福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

日本の医療の現状と課題(15)皆保険制度を守るためにどうすればいいか 


2012年09月22日 02時12分19秒 | 医療、医学
 わが国の皆保険制度は、医療関係者の一人である私から見れば言われていたような理想的な仕組みではない。しかし、国民や患者の立場からみれば良い制度であり、WHOの評価や昨年掲載されたLancet誌の記事だと世界的に見ても評価が高い。

 WHOは医療機関へのかかり安さ、平等性、対費用効果等の面で高い評価を与えている。Lancet誌は、官民の連携、公衆衛生アプローチ、医療サービス、アクセスの保障、世界一の長寿達成、低価格で高品質な医療、公平な医療提供体制を維持・・と前向きに評価している。

 国民皆保険制度は主として経済的な面から危機に瀕している。
 この制度は何とか維持し続けなければならないと思う。国民も医療機関も、医療関係者もこの制度の恩恵を大きく受けている。一方では国は財政の悪化を理由に低医療費政策を続けてきた。その様な中、日本医師会、各地の医師会も国民皆保険制度の堅持を国に訴え続け、制度破綻につながり兼ねない混合診療の解禁、医療分野への株式会社の参入問題等の施策には断固として反対し成果を上げてきた。

 しかし、現実をみれば年間一兆円ほど国民医療費は増大している。その主因が少子高齢化だから今後も経費増大は10数年間続く事になる。しかも、国家予算は上限があるために医療費の増大は全ての分野に影響を与える。また、その頃の日本の経済状態は分からない。しかし、決してバラ色ではなかろう。
 だから、国に対して低医療費政策をやめて国民皆保険制度を維持せよ、と要望書や決議文を出すだけでは解決しない。医療関係者も皆保険制度を守るために発想の転換をしなければならない。

 皆保険制度を守るためにどうすればいいのか?
 国が潤沢にお金があるなら起こらない問題だと考えれば、ことは単純である。今の医療がわが国の現状の、将来の経済状態に相応しい内容で効率的に提供されているのかについて科学的、論理的な分析が行われなければならない。結果として国、国民、医療機関が具体的にどうすればいいのか見えてくるだろう。
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