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ブッシュ大統領が発表した対イラク新戦略をめぐり

2007-01-18 | ラジオ
アメリカのブッシュ大統領は、アメリカの新たな対イラク戦略を発表し、すでに
現地に駐留している14万の兵力に加えて、さらに2万人以上の兵士を現地に
派遣する考えを示した。
これに関連してロシアの声の評論委員は、次のようにコメントしている。
新戦略には原則的に新たな内容が何も含まれていない。このなかではイラ
ク国内での新たな雇用の創設のため、そしてイラクの復興のために追加予
算を拠出することが打ち出されている。
またイスラム教スンニ派とシーア派それに、故サダム・フセイン大統領の出
身母体である、バーストの間の和解の必要性が指摘されている他、イラク憲
法に若干の改正を施すことが提案されている。
しかしやはり基調となっているのが兵力の増強が提案されている点だ。
ブッシュ大統領は兵力を増強することにより、イラクにおける暴力を絶ち、米
軍兵士の本国帰還を早めることが出来るものと考えている。
しかし率直に言って、そうした考えを裏付ける、揺ぎ無い根拠がある訳ではな
い。
それは毒をもって毒を制すことを試みる人間の論理に似ているが、そうした理
論は、それを振りかざす人間を、より深くへと追い込むだけなのだ。

しかも外国諸国だけではなく当のアメリカにおいても、こうした見方が広まって
いる。
アメリカのナンシー・ペロシ下院議長、ホイヤー議員、ダービーイン議員といった、
民主党の主要メンバーたちは、イラクへの追加部隊の派遣によって、アメリカが
イラクの内戦に益々深入りすることになる旨の声明を表わしている。
さらに民主党の有力議員の一人であるエドワード・ケネディ議員は、ブッシュ大
統領のこの計画を妨害するよう呼びかけている。
民主党のこうした姿勢は、この問題をめぐるアメリカ国内全体における支配的な
考え方を繁栄している。

USA-TODAY紙が実施した世論調査の結果によると、アメリカ市民の60%以上
は米軍兵士のイラクへの派遣に反対している。またCNN-TVがブッシュ政府の情
報筋の話として伝えるところによると、米軍参謀長委員会のメンバー中にすら大
統領の計画の合理性に疑問を呈している人々がいるとされている。
さらにアメリカ国防総省そのものにおいても不安が渦巻いている。しかしこうした
状況が見られるのももっともだ。事情に詳しい人々はイラク問題を武力で解決す
ることは出来ないことを知っている。
しかしブッシュ大統領の対イラク新戦略には、混乱したイラク情勢を正常化するた
めの根本的で有効な提案は残念ながら含まれていない。

ブッシュ大統領はイラクからの米軍の段階的撤退計画に付いて、耳を傾けること
を望んではいない。しかしまさに米軍の駐留がイラク情勢の悪化、イラク国内での
テロリズムと過激主義の拡大の最大の原因となっていることは、すでに以前から
明らかだ。
この様にアメリカの対イラク新戦略は、イラク情勢を一層不安定化させ、暴力と流
血の拡大をもたらしかねないものなのだ。

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1月12日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル