


70年代のロンドン。インド系の青年フレディは、ファンだったバンドのメンバーであるブライアンとロジャーに売り込み、ヴォーカルとして仲間に加わり“クイーン”を結成する。フレディの類まれなる歌声と独創的な楽曲で、クイーンは瞬く間に人気ロックグル-プとなるが…
クイーンにはそんなに興味があるわけではなかったので、当初は鑑賞予定に入ってなかったのですが、アメリカのみならず日本でも大ヒットしている今、映画ファンとしてはやはり押さえておかねばならぬと思い、観に行ってまいりました(^^♪レイトショー、しかも公開から結構日が経ってるにもかかわらず、席はほとんど埋まっていました。やっぱ人気なんですね~。初日なのにガラガラだった山崎賢人の「羊と鋼の森」との違いに苦笑い


クイーンのファンじゃなくても、その楽曲は絶対耳にしたことがありますよね~。日本でもCMやTVドラマで使われ、馴染みぶかいものばかり。あの有名なママ~ウウウウ~♪もクイーンの曲だったことを(これがボヘミアン・ラプソディですよね?)、この映画で初めて知った私です


この映画、かなりクイーンの音楽に助けられてると言えるでしょう。要所要所で効果的に活用されてる楽曲やパフォーマンスのおかげで、目にも耳にも楽しいミュージックフィルムにはなってるのですが、肝心のドラマはかなりフツーなんですよ。ぶっちゃけ、NHKのドラマみたいな無難さで、子どもが観てもOKな内容になってたのが物足りませんでした。フレディの短い人生って、もっと破天荒で破滅的なのかと思ってました。フレディの同性愛に対する苦悩や耽溺も、リアルで過激な描写は避けてサラリと触れてる程度。同性愛シーンもほとんどありません。フレディと他メンバーとの関係もそうですが、真実を描くよりも都合よく脚色された当たり障りのない美談、ありきたりなサクセスストーリー、誰にとっても不利益にならない忖度映画になってたのが、かなり残念でした。フレディの放埓な性生活はもっと常軌を逸していたはずだし、メンバーとの葛藤や対立も、もっと醜いものだったでしょうし。

ゲイであることを公にしているブライアン・シンガー監督は、この映画の完成間近になって途中降板したそうですが。ゲイ描写をめぐって、リスクは避けたい出演者や製作者側とトラブったのかな?と推察もできますが、真相は謎のままのようです。
フレディ・マーキュリー役のラミ・マレックが、入魂の大熱演!実際のフレディには全然似てないのですが、どんどんフレディに見えてくる、こっちがフレディと錯覚してしまうほどの一世一代のパフォーマンスに驚嘆、感嘆。特殊メイクで姿形を変え、声や口調も似せた実在の人物のモノマネ演技って苦手なのですが、ラミのなりきり演技はそれに当てはまらない魅惑の名演でした。小柄だけど、ほとばしるエネルギー、みなぎるパワーに圧倒されました。特に熱唱シーンは、口パクなんだろうけど動きとか表情とかが神がかり的で惹きこまれます。ゴールデングローブ賞に続いて、オスカーにもノミネートされてほしい!フレディってこんなに出っ歯だったの?と笑えるほど、ただでさえ独特な顔のラミを付け歯がさらに強烈、かつ愛嬌ある御面相にしてます。偶然なのですが、この映画を観て家に戻った深夜に、TVで放送してた「ナイト・ミュージアム2」にもラミが出ていてビツクリ!インド系同様、エジプト系も濃ゆいですね~。

ちなみにフレディ役は当初、サシャ・バロン・コーエンが演じる予定だったとか。いろいろあってサシャは降板、次はベン・ウィショー!に白羽の矢が立ったそうですが、ベンもいろいろあって断念し、最終的にはラミにおはちが回って来たそうです。ベン子さんのフレディ、見たかったかも!ベン子なら、リアルにゲイゲイしいフレディになってたことでしょうね。
お涙ちょうだいではなく、だいたいはユーモラスな笑えるシーンやエピソードばかりで構築されてたのが、ワタシ的には良かったです。特に印象的だったのは後半にある、クイーンの記者会見シーン。そこでフレディに向けられる容赦のない意地悪で悪意に満ちた質問と、それに対するフレディの受け応えが笑えました。あんな記者会見、日本ではありえんわ~。あんな風に非情なまでに核心に迫る質問、カープを退団した丸にぶつけてみたい!
