福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

本 「ゴルゴ13」シリーズ(1) ギネス世界記録に認定

2021年09月08日 05時04分19秒 | 書評
 さいとうたかお著「ゴルゴ13」シリーズの単行本201巻が発売された。「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」として長寿漫画でギネス世界記録に認定された。

 それまでの記録は1916年に秋本治作「こちら葛飾区亀有公園前派出所」で200巻、その巻数を超えた。

 両者とも大変な業績を成し遂げた、と思う。

 「ゴルゴ13」シリーズは私の好きな分野の作品である。
 医学生の頃から最近まで、散発的ではあったが楽しんできた。実際に私が購入し、自分のライブラリーに収納している作品はNo150前後の20冊程度に過ぎないが、私はいつでもクールな、約束を絶対に反故にしない主人公のキャラクターに憧れてきた。

(150巻の表紙)

 ここ数年は、今問題になりつつある「AI兵器」のイメージを重ねて読んでいる。

 主役は、身長182cm 、体重80Kg、英語やアラビア語など18カ国語に精通する、寡黙な国籍不明のA級スナイパー、デューク東郷こと「ゴルゴ13」。この主人公は当初から全く老いていない、それ以上に時代に合わせて進化しているのが面白い。

 ビッグコミックに初めて登場したのは、冷戦期まっただ中の1968年。それから53年。初期の話題は、東側と西側の諜報員の人質交換、CIAがソ連の軍人の暗殺を依頼する話題など、東西の対立が関わるエピソードが目立つ。
 1989年に冷戦が終結。一時、「ゴルゴ13」の行く末が案じられたことがある。

 しかしながら、それ以降も、ゴルゴは消えなかった。
 経済摩擦や科学、環境問題、領海侵犯など、日本が置かれている国際的な緊張関係も取り入れ、時代に即応したテーマが人々を引きつけた。常に実際の国際情勢も反映し、時代を描いてきた。その「現代的」内容が、読者がついていく魅力になっている。

 テロや誘拐事件など国際犯罪の対策に携わってきた専門家も「物語の切り口のとなる国際問題についてよく調べており、読んでいて全く違和感がない」、と評価している。

 著者のさいとう氏は「目まぐるしく変化する現代の国際情勢や日本社会」の話題が一貫して読者に支持されてきたのだろう、と言う。作者が社会的視点を常にリニューアルしつつ持つことに加え、資料集めも大変だったと思われるが、「様々な分野に精通した協力者から、作画に必要な資料をいただいて、描いてきた。 編集者に新聞社、通信社から写真資料を集めてもらうこともあった・・・」、と新聞紙上で述べている。

 一定の意欲を持ち続け、それを発展させていく作者のエネルギーには頭が下がる。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 菅首相立候補断念表明(5) 新... | トップ | 本 「ゴルゴ13」シリーズ(2)... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

書評」カテゴリの最新記事