わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

盆器(盆栽鉢) 13(盆器を作る8)

2011-09-25 21:54:13 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
10) 焼成

  作った作品は本焼きする事によって、完成となります。

 ① 燃料として薪(明治初期頃まで)、次いで石炭へ、更にガスや重油(昭和40年代)に変換していき

   現在では、電気が多く使われる様になります。

 ② 窯の構造も、大量に生産する場合は、登り窯から現在は、トンネル窯へと変化しています。

   但し、自分で作った盆器は、もっと小規模な個人の窯で、焼成する場合がほとんどです。

 ③ 窯積めの注意点。

   前にもお話した様に、土は高温に成ると、若干軟らかく成ります。その為、細長く高さの低い作品は、

   底の中央がブリッジ状になり易いです。高温ではこのブリッジ部分が、垂れ下がります。

   それを防ぐ為に、ブリッジを下から支える「目」等が必要になります。

 ④ 焼成温度と焼き方(酸化と還元)

   泥ものと施釉ものとは、焼成温度に差をもたせる必要があります。

  ) 泥もの(無釉)は、焼く温度が低い方が、良い色になる傾向にあります。

    1,000~1150℃程度で、綺麗な色が出る場合が多く、温度範囲は、意外に狭く20~50℃程度です。

    勿論、土の種類に拠って差が出ます。それ故どの位の温度で焼成すべきかを、予めテストしておく

    必要があります。当然温度が高くなるに従い、強度は増しますが、吸水性は悪化します。

  ) 施釉もの(化粧鉢)は、釉薬を熔かす為に、1,200℃以上の高温が必要です。

     磁器の場合は、更に高く1,250~1,280℃程度に成ります。

  ) 泥ものや施釉ものであっても、酸化焼成と還元焼成では、色に差が出るものが多いです。

     それ故、焼成する直前までには、焼く方法を決めておく必要があります。

   ・ 尚、土の焼き締り具合は、還元焼成の方が酸化焼成よりも、若干締まると言われています。

  ) 泥ものと施釉ものを、一緒に焼成できるかの問題です。

     焼成する最高温度が同じであれば、問題無い様ですが、注意する事があります。

     即ち、施釉したものは素焼が済んでいますが、泥ものは素焼をしていない場合が、問題に

     なります。素焼が終わっている物は、焚き始めから、急な温度上昇が可能ですが、素焼前の

     作品は急上昇は、厳禁です。さもないと、水蒸気爆発で、作品がバラバラに成ってしまいます。

     それ故、一緒に焼成したい場合には、素焼同様にユックリ温度上昇させるか、又は泥ものでも、

     素焼をして置く必要があります。

 ・  窯出しは、いつも不安と期待が同居した感じです。中々思う色に仕上がらないのが、普通かも

    しれません。窯を自分で焼成する方よりも、他の人の窯に入れて貰う人も多い事と思います。

    その様な人は自分で思うように行かない事に、歯がゆいかとも思いますが、自分の窯だからと

    言って満足に焼き上がらないものです。そこが焼き物の面白さかも知れませんが・・・


 以上にて「盆器の作り方」の話を終わります。

次回より、盆器の作家などを紹介したいと思います。
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