まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

母は来ました今日も来た

2021-09-05 | 北米映画 20s~50s
 往年のハリウッド大女優映画祭②
 「マデロンの悲劇」
 田舎娘のマデロンは、アメリカ人の青年と恋に落ち彼とパリへと駆け落ちする。しかし恋人は身ごもったマデロンを置いてアメリカへと帰ってしまう。悲嘆の中、マデロンは男の子を出産するが…
 オールスターのパニック映画の名作「大空港」で、当時の人気スターたちを完全に食ってしまい、格の違いを見せつけアカデミー賞の助演女優賞を受賞した往年の名女優ヘレン・ヘイズが、最初のオスカーを獲得した1931年の作品です。約30年後に2度目のオスカーを受賞したアンソニー・ホプキンスもスゴいけど、ヘレン・ヘイズの40年以上経っての再受賞も驚異的ですよね~。飛行機タダ乗りの常習犯おばあちゃまを演じた大空港の彼女は、可愛らしく上品なおばあちゃまって感じでしたが、この作品の彼女も年取ったら可愛いおばあちゃんになるだろうなと思わせる愛らしさです。当時のハリウッド女優のほとんどが、近寄りがたい非人間的なまでの美女なのですが、小柄で可憐なヘレン・ヘイズはとても親しみやすい風貌。とはいえ庶民的というわけではなく、やはり往年のハリウッド大女優のオーラはまとってます。

 ヘレン・ヘイズが演じたマデロンは、よく言えば波乱万丈なメロドラマティックヒロインなのですが…ぶっちゃけて言えば世間によくいるだめんず女です。とにかく男運が悪すぎ!ていうか、男を見る目がなさすぎ!男と駆け落ち→貧乏暮らし→男に捨てられ→私生児出産→金持ち爺の愛人に→冤罪で牢屋行き→子どもとは生き別れ→出所後は売春婦→年老いて救貧院強制収容、そして…とまあ、とんとん拍子に転落。その落ちっぷりがテンポよすぎて笑ってしまいました。もうちょっと何とかできたでしょ、しっかりして!油断や隙がありすぎ!と、マデロンのつまづきやすく流されやすい生き方は、無分別で思慮に欠けてると呆れてしまいました。

 転落だめんず女なマデロンでしたが、悲劇のヒロインって感じではないんですよね~。悲運不運にまみれても、世をはかなんでガクっとなることはなく、ナンダカンダで過酷な人生を生き抜くバイタリティが。ててなし子を産んだ後、すぐに金持ち老人の愛人の座におさまるところなど、なかなかしたたか。都合が悪いと思ったことは迷わず秘密にし、金に困ったら売春婦にもスルっとなったり。客から盗んだ金をヒヒヒと笑いながら数えてる様子など、悲しみのヒロインにはあるまじきふてぶてしさ。少女のような可愛い風貌とギャップのあるちゃっかり女を、ヘレン・ヘイズが何となく楽しそうに演じてるのが、ありきたりな悲劇のヒロインものとは違って面白かったです。ちゃっかり可愛い、は大空港のおばあちゃまと共通してますね。

 生き別れになった息子への無償の愛、再会に涙、みたいな設定には一応なってるのですが、何も知らず幸せに暮らしている息子に会いにノコノコ家まで行って、使用人を騙してスルっと家の中に入りこんだり、同情を誘って息子の世話になることになったり、小気味よいほど厚かましくちゃっかりしてるマデロンが笑えた。それにしても。出てくる男たちがみんなろくでもない!特に駆け落ちしながらもパパが病気で死にそうだから、とアメリカに帰ったままマデロンの元に戻らず金持ち娘と結婚する恋人。卑劣すぎる。私なら出るところに出るわと憤りつつ、マデロンとは真逆な私の人生、ダメ男さえ寄ってこない人生ってのもどうなんだろう?と、マデロンを見ていてふと思ってしまいました

 ↑ アメリカではブロードウェイのファーストレディと称えられた名女優です
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