福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

日本の医療の現状と課題(14)消費増税10%だけでは国民医療は破綻する

2012年09月20日 16時07分39秒 | 医療、医学
 消費増税法案が成立した。
 マニフェストとの関連、増税までに至手続きについては評価が分かれるが、私は歴代政権がタブーにして来た消費税増税を成し遂げた野田首相の功績は評価したい。

 野田首相は財政再建のために避けては通れない、と説明してきたから多くの方は10%への増税によってわが国の財政事情が一段落するだろう、加えて社会保障が充実する、と思っているのではないだろうか。実態は違うと思う。
 国家予算の支出面に手を付けなければ10%への消費税増税は、焼け石に水であり、増税のマイナス面が前面に出てくる可能性がある。「社会保障と税と一体改革」というのは「消費税を増税し、社会保障を充実する」のではなく「増税し、社会保障を見直す」と言う意味での一体改革と思う。

 野田首相は説明不足だ。野党からは「一体改革」論議の中で増税が先行し、社会保障制度の改革は不透明だ、とか、消費税増税前に「行・財政改革、デフレ脱却、社会保障改革などを先行させるべき」という声が上がったが、理想論でしかない。中期予算枠組みが決まっている中で国民医療費が増え続ければ、他の分野の予算を削減せざるを得なくなる。

 私は野田政権の「一体改革」は社会保障予算を増やして充実させる案ではないと思う。野田氏は「現状ではジリ貧だが消費税を上げれば、その先に展望が開ける・・」と、強調してきたが、現実は「消費税10%」だけで持続可能な社会保障制度はつくれない。10%への増税が生む13兆円の財源では、毎年度の財政赤字の半分も充填出来ないどころか、毎年増え続ける国民医療費をこのままにすれは10年で不足し、元の木阿弥になってしまう。その時点でまた増税するのか?

 だから、増税と同時に増え続ける医療・福祉サーピスについて考えなければならない。現状のままのサービスを提供するなら税率を最低限20%にする必要がある。30%なら若干余裕が出来てサービスを充実していく事も可能になる。消費税は満身創痍状態で10%に決まったが、一息もつけない。将来的にも10%で維持していくのであれば、社会保障費を大胆に削る必要がある。否、国家予算を適材適所へ傾斜配分して国を維持しなければならない。

 私は野田首相は説明不足だったと思う。国民に消費税増税の意味が正確に伝わっていない。国民が抱いた「10%負担することで国の財政はよくなり、社会保障は充実する」と言った誤解を放っておけば、次にもっと辛い選択が迫られた時に大変なことになり得る。

 医療関係者も、日本医師会も、全分野で右肩上がりの発展は望めない、そういう時代になったのだ、と真剣に考えないと自らのクビを締めることになる。
コメント
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