今年の夏はセミの鳴き声をあまり聞かなかった。
昨年までと明らかに異なる。
やはりこれも記録的な猛暑のためかと思う。
セミの愛好家や研究者でつくる日本セミの会(神奈川県) によると、国内に生息するセミは30種以上。秋田県内では少なくとも10種が確認されている。 平地にすむ代表的なセミは、茶褐色の羽を持つアブラゼミやミンミンゼミなど。
専門家はセミが「夏バテ」した可能性を挙げる。
私の自宅には結構樹木が多い。毎年夏、ケヤキやイチョウにセミが集まり、お盆ぎにかけて鳴き声がこだまし喧騒状態になる。ところが今夏はほとんどセミの鳴き声が聞こえなかった。
(我が家の庭の一角 樹木が多く毎年蝉が集まったものだ)
秋田市では猛暑日(最高気温が38度以上)が相次いだ。この暑さがセミに影響を与えたことは十分に考えられる。
日本セミの会の幹事の意見では「セミに限らず昆虫は暑さに強いわけではなく、今年のような厳しい暑さだとダメージを受けた可能性がある。 求愛のために鳴くということも含め、セミの活動そのものに影響が出る。アブラゼミはもともと暑い環境下ではあまり活動しない種類だといい、気温が35度を超えても活発なセミは少ない」と話す。
セミの幼虫は土中で5-6年過ごし、夏場に地表に出て夜に羽化する。土中ではまさか秋田の気温がこんな猛暑になっているとは考えなかったであろう。嬉々として地上に這出てみたらあまりの暑さに愕然し、ろくに繁殖活動もできないままに寿命を迎えたのではないか、と想いを馳せた。
今夏は蚊も少なかった。
私は真夏の間、自宅ではほとんど衣服をつけない。最小限の一枚だけである。そんな私は蚊の餌食になりやすく頻回に刺される。多少痛痒いが私にとってはどれほど苦痛ではない。腕に止まった場合などは、血を吸ってお腹が赤く膨らんでいくのをじっと見て、いい卵を産むのだよ、と呼びかけることもある。私は女性に、メスの動物達の繁殖機能に敬意を持っているからである。
所が、今夏はほとんど刺されなかった。
殺虫剤のメーカー「フマキラー」(東京)の広報担当者によると、6~8月は蚊対策商品の売り上げが伸び悩んだが、9月に入り持ち直したという。「9月半に蚊の商品が伸びるのはまれ」と驚く。
本州で人間をよく刺すのは「ヒトスジシマカ」。人が呼吸で出す二酸化炭素を巧みに感知し、成虫になると人を追い回す。25~30度で活動が活発になり、38度以上で木陰で休むらしい。寿命は2週間から1カ月。メスは吸血活動をすることで卵を産む。
生息域も広がっている。国立感染症研究所の調査では、ヒトスジシマカの北限は1950年ごろは栃木県だったが、2016年には青森県での定着が確認された。温暖化で北上しているらしい。