わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

盆器(盆栽鉢) 9(盆器を作る4)

2011-09-21 21:50:55 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
 盆器大図鑑(近代出版)を見ていると、狂いや歪みの無い作品は、高い評価を受けている様です。

 特に釉の掛かっていない、裸の状態の泥ものは、一目瞭然にその良し悪しが解かってしまいます。

 当然、狂いや歪みの無い盆器の製作には、高度の技術が要求されるのですが、単に技術的な問題

 だけでは無く、土の性質を、理解していなければなりません。

 作品が歪む原因は、乾燥する事により土が縮む事と、焼成時に土が軟らかく成る事が、原因です。

 尚、主な直な原因は以下の場合です。

 ① タタラ(板状の粘土)は乾燥時に反りが発生します。

  ) タタラ単体では、空気に触れる面積の大きい方に反ります。

  ) タタラで作った箱状の器は、内々に反ります。即ち側面は内側に、底部は上方向に反ります。

    直線的な縁も、反ると弓なりになります。

  ) 長手方向に長いもの程、反る量は大きくなります。

     (尚、厚みに関しては、余り関係しません。)

  ) 乾燥の仕方によっても、大きく反り返るります。

     全体を均等に、乾燥させる事と、乾燥を遅くする事によって、予防できます。

  ) タタラの作り方によっても、反る方向が決ります。

     ローラーなどで薄く展ばすと、ロール目と直角方向に反ります。

     それを防ぐ為には、一方向ではなく、四方八方に展ばす必要があります。

  ) 土の記憶性も関係します。大きな一枚のタタラから、各部分を切り出す際に、同じ方向に

     展ばした板を使いたいです。方向がバラバラですと、各々の反りが合わず、繋ぎ目等に、

     「割れ」や「ひび」が入り易いです。

 ②  肉厚の差によっても、狂いや歪みが発生します。

  ) 肉厚部は肉薄部分より、縮もうとする力が強く働きます。それ故、肉薄部が引き裂かれる様に

    成り、歪みや「ひび」が入り易いです。

  ) 紐作りの様に、製作時に肉厚に差が出る作り方では、削り作業で均一に削る必要があります。

 ③  土が焼き締まる程度に高温になると、土が若干軟らかくなります。

  ) 横長の作品で、背の低い物は、四隅の足だけでは持ちこたえられず、中央が垂れてきます。

    それ故焼成時には、「め」を立てて、下から支える必要があります。

    又、足の付け方が悪い(細すぎる、高さの狂い、足に均等の重みが掛かっていない等)と、

    乾燥時や焼成時に、歪みが発生します。

  ) 土の耐火度(強弱)によっても、変形の割合が違います。作品を焼成する前に、

    使用している土が、何度まで持ち応えられるかを、確認しておく必要があります。

 前置きが長くなりましたが、本日のテーマの「盆器を作る」の話を続けます。

4) 狂いや歪みの無い作品を作る。

 ① 電動轆轤で作る。(昔ながらの手回し轆轤や、蹴轆轤でも同じです。)

  ) 轆轤作業に馴れた方は、轆轤作業で比較的容易に、作品を作る事が出来ます。

    作る時間も、短時間ですので、同時に何個でも作れます。

  ) 基本的には、形は円形に成りますが、小さな物から大きな物まで、綺麗な形に作る事ができます。

   更に、肉厚も均等に作れますので、乾燥や焼成の際の狂いや歪みが出る恐れは、少ないです。

   ・ 注意する事は、轆轤挽き後、手板に作品を取り上げる時に、歪みが出易い事です。特に初心者は

   折角綺麗に轆轤挽きが出来たのに、手板に採る際に歪み易いです。歪みは作品の腰で直します。

  ) 轆轤挽きした作品は、若干乾燥後に、「カンナ」で不要な部分を削り取ります。

     又、底の中央に穴を開ける事や、足を削り出す事も容易な作業です。

 ② タタラの貼り合わせによる方法

  )貼り合わせでは、繋ぎ目が重要な場所です。この処理が上手く出来ると、狂いや歪みの

   少ない作品を作る事が出来ます。 

  ) 貼り合わせの角度も、四角で直角(90度)、六角(120度)、八角(135度)と

     成ります。90度以外の角度で貼り合わせるのは、かなりの熟練を要するか、冶具(じぐ)が

     必要に成ります。各角(かど)の角度が一定でないと、作品は歪んで見えます。

  ) 両方の貼り合わせ部に、しっかり傷(あやめ紋の傷=刻み)を付け、糊の役目の「どべ」を付け

     両方を押し付けて接着します。接着部が弱いとこの部分が剥れたり、「ひび」が入り易いです。

  ) 仕上げ作業。どの様な作品でも、仕上げ作業に手を抜くと、良い作品はできまっせん。

     貼り合わせの部分が綺麗に成るように、削ったり土を足して補正し、綺麗な角を出します。

 ③ タタラによる型作り。


以下次回に続きます。
   
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