福田の雑記帖

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財政再建2015(6) 医療保険制度改革関連法強行採決 医療環境はこうなる(3)

2015年07月23日 14時51分13秒 | 政治・経済 国際関係
 患者や国民への説明も不十分なまま、この5月に「医療保険制’改革関連法」が短時間の審議で強行採決された。
 政府は経済財政運営の基本方針「骨太の方針」で社会保障費を「歳出改革の重点分野」と位置付け、今後3年間、毎年3干~5千億円の国庫負担を削減するとして、以下の改革を2015年度から順次着手する。
 
 私は今回の改革案も、医療費の膨張抑制には不十分な効果しかないように思う。財源不足と言いながら医療保険制度の考え方は右肩上がりの傾向にある。これだと細かな修正を繰り返しながら傷口を広げていく。介護保険の給付はトカゲの尻尾切りの様相を呈しているが将来医療保険もこのようになるのではないか、と危惧している。

 今後、医療・介護・年金はどうなるか。

(1)国保税か高すぎて保険料が払えず、必要な医療から排除されている世帯が全国で360万世帯を超えている。今回の法では国保の財政運営を市町村から都這府県に移管するとしており、保険料徴収がさらに強化される可能性もある。市町村が独自に実篇している保険料軽減のための財政措置も縮小されるかもしれない。

(2)都淮府県が作る医療費適正化計画に医療給付の目標総額を明記し、病床削減とリンクさせるとしている。ベッド削減で退院を余儀なくされる患者は増えることになる。

(3)入院給食費の自己負担が1食当たり260円から460円に値上となる。1カ月入院すると食事代だけで1万8千円もの負担増になる。

(4)大病院を紹介状なしで受診した場合、5千円から1万円の定額負担も導入。

(5)「患者申し出療養」の創設。日本では保険のきかない診療を保険診療と同時に行う「混合診療」は原則禁止されている。歯止めなく混合診療が広がれば、国民皆保険の理念が失われて行く。

(6)介護分野でも保険料はアップし、介護度の低い利用者への給付が打ち切られる。夫婦で年280万円以上の収入があると介護サービス利用料か1割から2割になる。

(7)年金は支給開始年齢を68歳前後に遅くすることか検討されている。

 小泉政権で年間2200億円削減され、医療界は急速に崩壊に向かったが、今回の計画はその当時の倍ほどの削減となる。だから、当時経験した以上の「医療崩壊」、「介護崩壊」を生み出すことになりかねない。
 
 現在の社会保障の費用は小泉政権時代よりも少子高齢化も進み、後期高齢者も増えているからさらに高額になっている。こんな状況での費用削減計画は実行が困難である。もし実行されると国民の痛みは相当なものになる。
 それでも経済再建にはそれほど大きくは寄与しない。
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