福田の雑記帖

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映画「道ー白磁の人」 日韓の歴史を理解する一助になった

2012年09月01日 05時20分49秒 | 映画評
 日韓関係は竹島問題で険悪後がましている。ここ一ヶ月ほどの李明博大統領の発言や行動は国家間の外交の常識を越えたもので、なかなか理解出来ない。これで低迷していた大統領の支持率は一気に70%台にまで上昇した、と言うから、国内の政治的事情が関連している可能性が高い。韓国では「反日」と叫ぶだけで気持ちを高揚させる効果があるようで、日韓併合時代に味わった苦痛の怨念と言うべきか。

 私は不勉強にして韓国に付いて知識は乏しい。反日感情の根深さを感じとることは出来るし、その背景も幾ばくかは理解しているつもりである。表面的な知識しかない。1910年8月に大日本帝国は大韓帝国を併合し朝鮮半島を領有し支配した。1945年9月2日降伏文書調印によって朝鮮半島領有は終了した。
 日本では併合の評価に賛否双方あるが、韓国側では否定的にな見方が多数で、日本による統治を肯定する言論は社会的に容認されない。

 折しも『映画「道ー白磁の人」を上映する秋田の会』主催で8月27日に市文化会館小ホールで映写会が開かれた。いつもなら見逃していただろうパンフレットに目が止まったのは、日韓の関係について興味と心配があったからであろう。

 原作は 江宮 隆之著、小説「白磁の人」 (河出文庫)である。
 浅川兄弟の弟、浅川巧(1891-1931)は日韓の教科書にも載っていると言う実在の日本人。日本統治下の朝鮮半島で植林事業に勤しみ、信念を貫いて生きた青年の半生を描いたドラマ。監督は高橋伴明。浅川役は吉沢悠。

 浅川伯教、浅川巧の兄弟は山梨県北杜市出身、共に朝鮮半島に渡り朝鮮工芸の美に魅せられ、研究した。
 伯教は700箇所にも及ぶ朝鮮王朝陶磁の窯跡を調査した。弟の浅川巧は朝鮮半島で林業技師として荒廃した山々の緑化に奔走するかたわら、兄とともに朝鮮陶磁の研究に心酔し、「朝鮮陶磁名考」を書き残した。巧は日本の軍人から厳しい扱いをされながらも現地の人々に分け隔てなく接し、朝鮮語を話し、その地の風俗や文化を愛したが、40歳の若さで病死した。ソウル市にある墓は、今も彼を慕う韓国の人々によって守られ続けていると言う。

 2001年に浅川兄弟の人と業績を紹介する資料館が北杜市高根町に設立されている。そんな重要な働きをした浅川兄弟について恥ずかしながらこの映画を観るまで知らなかった。

 この映画では、韓国併合時代に行われた数々の圧政、蛮行については一部垣間見ることが出来るがそれほど深くは取り上げていない。その面ではちょっと物足りなかったが、私にとって日韓関係の歴史の一部に触れることが出来たのは今後の理解のためにも役立つだろうから、大きな喜びとなった。
コメント (1)
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