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パートナーかライバルか米中関係

2011-01-20 | ラジオ
中国の胡錦濤国家主席はアメリカのドルを基軸とする、世界の金融制度は過去の遺物だとの見解を示した。
胡錦涛国家主席はオバマ大統領との会談を控えたアメリカ訪問を前に、このような声明を表している。
胡錦涛国家主席は18から21日までのアメリカ訪問を前に、アメリカの連邦準備金で6000億ドルのアメリカ国債を買取るという決定を批判した。この対策でドル安の動きが進むことになり、アメリカの輸出には有利になるが、他の国の利益には大きな打撃となる。

一方のアメリカ側も中国の為替政策に反論した。アメリカのクリントン国務長官は中国に対し、人民元に市場価格で生きてゆく可能性を与え、アメリカ側の主張するところのアメリカ企業に対する差別をなくし、輸入品のための市場を中国国内に開くよう要求した。

中国経済・隠された危機 (Voice select)

三橋 貴明
PHP研究所


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経済的な依存度が伸びているにも関わらず、米中関係は依然として複雑なままだ。
この複雑な関係の前提は、経済貿易分野のみに立ちはだかっているのではない。ロシア科学アカデミー極東研究所のルジャニン教授は、根本的な原因は中国の地政学的な力が拡大していることと、アメリカの中国へ圧力をかける能力が縮小していることだとして、次のように語った。
「アメリカのゲイツ国防長官の中国訪問ががそれを裏付けている。第5世代航空機の実験や、その他の中国の最新機器は、アメリカに懸念と苛立ちを引き起こしているのだ。
金融危機によって、これまでとは違う米中関係の傾向が明るみに出ることとなった。アメリカは金融危機の最中は、中国も他の自由経済国と同様に、危機と闘いそこから脱却しなければならなくなるとみており、中国も大きな負荷を負うことになるだろうと考えていた。しかしそれは起こらなかったのだ」
教授は、このように話している。

中国が危機から有利に脱却し、アメリカがこれまで西側の自由な価値観がまかり通ると考えていた地域へ、経済的促進力を用いて自国の影響を拡大しはじめたことは、アメリカにとって予想外の事態となった。
現在、苦しい経済状況にある一連の西ヨーロッパ諸国は、特に長期債務割り当ての際に、中国からの支援に期待している。

アメリカには台湾との軍事協力という、中国に圧力をかける方法が残されている。この非常に微妙な問題は、米中首脳会談で最重要課題の一つとなる見込みだ。
胡錦涛国家主席はアメリカ訪問を前に、中国とアメリカの間には意見の相違や微妙な問題が存在していることを認め、両国は双方の国民の根本的な利益を考慮しなければならないと指摘した。

これは自国の安全保障に関わる根本的問題において、中国は譲歩する意思がないことを意味している。
加えて米中首脳会談へ向けた中国側の態度は、アメリカ側の姿勢よりも冷たいもので、これは自国の力を感じる中国が、アメリカが設定したやり方に従って演じることはないことを物語っている。
アメリカ訪問を前に胡錦涛国家主席が、米ドルを機軸とした世界経済を批判したことが、これらの動機を示唆している。

中国をどう見るか―21世紀の日中関係と米中関係を考える

浅井 基文
高文研


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1月18日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル