この夏、今まで体験したことのないほどの異常な暑さが続いた。涼しくなった今、迫っていた危険な暑さは過ぎ去ったが、過ぎ去ればそれでいいというものではない。
この夏に感じたことを振り返りつつ記録し次に備えたい。
この夏、危険な暑さが続いた県内で、熱中症の疑いによる救急搬送者数が急増した。
5~8月は昨年同期の約2.7倍に当たる1048人に上り、このうち8月は約7割に当たる747人。消防庁が記録を公開している2010年以降で最多となった。
9月に入っても気温の高い日が続く見込みで、県などは予防対策の徹底を呼びかけた。
8月3日は、県内で7人が熱中症の疑いで搬送された。そのうちの一人の女性は独居で、倒れていた部屋にエアコンはなかった。搬送時に意識はなく、体温が41℃と高い状態だったという。
県総合防災課によると、今年5月から8月30日までに搬送されたのは1048人で、死者は2人。65歳以上の高齢者が727人で全体の約7割を占めた。
住宅内で発症した方は586人で屋外での発症は123人であった。
8月の747人は、これまで最多だった2010年の374人を大幅に上回った。
搬送されずに亡くなったは9人。県総合防災課によると、乳幼児から18歳未満の子どもの発症は昨年より減っている一方で、高齢者は3倍近くに増えている。
秋田市消防本部は高齢者の搬送について「室内でエアコンをつけずにいる場合が多い。暑さに体が反応しづらく、危険な状態になるまで異常に気付かない傾向があるのではないか」とみる。
熱中症で体温が上がると、拡張した血管にたっぷり血液を送るために心臓と肺はフル稼働する。心臓の働きが追いつかなくなると、血圧が急低下し、めまいがしたり、よろけたり、ろれつが回らなくなる。
大量の発汗で塩分が失われるため、 筋肉のけいれんも起きる。多くの患者は意識が混濁して、すぐにも助けが必要な重大な状況であることに気づかない。
丈夫な人は深部体温が42℃まで上がっても何時間かは耐えられるが、乳幼児と高血圧が低下するにつれて、意識を失うこともある。
ここまで来ると心筋も含め、 筋肉組織が正常に機能しなくなる。
防御反応が低下した消化管から毒素が血流に入り始め、血管の中で血液が固まり始める。その結果、脳や心臓、腎臓、腎臓などの重要臓器が機能障害に陥り、やがて死を迎えることになる。
このように、熱中症は単に脱水症の範疇にとどまらない複雑な病態を持つ。厳しい多臓器不全の状態に進行しうる危険な状態なのだ。
早期発見、早期の対応が必要な所以である。