わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の原料7(着色剤2)

2011-04-30 22:11:14 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
色釉は、無色の釉に、顔料(着色剤)を加えて作ります。

3) 緑釉: (青)織部釉、青銅釉、緑釉、青緑釉、青萩釉、ビードロ釉などが有ります。

   緑色の釉は、酸化銅や、炭酸銅を使う事が、多いです。但し、青磁の青緑は、銅を使う事も

   有りますが、ほとんどの場合、鉄分で発色させます。

 ① 銅は酸化と還元焼成では、大きく異なります。緑色は、酸化焼成で、還元焼成では、赤、ピンク、

   更には、紫色に成る事も有ります。還元で赤くなる釉に、辰砂(しんしゃ)釉が有ります。

   尚、辰砂については、赤色で述べます。

 ② 酸化銅や炭酸銅の割合は、3%以下がで十分です。 但し、銅は高温に成ると、どんどん

   揮発しますので、多めに入れる様にします。

 ③ 銅が揮発する為、焼成で注意する事は、銅釉の側(そば)に、銅釉以外の作品を置かない事です。

   銅が揮発し、隣の作品に移り、汚して仕舞う為です。

4) 赤色: 辰砂、銅赤、陶赤、赤結晶等が有ります。

 ① 辰砂釉の場合は、上記の様に、酸化銅などを使い、還元焼成します。銅の割合は0.5%程度で

   良いとも言われています。銅は高温に成ると、揮発しますので、酸化錫(5%以下)を添加すると

   揮発を抑えると伴に、辰砂の色を良くしてくれます。

   尚、強還元よりも、弱い還元又は、中性炎で焼成すると良いと、言う人もいます。

 ② 赤釉を作るには、酸化錫と酸化クロムを、釉の組成に添加します。

   又は、無色の組成の釉に酸化錫と、酸化クロムを混ぜ、仮焼してから、使います。

   但し、石灰や硼酸の多い、無鉛釉では、色が消える事も有ります。

5) 青い釉: トルコブルー、瑠璃(るり)、コバルト結晶等が有ります。

 ① トルコ青は、鮮明な青色で、アルカリ成分が多い釉で、発色します。

   酸化銅を3~4%程度添加して、使用します。(銅で鮮明な青色に発色するとは、驚きです。)

 ② コバルト化合物が入った釉が多いです。

   炭酸コバルト、石英、炭酸カリの混合物を、熔融させ、無色の釉に添加します。

6)黄色: 黄瀬戸釉、(黄)伊羅保釉など

 ① 黄瀬戸釉は、鉄分の多い灰を使った、釉です。当然単身では、灰は熔けませんから、長石などを

   加えます。又、長石の代わるに、赤土を使う事も有ります。

 ② 伊羅保釉(いらぼ)は、鉄分の多い結晶釉で、黄褐色や黄茶色をしています。

   土灰の他、藁灰、弁柄などを、加えます。

7) 海鼠(なまこ)釉

   斑紋(まだらもん)や流紋等、流動性を利用した釉です。

   色は、青、黒青、乳白など、趣のある色です。(昔の火鉢の色です。)

   土灰に酸化銅、コバルト、マンガン、酸化鉄などを、添加して作ります。

   配合の仕方によって、色も変化します。

釉の色は、千差万別です。又窯の焚き方によっても、大きく変化します。それ故、やり方に拠って、

必ずしも、上記の通りに行かない事に、ご注意下さい。

以上にて、「焼き物の原料」についての、話を終わります。

次回から、別のテーマでお話します。

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