福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

東京五輪と震災復興(1) 新国立競技場建設問題

2015年07月27日 17時17分15秒 | 時事問題 社会問題
 2020年の東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設計画について、安倍首相が突然白紙に戻した。総工費が当初見込みの1300億円から2520億円に膨らんだことによる批判を受けて判断した、らしい。その決断はいいと思う。だが遅きに失した。

 2020年東京五輪は、誘致の段階から問題があった。
 五輪誘致は東日本大震災被災地に夢や希望をもたらす一方、「復興を遍らせる」という懸念があった。現に、最近の五輪の話題の中で東日本大震災との関連を論じる論調は見ることはない。
 被災地の人たちが「震災が利用されている」と思うのも無理はない。安倍首相がIOC総会での演説で、復興を強調し、一方で原発事故の汚染水漏れについて「状況はコントロールされている」と述べたことが「招致のために、うそをついた』と誰しもそう思った。それでも当時は震災と五輪の関連は生きていた。

 東日本大震災は終わってない。私から見て復興は道半ばである。

 少なくとも東京では、東京五輪組織委でも、「あれはもう終わったことさ」といわんはかりの空気が漂っているように見える。組織委に新設された被災地復興事業チームの構成は、兼務の課長1人だけ。被災他に向き合う態勢としては、あまりに手薄ではないか。昨年の第1回理事会の資料でも、復興関連計画は「大会を通じた被災他支援の取り組みについて検討を進める」と1行書かれているだけ、という。復興五輪にかける組織委の本気度はこんな程度なのだ。

 最近の話題の流れは新国立競技場の建設問題である。主会場の競技場の建築費が当初推定予算が1300億円、それが2600億円に膨らんだ。考え難い規模である。

 ちなみに、過去のメインスタジアムの建設経費は資料によると、1996年アトランタ246億円、00年シドニー414億円、04アテネは旧施設を改修、08年北京502億円、12年ロンドン828億円であった。新国立競技場1300億円は始めから異常である。

 日本のどこにこれだけの施設を建設する費用があるのだろうか??
 私は日本人の、政治家の金銭感覚がズレているような気がしてならない。
 経済再建をうたいながら毎年の国の予算は右肩上がりに増加している。しかも、税収とほぼ同額の国債発行で賄っていて、国の借金は1000兆円ほどにも達している。社会保障費は抑制開始し始めたと言えど実効性は疑問である。国民皆保険の理念・発想は相変わらず右肩上がりで経費は年々膨らんでいく。

 こんな発想があるのだから競技場の建築費が1300億円から2600億円に跳ね上がっても関係者は焦りもしない。第一、責任者はどなたのだ? 森元首相だろうが自覚は一切ないようだ。ここに至ってやっと首相が重い腰を上げた。内閣支持率ともリンクした決断だったが、経済問題からではなく、保身のためである。現に10日の国会答弁では計画を進めると述べながら、15日には見直しを表明している。この変わり身は、論理的というよりは政治的な思いつきである。一体、何なのだ?
コメント
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