リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

経営コンサルタントの暴論

2011-06-11 08:49:45 | オヤジの日記
ご高名な経営コンサルタントの大前研一氏が、「日本人は家を買うな」と持論を述べていた。

彼の説では、「日本ほど『買った瞬間に住宅の価格が下がる』国は世界にないからだ。買った時が一番高く、その後はどんどん値下がりして、一戸建ては10年後には銀行の査定だと土地の値段だけになってしまう」かららしい。

つまり、経営コンサルタントらしく、家の価値を金額でしか判断していないようなのだ。

住み慣れた街、住み慣れた家、落ち着く空間などは無視して、あくまでも財産評価で家の価値を決めるというのは、経営学・経済学上は理論が立つかもしれないが、家というのは、経済学だけで割り切れるものではない、と私は思う。

大前氏は、さらに「欧米は日本と逆に買った時が一番安く、徐々に価値が上がって将来の資産になる。しかも、たいがい値上がり率は銀行預金や株式よりも高くなる」と言っている。

ただ、これも家というものを歴史的にどう捉えてきたかが、国によってまったく違うのだから、純粋に学問上の比較の対象にはならないのではないかと思う。

欧米では、百年、二百年住宅というのは、当たり前の概念である。
家は、長く住むことを前提に建てられたものである。
だから、古びても、その古びたことを歴史と感じて、家の価値が極端に下がるということはない。

それに対して、日本は、例えば、江戸などは、火事の多い町だったから、たった一度の大火で、信じられない数の家が損失する。
そのため、簡単な家しか建てられない。
家自体に執着していては、命を落とす。

そして、地震も多い。
立派な家が、いとも簡単に崩れ落ちるということを繰り返してきた。

いつでも建て替えられるように、日本の家屋の寿命は、せいぜい30年から40年程度の耐久度にするというのが、先人たちの知恵だった。

言葉が違うように、「住」に対する考え方も、違う。
そんな全く環境の違う欧米と日本の家を比べても、意味がない。

だから、大前氏が「まだ日本人は街並みが住宅の商品価値を上げる最大の要因だということに気づいていない。だから、住民に街並みを磨き、壊さないようにするという配慮がない。新興住宅街は出来上がった時が最もきれいで、時と共に寂れていく」などと言っても、ピントがずれているとしか思えないのだ。

古くなったら、立て直すのが、日本の「住宅事情」である。

そうやって、日本の住宅産業は盛んになっていったのだ。
そのため建築技術も発達した。

「家を買うな」というのは、突き詰めて言えば、その技術を「無」にすることを意味する。


とても、ご高名な経営コンサルタントの先生様が言うおコトバとは思えない。