窯出しは、何回経験しても、不安と期待で、扉を開ける物と、成っています。
織部釉は、表面に酸化皮膜(くもり)が出来、色が「ぼやけ」て、綺麗な緑色が、出ない事が有ります。
そこで、この皮膜を取る方法が、かなり古い時代から、行われています。
その方法が、栃渋(とちしぶ)を使う方法と、塩酸で洗う方法が有ります。
この塩酸は、強酸で人体に影響を与える、物質(溶液)と成ります。
1) 銅釉に酸化皮膜の出きる理由
① 他の金属釉で、酸化皮膜が出来ず、銅のみに、酸化皮膜が出来易いです。
銅は高温で、揮発します。それ故、他の金属釉よりも、多量の銅を使う、必要が有ります。
銅の量が、多い(10%以上)と、酸化皮膜が出来易いです。
同様に、釉を厚く掛けた場合にも、皮膜が出来易く、厚く掛け過ぎると、表面が、黒っぽく、
仕上がります。
② 織部釉は、急冷で綺麗な色に、発色します。(皮膜は、冷却時に、発生します。)
それ故、窯が大きな場合や、窯の壁が厚い場合には、窯の冷却は遅くなり、皮膜が出来易いだけで
なく、皮膜の強度も強くなります。
但し、焼成温度を低くすると、釉の表面が、艶のない、黒色になり易いです。
一度黒くなった表面は、高い温度で、もう一度焼成しても、中々取れません。表面の皮膜が邪魔を
している為で、表面の酸化膜を取除いた後、再度焼成します。
③ 長石成分を、多くした織部釉の場合も、酸化皮膜が出来易いとも、言われています。
酸化皮膜は、銅分が表面に露出したものであり、食器の場合は、除去したい物です。
(曇った器も、使用していると、段々綺麗になると、言われています。これは、皮膜が少しづつ
剥がれるからだと、考えられます。)
2) 栃渋と塩酸
栃渋も塩酸も、強酸ですので、希釈(薄めて)して、使用します。
酸を扱う作業ですので、手袋などをして、手荒れや取扱いには、十分注意が、必要です。
① 栃渋
) 栃渋は、椚(くぬぎ)の実、即ち「どんぐり」の袴(はかま=へた)又は、栃の実の笠を、
水に漬けて、2週間以上放置した物で、黒色をしています。
少々独特な、匂いがあります(更に、作品にもある程度、匂いが移ります。)
) 栃渋は、市販されていますので、必ずしも、自作する必要は、有りません。
市販品の、酸性の強さは、pH 5~5.8の弱酸性です。
) 使い方は、栃渋の液の中に、作品を、2日程漬け置き後、取り出し、水洗いしてから、乾燥させ
ます。漬ける時間は、季節の温度差によって、左右されますので、適度に調整します。
) 長く浸けると、渋が貫入に入り込み、程素敵な雰囲気を、かもし出し、更に、古びた味のある
表情が得られます。
尚、長過ぎると、織部が白く、粉を吹いた様に、変色してしまいます。
次に述べる、濃い塩酸に漬けると、成り易いので注意が必要です。
) 栃渋ではなく、柿渋を用いる方法もあります。ホームセンターなどで、手軽に入手できます。
原液を器に塗り、乾燥後に水洗いします。効果として、目止めになって、汚れに強くなります。
更に「タンニン」には、防腐作用も、有ります。
② 塩酸
現在では、希塩酸を使って、短時間で、皮膜を取り除く方法が、一般的です。
) 容器に水を入れてから、塩酸を入れて、希塩酸を作り、15~20分程度、漬け置きます。
当然、塩酸の希釈度によって、時間に差がでます。取り出した後は、水洗いをするか、重曹
(炭酸水素ナトリウム)溶液で、酸を中和します。
尚、熱湯に塩酸を溶かすと、反応が良くなり、塩酸の濃度を、抑える事ができます。
③ 栃渋と、塩酸とでは、織部の発色も、多少変わります。栃渋の方が、酸化銅の発色が、鮮やかで、
深みが有ると、言われています。
栃渋や塩酸以外にも、物理的な方法で、皮膜を取る方法も有ります。
即ち、表面を、「バフ研磨」して、機械的に、酸化皮膜を取り除く方法で、大きな作品等の場合に、
行う事が、あります。
以下次回に続きます。
栃渋 塩酸
織部釉は、表面に酸化皮膜(くもり)が出来、色が「ぼやけ」て、綺麗な緑色が、出ない事が有ります。
そこで、この皮膜を取る方法が、かなり古い時代から、行われています。
その方法が、栃渋(とちしぶ)を使う方法と、塩酸で洗う方法が有ります。
この塩酸は、強酸で人体に影響を与える、物質(溶液)と成ります。
1) 銅釉に酸化皮膜の出きる理由
① 他の金属釉で、酸化皮膜が出来ず、銅のみに、酸化皮膜が出来易いです。
銅は高温で、揮発します。それ故、他の金属釉よりも、多量の銅を使う、必要が有ります。
銅の量が、多い(10%以上)と、酸化皮膜が出来易いです。
同様に、釉を厚く掛けた場合にも、皮膜が出来易く、厚く掛け過ぎると、表面が、黒っぽく、
仕上がります。
② 織部釉は、急冷で綺麗な色に、発色します。(皮膜は、冷却時に、発生します。)
それ故、窯が大きな場合や、窯の壁が厚い場合には、窯の冷却は遅くなり、皮膜が出来易いだけで
なく、皮膜の強度も強くなります。
但し、焼成温度を低くすると、釉の表面が、艶のない、黒色になり易いです。
一度黒くなった表面は、高い温度で、もう一度焼成しても、中々取れません。表面の皮膜が邪魔を
している為で、表面の酸化膜を取除いた後、再度焼成します。
③ 長石成分を、多くした織部釉の場合も、酸化皮膜が出来易いとも、言われています。
酸化皮膜は、銅分が表面に露出したものであり、食器の場合は、除去したい物です。
(曇った器も、使用していると、段々綺麗になると、言われています。これは、皮膜が少しづつ
剥がれるからだと、考えられます。)
2) 栃渋と塩酸
栃渋も塩酸も、強酸ですので、希釈(薄めて)して、使用します。
酸を扱う作業ですので、手袋などをして、手荒れや取扱いには、十分注意が、必要です。
① 栃渋
) 栃渋は、椚(くぬぎ)の実、即ち「どんぐり」の袴(はかま=へた)又は、栃の実の笠を、
水に漬けて、2週間以上放置した物で、黒色をしています。
少々独特な、匂いがあります(更に、作品にもある程度、匂いが移ります。)
) 栃渋は、市販されていますので、必ずしも、自作する必要は、有りません。
市販品の、酸性の強さは、pH 5~5.8の弱酸性です。
) 使い方は、栃渋の液の中に、作品を、2日程漬け置き後、取り出し、水洗いしてから、乾燥させ
ます。漬ける時間は、季節の温度差によって、左右されますので、適度に調整します。
) 長く浸けると、渋が貫入に入り込み、程素敵な雰囲気を、かもし出し、更に、古びた味のある
表情が得られます。
尚、長過ぎると、織部が白く、粉を吹いた様に、変色してしまいます。
次に述べる、濃い塩酸に漬けると、成り易いので注意が必要です。
) 栃渋ではなく、柿渋を用いる方法もあります。ホームセンターなどで、手軽に入手できます。
原液を器に塗り、乾燥後に水洗いします。効果として、目止めになって、汚れに強くなります。
更に「タンニン」には、防腐作用も、有ります。
② 塩酸
現在では、希塩酸を使って、短時間で、皮膜を取り除く方法が、一般的です。
) 容器に水を入れてから、塩酸を入れて、希塩酸を作り、15~20分程度、漬け置きます。
当然、塩酸の希釈度によって、時間に差がでます。取り出した後は、水洗いをするか、重曹
(炭酸水素ナトリウム)溶液で、酸を中和します。
尚、熱湯に塩酸を溶かすと、反応が良くなり、塩酸の濃度を、抑える事ができます。
③ 栃渋と、塩酸とでは、織部の発色も、多少変わります。栃渋の方が、酸化銅の発色が、鮮やかで、
深みが有ると、言われています。
栃渋や塩酸以外にも、物理的な方法で、皮膜を取る方法も有ります。
即ち、表面を、「バフ研磨」して、機械的に、酸化皮膜を取り除く方法で、大きな作品等の場合に、
行う事が、あります。
以下次回に続きます。
栃渋 塩酸
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