失業率は徐々に回復したが、その間に「雇用システム」は、大きく変質した。
最も大きく変わったのは、派遣社員やパート、 アルバイトなどの「非正規雇用」が大きな割合を占めるようになったこと。
1995年、日経連は新時代の『日本的経営』 という報告書を発表し、日本の雇用構造の見直しを掲げた。
具体策として以下を提案していた。
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①長期蓄積能力活用型(管理職総合職等):長期継続雇用で月給制・昇給あり
②高度専門能力活用型(企画営業等専門部門): 有期雇用で年俸制
③柔軟型雇用(一般職): 有期雇用で時間給
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こうした提案がなされた背景には企業にとって人件費の抑制が至上課題となっていた。
この報告書後、 労働分野における規制緩和が相次いで行われた。
●1996年に対象業種25種に拡大
●1999年には原則自由化
●2003年には、製造業への労働者派遣の解禁、派遣期間の1年から最大3年への延長を内容とする改正
この報告書後、正規雇用が減らされる一方、非正規雇用は急激に増大した。
非正規雇用の総数は、1995年に1001万人であったのが、2005年には1634万人と増加し、就職難に悩む若者を中心とする派遣労働者が大きな割合を占め、非正規雇用は増加していった。
しかしながら、非正規雇用をめぐる問題の一つは、社会保障によるセーフティネットが脆弱なことである。
こんな就業環境下で、適齢期の若者にとって結婚や妊娠、出産は夢物語になっていった。日本の人口減の背景には雇用形態の変化が大きい。
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