リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

不寛容なカオナシ

2017-01-29 08:09:00 | オヤジの日記
最近の社会は、「不寛容」になっていないだろうか。

たとえば、1度の過ちだけで、やり直しを許さない社会。

ドラッグや不倫、罪などを犯した人に、世間の目は今とても厳しい。

昔は、ドラッグで逮捕され、世間から批判されたとしてもカムバックできた。
その中には、いま確固たる地位を築いているアーティストの方も何人かおられる。

それは、なぜか、と考えたら、昔は事件を起こしても、それを伝える媒体は週刊誌かテレビのワイドショーしかなかった。
人は受動的な状態で、それらの情報を与えられたから、憤りは長く続かなかった。

しかし、今はネット社会だ。
SNSという能動的なアイテムを人は手にした。

「能動的」ということは、相手を攻撃できる、ということだ。
つまり、憤りが、長く続く。

ネチネチネチネチネチネチ・・・・・・と。

だから、1度過ちを犯すと、セカンド・チャンスあるいはセカンド・チャレンジを許さないシステムに変わった。


昨年だったと思うが、インターネットに関する大規模な調査が行われた。

統計学的には、2千人程度のサンプルがあれば、人の傾向はつかめるらしい。
しかし、この時の調査は4万人規模のものだった。
つまり、精度が高いということだ。

いくつかの質問の中で、「この一年間で批判的なコメントをしたことがありますか」というのがあった。

「はい」と答えた人は0.6%だった。
1000人のうち6人だ。

非常に少ない。
ただ、もちろん、その6人の陰には、多くの同じ意見を持った人がいるということも考えられる。

しかし、だとしても、せいぜい数パーセントだろう。

統計学の中では、少数派と言っていい。

だが、この少数派が幅を利かすのが、インターネットという世界だ。

少数の人が、怒りを拡散したら、それがニュースになる。
99%の人が、そう思っていなくても、少数の拡散が市民権を得るという奇妙な現象が起こることがある。

わずか数パーセント程度の人が「けしからん」と言えば、その「けしからん」は、顔のない悪意に変わる。

「千と千尋の神隠し」に出てくるカオナシは、怒りにまかせて、すべてを飲み込んで巨大化した。
しかし、最後は千のおかげで、穏やかさを取り戻した。

それに対して、ネット回線の中のカオナシは、怒りや嘘やデマや無知を飲み込んで、いまも巨大化が止まらない。

たとえ千のような純粋な子が99パーセントいたとしても、残りの1パーセントが怒りや嘘やデマを拡散すれば、カオナシはそれをまた飲み込んで大きくなるだろう。


それは、たった数パーセントの富裕層が、90パーセント以上の庶民を支配する構図と似てなくもない。

富を持つものは、富を人に渡すのを好まず、独占したがる。
つまり、寛容ではない。

ごくわずかな人たちが不寛容なだけで、社会全体が不寛容になる。
(パラノイアのような人が上にいる、どこかの国のように)


インターネットに関しては、インターネット大国である米、露、中、韓あたりが、率先してネット社会から人権を守る「インターネット人権法」のようなものを制定してくれたら、カオナシも少し小さくなるかもしれない。


それは、楽観的すぎる考えだろうか・・・・・。


話は戻るが、過ちを犯した人をネチネチと攻め続ける今のシステムは異常すぎる、と私には思える。

セカンドチャンスを与えられない社会は、牢獄よりも厳しい。
「人は過ちを犯すもの」という蓋然性が入り込む余地が少ない。

息が詰まる。


・・・などと人ごとのように言っている私も、実は寛容ではない。

自民党とジャイアンツと演歌と多数派が、好きではない。


要するに、インターネットの世界に住む少数派のカオナシさんたちと、まったく同じだということになる。



つまり、私も「カオナシ」ということ・・・・・です。


不寛容な白人たち

2017-01-22 08:27:00 | オヤジの日記
最近の社会は、「不寛容」になっていないだろうか。

米国のドナルド・トランプ氏は、不寛容の代名詞的な男だ。
そして、彼を選んだアメリカ国民も同じように不寛容だと言える。

「アメリカさえ豊かになればいい」

まるで、他の国が富むことは許さない、と言わんばかりだ。

国際社会で、アメリカの存在は、とてつもなく大きい。
唯一の「超大国」だからだ。

その「超大国」が不寛容になってしまったら、「世界の利益」のバランスは、確実に崩れるだろう。

一人勝ちの国は、かつての大英帝国がそうだったように、衰退と終末が待っている。
「富の分配」がなければ、他国は、それを強奪するしか手段がないからだ。

アメリカは超大国であり、先進国であるが、すべてが優れているわけではない。
国民一人一人のスキルは、他国とそれほど変わらない。

ノーベル賞受賞者を数多く輩出しているからといって、応用化学が、群を抜いて優れているわけでもない。
他国の知能を借りなければ、ただの「絵に描いた餅」だ。

他国の応用化学の天才たちが、アメリカをのけ者にして、超大国を脅かすほどのテクノロジーを作り上げたら、大英帝国の二の舞になることもあり得る。

かつて、鉱産資源や植民地を独り占めしてきた大英帝国は、アメリカ合衆国の台頭とともに、終末を迎えた。

歴史は繰り返す、という。

今度は、アメリカが、その番にならないという保証はない。

そもそも、超消費大国であるアメリカが、自国の生産力だけで、自分たちの消費物資を賄えるわけがない。

トランプ氏は、「貿易不均衡」だと言って、日本や中国を批難しているが、輸出よりも輸入が多いからこそ、アメリカ人の暮らしは、一定の水準を保っているのではないのか。

アメリカの生産能力では、肥大した消費をカバーすることはできないだろう。


アジテーター(扇動者)は、威勢のいい言葉で、人の感情を高めるのが上手い。
しかし、その言葉が効力を発揮するのは、最初だけだ。

今回は、アメリカ白人の保護主義、白人至上主義に火をつけて、頂点に上り詰めることができたが、白人優先論だけでは、人はメシを食えない。
メシが食えなくなったとき、今度は、どんな威勢のいい言葉で、白人を煽動するのだろうか。

アジテーターのまま終わるのか、あるいは無難に、今までの共和党の理念に沿って、大企業や強者の利益を保護し、弱者を切り捨てる政策を継承して、白人だけの支持を取り付けて終わるのか。

そして、求心力を失ったら、レーガン氏やブッシュ氏が、湾岸戦争に参戦し、無理やりイラクに侵攻するというヤクザまがいの力技を使ったような手段で、白人の支持を集めようとするのだろうか。


自由の国・アメリカは、白人に対しては、とても自由な国だ。

その白人に対して自由な国だったアメリカが、自国の白人だけにしか自由を認めないとしたら、EUを含めた白人連合は、どんな対抗手段をとるだろうか。

極端なことを言ってしまうと、トランプ政権の誕生は、アメリカの白人と他国の白人の利益のぶつかり合いだと私は思っている。

普通に考えたら、世界は、アメリカの白人だけが富を独占することを好まないだろう。

それに、マイノリティである日本は、アメリカに従順だが、世界には中華人民共和国という白人以外のマジョリティもいる。

アメリカの白人と他国の白人の間に、中華のマジョリティが入って、三つどもえになったら、白人優位を唱えるトランプ氏は、どうするのかという意地の悪い興味はある。

それに対して日本は、戦後において「日米安保同盟」の名のもとに、アメリカの要求をすべて受け入れてきた。
アメリカに依存するしかない日本は、よくも悪くもトランプ氏に乗っかるしかないのかな、と思う。


私は、これから先の4年間、政治経験のないトランプ氏が、彼の最大の武器である「差別用語」を封印できるかどうかで、彼の政治家としての資質がわかると思っている。

そして、自国の白人以外の人種にも「寛容」になれるかも合わせて観察していきたい。



話を整理しきれなくて、申し訳ありません。
もう少し、文章を勉強します。

偉大なるミーハー

2017-01-15 07:44:00 | オヤジの日記
身もふたもない言い方になるが、SMAPにもジャニーズにも興味はない。

ただ、SMAP解散騒動のことは知っていた。
極めて断片的にしか知らないが。


SMAPについて語る資格を私は持っていないので、ここでは、ある女性の話をしようかと思う。

私が「SMAP」と聞いて思い浮かべるのは、いつもその方のことだった。
高校・大学時代の友人の母君だ。

友人のお母さんは、昨年の2月に亡くなった。
83歳だった。

友人のお母さんは、声楽家だった。
60歳くらいまで現役で、音大の講師をしていたこともあった。
引退後は、ご自宅で声楽とピアノを教えていた。

音楽は、クラシックしか聞かない。


70歳近くになって完全リタイアしたが、それからのち楽しみにしていたのが、SMAPが出演するバラエティ番組だった。
(おそらくSMAP×SMAP?)

ただ、歌は聴かない。

お母さんが仰るには、「あれを歌と言ってしまったら、私たちのしてきたことは・・(以下、辛辣な表現なので省略)」ということだ。
だから、バラエティの部分しか見なかったという。

しかし、それで十分だったようだ。
毎回楽しみにしていて、欠かさずに見ていた。


芸達者な若者たちが、明るく仲よく人を楽しませる姿を「日本の若者の縮図ですよ」と言って、喜んだ見ていたという。
「こんな平和な世界を作れる、この子たちの力は素晴らしいですよ」とも言っていた。

「難しいことを簡単にやるんですよね、この子たちは」
「努力のあとを見せない粋なところが好きですね」

たった一人の元声楽家のご意見だが、頷けるところもある。

私は、昔から志村けん師匠や出川哲朗師匠、江頭2:50師匠、上島竜兵師匠、坂田利夫師匠を尊敬していたのだが、彼らも同じように、努力のあとを人には見せずに、体を張って笑いを取る人たちだ。

友人のお母さんは、私が志村師匠たちに感じるのと同じことをSMAPに感じていたのかもしれない(ぜんぜん違うか?)。


友人のお母さんは、SMAPの中でも特に中居正広氏がお気に入りだったようだ。

中居正広氏がMCをする番組も、よく見ていたらしい。

そして、「あの子は、どこにいっても成功しますよ。それだけの能力があります」と言うほど、彼を買っていた。

その根拠が、どこから来るのか、関心のない私にはわからないのだが、長い年月を生き、多くの人たちを見てきた人だからこその説得力は感じた。


その元声楽家は、昨年の2月に生を終えたから、SMAPが解散したことは知らない。

それは、幸せなことだったのかもしれない。


先週、友人から電話があった。

一周忌を前に、お母さんの遺品を整理したというのだ。

そこで、SMAPのCDをたくさん見つけたという。
「SMAPの歌は聴きません」と言っていたから、封を切っていないCDだ。

それが、40枚以上あった。

歌は聴かない、と言いながら、CDだけは買うというのは、どういうことか。
やはり、お母さんは心底SMAPが好きだったんだろう、と私は思った。

歌は聴かないけど、ファンだからCDは買う。
その思いは、何となくわかる。

つまり、ミーハーだ。

友人のお母さんが、ショップに行って、クラシック以外のCDをこっそり買う姿を想像すると微笑ましくなる。


おまえ、そのCDどうするつもりだ、と友人に聞いた。

友人が答えた。

「展示用のキャビネットを買って、母さんの部屋をSMAPだらけにしようと思っているんだ」

いいね。
偉大なるミーハーに対する、それは最高の供養だ、と私は答えた。

「偉大なるミーハーか」
「そう言われれば、ミーハーかな」
「だが、俺には想像もできなかったよ。まさか、クラシックで身を立てていた母さんが、ミーハーだったなんてな」


言い方は失礼かもしれないが、可愛い人だったんだな。
おまえの母さんは・・・。
俺には、とても可愛く思えるよ。


十秒近い沈黙のあと、かすかな鼻声で友人が言った。

「つまり、偉大なるミーハーが認めた、そのアイドルも偉大だったってことだよな」



そうかもしれない。

これでいいのか?

2017-01-08 07:59:00 | オヤジの日記
わが家族が住むオンボロアパートが、今年の6月にぶっ壊されることになった。

そこで、アパート、駐車場、理髪店、美容院を経営するオーナーの政治力を使って、新しいマンションを紹介してもらえることになった。
しかも、あそこが不便だ、あそこが汚いと文句を言って、家賃を1万円負けさせるという力技(チカラワザ)も使ってくれた。

中央線国立駅から徒歩10分以内の築5年のマンションだ。
本当は5月末に引っ越す予定だったが、住んでいる家族が急遽2月初めに越すことになったため、3月には引っ越せる状態になった。

オーナーから「引っ越すかい?」と聞かれたので、しかるべく、と答えた。

つまり、引っ越しが早まった。

恐れ多いことに、引っ越し代、敷金、3月から5月分の家賃はオーナーが負担してくれるという。
今どきの言い方をするなら「神対応」と言っていいのではないだろうか。

その噂を聞きつけて、娘の高校時代のお友だち3人が、昨日我が家にやってきた。

娘は韓国留学中なのに、いいの?

「パピーの作る料理が食べたくて」と嬉しいことを言ってくれた。
(娘のお友だちは、私のことを『パピー』と呼んだ)

春巻きが食べたい、というリクエストがあったので、春巻きとエビチリ、コショウを多めに使った麻婆豆腐を作ることにした。

米は7合炊くことにした。

なぜなら、お友だちのうちの一人が、一食に3合を食べるからだ。

この子は、中学3年のとき、ワケがあって、我が家に一年間居候をしていたことがあった。
その詳しい経緯は述べないが、とにかく米が好きな子だ。

明太子一本だけで、米を3合食べる姿を見て、最初は驚いた。
ただ、だからと言って、太っているわけではない。

我が娘は、159センチ、39キロの瘦せ型。
お友だちは、同じ159センチで、45キロ程度。
平均より痩せていると言っていいかもしれない。

だが、食べる。
気持ちがいいくらい食べる。
味噌汁も毎回5杯は、お代わりをするのである。

たらこバター・スパゲッティなら、4人前は当たり前に食べる。
キャベツの千切りも、キャベツ半分食べてしまうのだ。

「大食い女子」だ。

ほかの二人の子は、高校の吹奏楽部で娘と一緒だった。
二人とも、大学は音大に進んだ。

一人はピアノ。
もう一人は、金管楽器が専門だ。

二人とも、東京事変、椎名林檎様が好きというところが、娘、私と一致していた。


そんな3人に、私は、普段疑問に思っていることを聞いてみた。

我が家では、息子も娘も、平気で友だちをこのオンボロアパートに連れてくるが、恥ずかしくないのだろうか・・・と。
俺だったら、恥ずかしくて連れてこれないと思うけど、と問いかけた。


大食い女子が、考える間もなく答えた。

「夏帆はね、親が近くにいれば、住むところは、どうでもいいんだって。
家に、形や綺麗さはいらない。
家族が住むところなんだから、家族がいれば幸せなんだって」

「あたしも、居心地のいい、この家が好きだな。
1年間住んでみて、夏帆と同じように感じたよ。
古い家だけど、帰りたくなる家だった。
だから、今も来るんだよ」

「引っ越しても来るけど、いいかな?」

いいともー!


ボロくても、居心地のいい家か。


大量の皿を持って、流しに立った。
食器洗い用のスポンジで、あふれ出る涙を拭いた。

洗剤が浸み込んだスポンジだった。


「痛ってえぞ!」

痛くて目が開けられない。
そこで、ボールに水をためて、目を洗おうと思った。
しかし、いつまでたっても、水がたまらない。

「パピー、それ、水切りカゴだよ。水がたまるわけないじゃん!」

オー・マイ・ガッ!

結局「大食い女子」に目を洗ってもらうことになった。

「これだから、この家は飽きないんだよね」

娘のお友だち3人に笑っていただいた。



これで・・・いいのか?



踏んづけられないようにファイト!

2017-01-01 05:23:00 | オヤジの日記
あけまして おめでとうございます

今年も みなさまの一年が ハッピーなイヤーになりますように



 


12月29日に、韓国に留学中の娘が一時帰国した。

30日には、お友だちと新宿のゲイバーに行った。
最初は、4人で行く予定だったが、なぜか3人増えて7人で行った。

そんなに、みんなゲイバーに興味があるのか。

ゲイバーのゲイさんたちは、20歳から25、6歳までのイケメンばかりだったという。
ゲイバーというと、女装した人ばかりだと思っていたが、それは私の勘違いだったようだ。

プロ級のモノマネをしたり、即興でラップを歌ったり、キレッキレのダンスを踊ったりとゲイ達者な人たちが多くて飽きなかったと娘は感心していた。

話題は、成宮寛貴氏のことや女性の悪口が大半だった。

街中で男とイチャイチャしている女の人を見ると、全員が「踏んづけたくなる!」とお怒りだ。

「電車の中で化粧をしている女を見ると、踏んづけたくなる」
「香水の匂いをプンプンふりまいている女を見ると、踏んづけたくなる」
「待ち合わせ場所で、携帯電話を持ってニヤニヤした顔で話している女を見ると、踏んづけたくなる」
「女は、とにかく踏んづけたくなる!」

要するに、何でも踏んづけたくなるようなのだ。

「でも、私たちも女なんですけど」と軽く抗議すると、「こういうところに金を使う女はいいのよ」と全員の頭をポンポンと撫でた。

「でもね、この店を出たあとは、踏んづけてやるからね! 覚悟しなさいよ!」
床を強く踏みつけて、みんなの笑いを誘った。

そして、次はベッキーの悪口だった。

全員が「あの性悪女、大っ嫌い!」の大合唱だったという。

「ゲスの君は、少しも悪くないわよ。あの女が悪いのよ! 消えてくれてよかったわ」

不倫相手の人は「ゲスの君」と呼ばれているようだ。

「でも、それを聞いたら、うちの父ちゃん怒るだろうな。ベッキーのこと大好きだから」と娘が言うと、「バッカな親だねえ、今度連れてきな。踏んづけてやるから」と、また床を踏みつけた。

「ガイコツみたいに細いから、踏んだら骨が折れちゃうよ」と娘。

「踏んづける価値もない男ってこと?」

「料理上手なガイコツかな」と娘のお友だち。

「ああ、料理のできる男はいいわねえ。それは価値があるわよ。踏んづけるのやめてあげるわ」
(よかった)

最後は、ゲイバーの話題には相応しくない「親不孝」の話になったらしい。
「私たちなんか、親不孝の極みよ」
「実家には帰れないしさ」
「昔の友だちと連絡を取らない子も、たくさんいるからね」

そんな話のあとに、「なんか、シンミリしてきたわね。こんな風にシンミリしたときは、中島先生の歌よね」と言って、そのゲイバーで一番の古株のゲイさんが、立ち上がった。

中島先生?

カラオケが流れた。
中島みゆき氏の「ファイト!」という歌だったようだ。

娘もお友だちも、その歌を知らなかった。
(私も知らなかった)

最初は、変な歌だなと思ったが、ゲイさんが、途中から心の奥底から絞り出すように歌うのを聞いてから、全員が魅せられるように聞き入った。

娘は「鳥肌が立ったぜ」と、そのときの光景を思い出したのか、身震いをした。

そして、ため息をつきながら、「人間って、色々なものを抱えて生きているんだよな」と言った。
ゲイバーに行って、人生を感じてしまったようだ。


「だけどな・・・おまえは抱えていないよな。
ガイコツだもんな。
重いものを抱えたら、折れちゃうもんな。
よかったな、身軽で」

そうなんです。
ガイコツには重いものは無理なんですよ。
重いものじゃなくても「思い出」なんてのも抱えられませんから。
思い出なんか抱えたら、体だけではなく、心が折れてしまいます。

「おい! 自分ではウマいこと言ったつもりだろうが、全然面白くないからな!」
「踏んづけてやろうか!?」

お許しください、お代官様。


私とそんなコントを演じた娘は、朝11時発のフライトで、韓国に戻る。
明日からは、もう授業だ。


成田から始まる私の2017年。


今年こそは、誰からも踏んづけられないガイコツに成田い。

(娘に踏んづけられそうな予感しかしない)