わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

盆器(盆栽鉢) 12(盆器を作る7)

2011-09-24 22:32:54 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
7) 豆鉢(ミニ鉢)について

  掌にスッポリ収まる程度の大きさから、親指の指先程度の大きさまで、色々な大きさの鉢があります。

  江戸時代より、小盆栽は有りましたが、近代的な小品盆栽は、松平頼壽伯爵が先駆者に成り

  発展します。その盆栽に使用されたのが、豆鉢です。

  注: 松平 壽(まつだいら よりなが)、1874年~1944年 高松・松平家十二代目

     小品盆栽とは、樹高はおおむね20センチ以下ですが、松などの樹木の他、雑木は実もの、

     花もの、草ものなど千差万別で、一般の盆栽と同じです。

  ① 形も一般の盆器とほぼ同じです。

    丸、方形、長方形、下方、六角(亀甲型)、八角などで、縁は切立、外縁が多いです。

    当然穴がありますが、ほとんどは鉢の中央になります。

  ② ほとんどの鉢は、絵付けや施釉がしてあり、落款(らっかん)もあります。

  ③ 小さいからと言って、簡単には出来ません。むしろ小さい為に、作業がやり難い事が多く、

    手間隙も大きい物と、さほど差はありません。

    丸形では轆轤作業が出来ますが、他の形では意外と難しく、くり抜きの技法を使う事もあります。

    穴は中央に1個あるのが普通です。

8) 落款(らっかん)について

  作品には、作者のサイン、即ち落款が捺してあるのが普通です。

  (落款の無い作品も、当然あります。)

  この落款を手掛かりに、作られた時代を特定する手段と成っています。

 ① 落款には、陶印や、細い棒での手書きのサイン、更には下絵付けの呉須(ゴス)で筆書きしています。 

 ② 陶印の形も正方形、縦長形、小判形、葉(イチョウ、楓など)形、不定形など様々です。

   印の枠が無く、文字のみのサインも多いです。

   印影には、凸状の文字(又は紋様)と、凹状の文字があります。

 ③ 落款の位置は、底の裏側で足の近くが多い様です。

   陶印や土に掘り込むサインの場合には、作品が完成直後の、土が軟らかい内に行います。

   下絵付けでのサインは、素焼後施釉する前に書き込みます。

9) 施釉(釉薬を掛ける事)する

   泥もの場合には、釉を掛けずに土の色で特色を出しますが、釉を掛ける場合には、素焼後に

   掛ける事に成ります。

 ① 素焼の温度。一般の陶芸作品と同じ700~800℃の範囲で焼成しまます。

   尚、素焼鉢として使用するには、800~900℃程度にし、若干強度を持たせます。

   (温度は高い程、強度は増しますが、吸水性が悪く成ります。)

 ② 施釉薬の仕方。

  ) 一般には漬け掛けが多いです。他にガン吹き(霧吹き)の方法も見受けられます。

    下絵付けをする場合は、施釉する前に終わらあせておきます。

  ) 釉を掛ける範囲は、外側は足の先端を残し、全てに掛けます。縁は勿論ですが、内側の上部

    1~2cm程度釉を掛けます。

  ) 他の陶磁器類と違う点は、底に穴が開いている事です。その為、一工夫する必要があります。

     一般に、器の内側は上部を除いて、施釉しません。植物にとって悪い影響を与える為です。

    a) 指が入る程度の穴2個以外は、テープを貼ったり、詰め物(粘土や紙)をして穴を閉じます。

      上記穴2個に指を差込、逆さの状態(縁が下向き)で静かに釉の入った容器に足まで沈めます。

     ・ 注意点は、指の間から空気を逃がさない事と、盆器を水平にして「ボコン」と泡を

       出さない事です。空気が逃げたり泡が出ると、必要以上に釉が内側に掛ります。

    b) 穴を塞がずに、逆さの状態で内側の必要の寸法まで塗ります。外側と内側の塗れる深さは

      同じです。次に全ての穴を塞ぎます。縁を上に向けて、釉の容器に沈め最初に塗った場所と、

      若干重なる様にします。焼成時棚板に接する部分は、釉を剥がします。

   c) 一色の場合は、割合容易ですが、複数の色を塗り分けるには、それなりの方法を考え

      なければなりません。例えば、蝋抜き、マスキング、などの方法です。

 ③ 釉の調合: 独自の色を出す為には、釉の研究も大切です。

   基礎的な事は会得しておく必要があります。

   尚、釉の種類としては、青磁、織部、瑠璃、黄色、蕎麦、金茶、海鼠釉、均釉、紫紅釉、

   桃花釉、天目釉、辰砂釉、交趾(こうち)など多彩です。

以下次回に続きます。
 
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