釉はガラス質と述べましたが、それには三様の状態を呈します。
即ち、透明釉とマット(艶消し)釉、乳濁(白濁)釉です。後者を失透明釉と呼ぶ事もあり
ます。
1) 釉として使用できるのは、アルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)成分の割合によって
決まります。
① 光沢が有り、良く熔ける透明釉。
② 釉を調合する場合や、釉のレシピが表示されている場合、注意する事はその単位です。
体積比、重量比、モル比のいずれかで表示されています。この単位を間違えると、
当然混合割合が異なってしまいます。(以上までが前回の話です。)
③ アルミナ成分が多くなる(シリカ成分が少なくなる)と艶消し(マット釉)になります
ⅰ) 前回 Al2O3:SiO2 = 1:7~8(モル)ぐらいで良い透明釉になるとお話し
ましたが、Al2O3:SiO2 = 1:6(モル)以下に成ると、次第にマット状になり
ます。値が小さい程、マット状態は強くなります。この関係を表す図に(Al2O3ーSiO2
状態図)があります。ある程度釉に詳しい書物で見る事ができます。
この状態図から、アルカリ成分の絶対値は0.3モル以上、シリカ成分が絶対値2モル以上
で、直線又は緩い曲線で、透明釉、マット釉、乳濁釉と3区分されています。図からは
みだした範囲では。良いに釉に成らないと思われます。
尚、アルミナはシリカの1/10まで入れる事は可能です。
ⅱ) 艶消し(マット)に成るとは、釉中に微結晶が多数存在した状態です。
結晶が大きな物は結晶釉と成りますが、微結晶が釉中に浮遊している場合、光が乱
反射され釉中に入り込めず、表面より乱反射し艶消しとなります。
尚、マットと乳濁釉は、いずれも結晶の生成によって起こる現象ですが、マット釉
が窯の冷却途中で析出するのに対し、乳濁釉は最初からガラスに溶け込まない原料
(失透剤)が結晶化した物です。これを分相といいます。詳細は後日述べます。
艶消し釉は一般に表面が不透明な物ですが、その他透明な物も存在し、微結晶が見
える物があます。
ⅲ) 釉の中のアルミナ成分の役割とは?
a) 釉の熔融温度を上げる作用があります。
温度が上がり過ぎる場合には、アルカリ成分を多くしたり、硼酸などを添加します。
b) 釉の粘度を増し、釉の流れを抑える働きがあります。
アルミナ成分を多量(0.4モル以上)に入れると、粘度が急激に増し、釉中の気泡を除き
難くなります。
c) 釉を安定化させる働きがあります。
アルミナは素地に融着したり、釉の固さや風化、化学的侵食に対し抵抗性を増し、釉を
安定化させます。更に、焼成温度が変化しても、釉の物理的性質を大きく損なわない事
です。
ⅳ) アルミナ成分は、各種長石からも得られますが、カオリンから得る事が多いです。
カオリンの利点は、施釉した際素地に密着し易い事。粒子が細かく泥漿(でいしょう)
し易い事です。
④ シリカ(珪酸)成分が多くなると乳濁釉になります。
Al2O3:SiO2 = 1:10(モル)以上になると、次第に白く濁った釉になります。
ⅰ) シリカは地球上で最も多く存在する物質です。
主に岩石や粘土類の主成分と成っています。その他藁(わら)灰や籾殻灰等の禾本科の
植物や木の灰等にも多く含まれています。これらには約80%のシリカが含まれています
地方によっては「ギヤマン」と呼ばれ珪石にも多くのシリカが含まれます。
尚、単独では、石英、水晶、珪砂などとして産出しますが、酸化鉄やアルミナ等の不純
物を含みます。
ⅱ) シリカの役割は、主にガラス質を構成する成分です。
以下次回に続きます。
即ち、透明釉とマット(艶消し)釉、乳濁(白濁)釉です。後者を失透明釉と呼ぶ事もあり
ます。
1) 釉として使用できるのは、アルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)成分の割合によって
決まります。
① 光沢が有り、良く熔ける透明釉。
② 釉を調合する場合や、釉のレシピが表示されている場合、注意する事はその単位です。
体積比、重量比、モル比のいずれかで表示されています。この単位を間違えると、
当然混合割合が異なってしまいます。(以上までが前回の話です。)
③ アルミナ成分が多くなる(シリカ成分が少なくなる)と艶消し(マット釉)になります
ⅰ) 前回 Al2O3:SiO2 = 1:7~8(モル)ぐらいで良い透明釉になるとお話し
ましたが、Al2O3:SiO2 = 1:6(モル)以下に成ると、次第にマット状になり
ます。値が小さい程、マット状態は強くなります。この関係を表す図に(Al2O3ーSiO2
状態図)があります。ある程度釉に詳しい書物で見る事ができます。
この状態図から、アルカリ成分の絶対値は0.3モル以上、シリカ成分が絶対値2モル以上
で、直線又は緩い曲線で、透明釉、マット釉、乳濁釉と3区分されています。図からは
みだした範囲では。良いに釉に成らないと思われます。
尚、アルミナはシリカの1/10まで入れる事は可能です。
ⅱ) 艶消し(マット)に成るとは、釉中に微結晶が多数存在した状態です。
結晶が大きな物は結晶釉と成りますが、微結晶が釉中に浮遊している場合、光が乱
反射され釉中に入り込めず、表面より乱反射し艶消しとなります。
尚、マットと乳濁釉は、いずれも結晶の生成によって起こる現象ですが、マット釉
が窯の冷却途中で析出するのに対し、乳濁釉は最初からガラスに溶け込まない原料
(失透剤)が結晶化した物です。これを分相といいます。詳細は後日述べます。
艶消し釉は一般に表面が不透明な物ですが、その他透明な物も存在し、微結晶が見
える物があます。
ⅲ) 釉の中のアルミナ成分の役割とは?
a) 釉の熔融温度を上げる作用があります。
温度が上がり過ぎる場合には、アルカリ成分を多くしたり、硼酸などを添加します。
b) 釉の粘度を増し、釉の流れを抑える働きがあります。
アルミナ成分を多量(0.4モル以上)に入れると、粘度が急激に増し、釉中の気泡を除き
難くなります。
c) 釉を安定化させる働きがあります。
アルミナは素地に融着したり、釉の固さや風化、化学的侵食に対し抵抗性を増し、釉を
安定化させます。更に、焼成温度が変化しても、釉の物理的性質を大きく損なわない事
です。
ⅳ) アルミナ成分は、各種長石からも得られますが、カオリンから得る事が多いです。
カオリンの利点は、施釉した際素地に密着し易い事。粒子が細かく泥漿(でいしょう)
し易い事です。
④ シリカ(珪酸)成分が多くなると乳濁釉になります。
Al2O3:SiO2 = 1:10(モル)以上になると、次第に白く濁った釉になります。
ⅰ) シリカは地球上で最も多く存在する物質です。
主に岩石や粘土類の主成分と成っています。その他藁(わら)灰や籾殻灰等の禾本科の
植物や木の灰等にも多く含まれています。これらには約80%のシリカが含まれています
地方によっては「ギヤマン」と呼ばれ珪石にも多くのシリカが含まれます。
尚、単独では、石英、水晶、珪砂などとして産出しますが、酸化鉄やアルミナ等の不純
物を含みます。
ⅱ) シリカの役割は、主にガラス質を構成する成分です。
以下次回に続きます。
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