福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

東日本大震災(39) 釜石の奇跡(2):南海トラフ関連災害への指針になる

2012年09月08日 10時22分51秒 | 時事問題 社会問題
 9/1(土)の「NHKスペシャル-釜石の奇跡」も見た。
 「釜石の奇跡」は片田教授が「想定を信じるな」「最善を尽くせ」「率先して避難せよ」の3原則を徹底して子どもたちに覚え込ませる実践教育の成果である。番組で流れたある子供の発言、「釜石の奇跡ではなく、釜石の実績と言って欲しい・・・」は心に残った。確かに奇跡的に助かったのではなく、助かるべくして助かったと言える。これは教育実践の具体的実績と成果なのだ、と思う。確かな、的を得た発言である。感心した。

 ここでやはり疑問が残る。
■沿岸にはかなりの小中学校があって共通して危険に対峙している筈なのに なぜ、釜石だけが特別な教育体制を敷き得たのか?
■釜石の教育実践は各県の教育委員会とかに報告があったと思われるが、このような教育の必要性を認めていなかったのだろうか。釜石だけの試み、として受け流していたのだろうか。
■生き残った方々への調査で40%超の方は避難しなかった、と答えている。釜石でも多分同様だったと思われる。子供達への教育が地域の教育にまでなっていなかったのが悔やまれる。
■住民にとって初めて体験する地震だった筈である。かつて、津波の被害を何度も受けた三陸の方々の津波に対する認識が鈍っていた、と思わざるを得ない。その背景は何なのだろうか。安全対策のメリット面だけを強調し、限界を知らせていなかったのでは?

 私は片田教授の3原則に加えて、「家族も逃げているはず。戻るな、助かってから探せ」を加えればいい、と思う。そのためには平時から家庭や地域で避難対策を話し合って各人がバラバラに逃げるべき事を納得・徹底しておく必要がある。そのことが地域全体の防災教育になる。

 内閣府は「南海トラフ大地震と津波」に伴う死者数は、最大で約38万人に上るという被害想定を発表した。想定外の災害と言われないように過剰に見積もったのではないか?と言う印象はぬぐえないが、大地震に伴う家屋倒壊・火災・津波などへの防災対策の備えとして、学童を含む地域ぐるみの防災教育を充実し、訓練等を通じて徹底することが望まれる。

 釜石の実績がその必要性と成果を明らかにした。
 ただ、自分で避難できない障害者、虚弱者対策についても指針を示し、対策を実践しておいて欲しい、と思う。
コメント
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