福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

時間について2015(4)生活習慣の適正化は時間の不平等を解消できるのか

2015年07月21日 02時19分03秒 | 医療、医学
 生活習慣に関しては動物実験の範囲では、飼育の温度環境、摂取カロリーの量による差が明らかにされている。
 人間の場合にも生活習慣が重要との論説はある。

 1973年に発表された「ブレスローの七つの健康習慣」は40年前に提唱したもので、1997年版厚生白書で紹介されるなど、日本でもよく知られており、今でも寿命、健康寿命を論じる際には引用されている。
 その健康習慣の項目とは、▪️1.喫煙をしない、▪️2.過度の飲酒をしない、▪️3.定期的に激しい運動をする、▪️4.適正体重を保つ、▪️5.適正な睡眠を取る、▪️6.毎日朝食を食べる、▪️7.不必要な間食をしない--の七つである。

 ブレスロー博士の業績は、20年に渡って、カリフォルニア州に住む6,928人の生活習慣を調査・分析した研究で、この7つの習慣を持つ人は、障害を持ちにくいことが判明した。博士自身も喫煙せず、アルコールは嗜まず、お亡くなりになったのは97歳であった。
 4つの習慣しか持っていない人が、10年間のうちに障害を持つ割合は12.2%、2~3つの習慣しか持っていない人は14.1%、1つの習慣しか持っていない人は18.7%という結果であった。45歳の男性において、7つの健康習慣のうち6~7つを実施している人の寿命は残り約33年、実施していない、もしくは3つ以下の人の場合は残り約22年との評価であった。これほどの差が出るとの評価は驚きである。

 ただ、これには異論もある。我が国の約7000人のデータを分析したところ、実行数七つを基準とすると、実行数が少ない人ほど、収縮期血圧も拡張期血圧も有意に低くなることが示された(p<0.05)。研究した慈恵医大和田教授は「ブレスロー氏の健康習慣は日本人にとっては死亡率には影響がない」と指摘している。

 生活習慣の適正化は寿命という時間の不平等を解消できるのか?

 この40年の間に日本の平均寿命は確実に伸びているが、その間に国民の健康意識は変化し、医療機関への受診率、健康診断受診率、予防接種の普及、喫煙率の減少、脂肪摂取量の抑制など、かなり改善していると思われる。
 40年前であれば「ブレスローの七つの健康習慣」の意義は大きかったと思われるが、現代社会においてどれだけ意義があるのか不明である。
 そうはいっても不摂生の是正がマイナス効果にならないと考えられるから、与えられた人生の長さを有効に活用するために心すべきことである。
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