福田の雑記帖

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音楽談義2015(6) 国立劇場バレー団公演「白鳥の湖」 

2015年07月14日 16時49分13秒 | 音楽談義
 我が家のハードディスクにNHKBSで2014年の国立劇場バレー団公演「白鳥の湖」が録画されていた。私は喜んだ。 
 私はバレーのうちでもこの作品が最も好きで、レコード、CDを始め、レーザーディスク、TV由来のS-VHS録画ソフトなど7-8種類ほどのソフトを所持し、適宜楽しんできた。このうち、レーザーディスク、S-VHS録画はハードが壊れ、修理不能で見ることができなくなって数年経つ。

 この「白鳥の湖」は、終始名旋律揃いで、映像がなくても十分に楽しめていた。
 しかし、今回の国立劇場バレー団公演映像を見て、バレーには映像を欠いては片手落ちであることを再確認した。そう思わせるだけの見事な出来であった。

 「白鳥の湖」の主役、白鳥のオデット、黒鳥のオディールの2役を踊ったのは同バレエ団プリンシパルの米沢唯さん。私はこの録画を見るまでは知らなかったが、舞踏演技力、気品、妖艶、悲嘆の表情など、すべてをバランス良く表現した舞台姿に、私は圧倒された。
 
 この美しくかつ悲しいヒロインを演ずるには、踊りが上手いと言うだけでは不足で、気品とが備わっていなければダメ。米沢唯さんは高校の時ローザンヌ国際国際バレーコンクールの決勝に進出した実力者。2010年に契約ソリストとして新国立劇場バレエ団に入団した。2013年よりプリンシパルに昇格した逸材という。主役は全幕に登場する。時間的に見ても1時間半は踊っていることになるだろう。その間の踊の難度も相当なものである。

 白鳥は美しさと同時に強い生命力を持つ鳥でもある。
 美しさについてはダンサーの首から体全体の曲線なども必要だし、水面を漂っている時の静かな美しさも表現しなければならない。そして優雅な姿とは裏腹の強い生命力がある鳥である。静けさ、そして美しさを表現する白鳥の湖はオペラでもミュージカルでも表せない独特の世界である。このバレーを見るといつもボディランゲージの重要さを思う。

 他のダンサー達もすべて初耳の方々ばかりであったが、総合的に見て見事なアンサンブルだった。もっとも、私には技術的なことを評価する力はないのだが、感じることは可能である。

 演奏は指揮A・バクランの東京フィルが務めた。特に、VnとVcのソロ二重奏を聞くことのできる白鳥のオデット、黒鳥のオディールとジークリードが二人で踊る部分の演奏は圧巻であった。

 加えて見事なのは映像記録の技術である。
 「白鳥の湖」のスコアを熟知し、演出を熟知し、ヒロインたちの動き、どのアングルでの表情が最も効果的なのか、等などを知り尽くし、リアルタイムに記録したスタッフ達の力量も素晴らしい。
 オペラ、管弦楽の演奏会、バレー等の映像記録自体も総合芸術の地位を与えてもいいと思う。
 この週末に2回も見た。今後も繰り返して観ることになるだろう。
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