車して線路が空くのを待ちながらゆっくり鹿児島本線を南下、途中で後続の荒尾行き快速列車に乗り移れたけれど、この列車も大牟田駅到着時点で午前0時を過ぎてしまい、この先熊本方面への接続は特急列車のみという状況に。

乗車券と特急券を買って熊本駅まで行っても、そこから先の八代方面行きの列車はどうせ翌朝まで出ない。
それならこのまま、大牟田で夜明かしするわい!
…という訳で、深夜の大牟田市内を夜明かしできる場所を探してさ迷う羽目に。
見上げると見事な月。今夜は
中秋の名月だったのです。まさか、こんなシチュエーションで名月を見ることになろうとは…

ここで一句。
名月や大牟田をめぐりて夜もすがら
平成21年10月4日(旅に出て2日目)

ファミレスで読書しながら迎えた夜明け、有明海に沈んで行く名月を見送りながら大牟田駅に戻ります。
清々しい秋の日曜日の早朝、今日もいい天気です。
かくして、思いもよらぬ1泊旅行となってしまいましたが、「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」はまだ2回分残っているんだよね…
残り2回の乗り鉄の旅は無事に全うできるかな…ちょっと怖くなってきた(笑)
最後にひと言。
「人身事故は鉄道会社や乗客、ひいては社会に多大な迷惑をかけることになります。
何より、命を粗末にするのは絶対にやめましょう!」
天燈茶房亭主mitsuto1976からの、お願いです。
「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」は残り2回!
→秋の乗り鉄’09 JR小倉工場まつりに行こう!に続きます